2016年6月4日土曜日

パンや小麦粉が身体の調子を壊す 「腹痛や下痢の原因はグルテン」 腸が不健康になると脳も不健康に

突然の腹痛・下痢の原因はグルテンかもしれない!? やはり危険だったパン・小麦粉

2016.04.11



「グルテンフリーダイエット」と聞くとどのような印象を持つだろうか。また科学的な根拠がないあやしいダイエット方法か……そんな風に思う人も多いかもしれない。しかし海外では、グルテンの体への悪影響に注目が集まり、グルテンフリーダイエットの動きが強まっている。ここでいう「ダイエット」とは「減量」のことではなく「食生活」を意味する言葉であり、グルテンを避ける食生活を続けることで、体の不調を改善するというものだ。

では、グルテンが体に与える悪影響というのはどのようなものなのか。このほど、「グルテン・アタック」という本を上梓した英国人医師デビッド・サンダース氏によると、グルテンがさまざまな体調不良の原因となっている可能性があるという。

■セリアック病だけではなかったグルテンの悪影響



グルテンとは小麦に含まれる植物性タンパク質の一種で、小麦粉を水と一緒に捏ねる際に生成されるものだ。

グルテンが体に悪影響を及ぼすといったとき、多くの医療関係者は「セリアック病」のことを思い浮かべる。セリアック病とは、腸内でのグルテンへの免疫反応をきっかけとして起こる自己免疫疾患だ。小腸の上皮細胞に炎症を起こし、下痢や便秘、膨満感などの体の不調の原因となり、さらに栄養の吸収ができなくなることから、栄養失調に陥ることもある。また、人によってはカルシウム不足になって骨粗鬆症になったり、消化器系のがんの原因にもなってしまうため、セリアック病の患者はグルテンフリーの食生活を強いられることとなるのだ。

しかし、サンダース氏によると、彼のクリニックを訪れる患者の中に、セリアック病でないのにもかかわらず、グルテンを摂取すると同じような症状を訴える例があったのだという。そのためサンダース氏は、セリアック病ではないとテスト結果が出た場合でも、グルテンフリーの食生活をした結果症状が改善すれば、「グルテン過敏症」と診断するようにした。

グルテン過敏症とされた人々には共通点があった。ほとんどが30~40代の女性で、下痢や腹痛を中心とする「過敏性腸症候群(IBS)」のような症状を訴えており、その半数がセリアック病の原因となる遺伝子を持っていたのだ。またドイツでの研究で、IBSの患者はグルテンフリーの生活によって改善がみられるという報告があったことから、やはり腸の不調とグルテンに何らかの関係があるのではないかとの疑いが強まった。

では、グルテン過敏症はセリアック病の亜種なのであろうか、もしくはセリアック病になりかけているものなのだろうか?



■グルテンに対してさまざまな免疫反応が起きている

実際にメカニズムを調べてみると、セリアック病とグルテン過敏症は、それぞれ違った免疫システムの作用によって消化器官に悪影響を及ぼしていることわかった。セリアック病は、侵入してきた異物への対応として後天的に得られた「獲得免疫」という免疫反応が発動しているのに対して、グルテン過敏症の場合は、人間が先天的に持つ「自然免疫」という別の系統の免疫反応が作用していたのだ。

自然免疫は、病原菌やがん細胞などを無学習でも自動的に攻撃する免疫システムであり、生物に基本的備わっているものだが、この反応によっても炎症は発生する。そしてこれこそがグルテン過敏症の正体ではないかというのがサンダース氏の考えだ。

また、ドイツのシュレースヴィヒ・ホルシュタイン大学病院で行われた研究では、36人のIBSの患者が参加。彼らに希釈した小麦の成分を直接腸に投与すると、6割の患者に、暴露から5分以内で免疫細胞の活動が著しく増加したという。つまり、セリアック病でなくてもグルテンが腸にダメージを与える可能性があるというわけだ。

最近では「共焦点内視鏡」という機器によって、消化管の粘膜を非常に詳細まで観察できるようになったため研究が進んでいる。それでも、それぞれ症状が似通っているため、IBSなのかセリアック病なのかグルテン過敏症なのかということはわかりにくい。しかし、グルテンフリーの生活で症状が改善される可能性があることは間違いない。

■食生活の欧米化で現代人の腸は超ピンチ?

グルテンフリーへの関心の高まりは、それだけ影響が大きくなっているということを表している。英国では、1950年代には8000人に1人の割合だったのが、今では100人に1人がセリアック病と診断されており、フィンランドでは、最近20年間で発症率が倍になったという報告もあるそうだ。これに対し、米を主食とするアジア諸国ではセリアック病の患者が少ないことから、やはり食生活が腸の不調に関わっている可能性は高いだろう。

また、科学的な検証はされていないが、最近の品種改良された小麦が、以前のものより多くグルテンを含んでいるという指摘がある。さらに、工場で作られる小麦製品は機械によって高速で練り上げられているため、その工程でグルテンが多く生成されやすいとも考えられている。食物に含まれるグルテン量を表示する義務はないため、どのくらいの量のグルテンが発生しているのかは依然として不明だ。

サンダース氏は、パン一切れに約3gのグルテンがあると推測し、欧米型の食事をしていると一日に約20gのグルテンを摂取することになると見積もっている。彼はグルテンの摂取量の目安として5g~10g以下という数値を挙げているが、それが適正であるかどうかは今後、検証が必要だという。

グルテンフリーダイエットが流行るきっかけとなったのは、テニス王者のノバク・ジョコビッチがグルテンフリーの食生活によってコンディションが高まり、強くなったことが話題を集めたからである。彼の場合は、グルテンを消化する酵素を持っていなかったため、その消化に体のエネルギーを使われて慢性的な疲労感に悩まされるという、グルテンの「不耐症」であったという。これはグルテンに限ったことではないが、食物と体の相性を考えさせられるものである。

もちろんすべての人にとって、グルテンフリーダイエットがよいというわけではない。しかし、慢性的な体調不良に悩まされている人は、少しの間そんな食生活をしてみる価値があるのではないだろうか。効果がなければまた元の食生活に戻ればいいし、効果があればグルテンがあなたに合わないということがわかるのだから。

参考リンク:「Daily Mail」、ほか

参照元 : TOCANA


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