2018年11月18日日曜日

ストレスの高い生活を送っている人は、50歳になる前に物忘れが酷くなったり脳が委縮する可能性

ストレスが物忘れや脳萎縮につながる可能性、40代でも影響 米研究

2018.10.25 Thu posted at 12:50 JST



ストレスが物忘れや脳萎縮につながる可能性があるという/ODD ANDERSEN/AFP/AFP/Getty Images

(CNN) ストレスの高い生活を送っている人は、50歳になる前に物忘れがひどくなったり脳が委縮したりする可能性がある――。そんな研究結果が24日の学術誌ニューロロジーに発表された。

発表を行った米テキサス大学の研究者は、「比較的若い人でも、症状が表れるずっと前に物忘れや脳の萎縮が起きていることが分かった」「早いうちから意識してストレスの軽減に努める必要がある」と指摘している。

研究チームは、ストレスを受けた時に分泌が増えるストレスホルモンの「コルチゾール」に着目した。コルチゾールは身体のさまざまな機能を低下させる作用があるが、ストレスが解消されればコルチゾールの分泌量が減って身体機能も正常に戻る。

だがストレスの高い状態が続くと身体機能も低下した状態が続き、不安やうつ、心疾患、頭痛、体重減少、睡眠障害、記憶力や認知力の低下に結びつく。

特に脳は全ての栄養素が適切に機能する必要があり、影響を受けやすいという。ストレスに対応するために身体でそうした栄養素が必要になると、脳に行き渡る栄養素が減少する。

コルチゾールと認知症の関係はこれまでにも指摘されていたが、そうした研究は主に高齢者や脳の海馬と呼ばれる記憶を司る領域に着目していた。

しかし今回の調査では平均年齢48歳の男女の脳全体をMRI(磁気共鳴画像装置)でスキャンし、認知症の兆候のない2000人あまりを対象に心理検査を行って思考能力を測定した。

その結果、コルチゾールの値が高い人ほど物忘れが多いことが判明。また、脳内で情報を移動させる放線冠と呼ばれる部位や、2つの脳半球の間にある脳梁(のうりょう)と呼ばれる部位のダメージと関係があることも分かった。

さらに、コルチゾールの値が高い人の脳は、思考や感情、発話、筋肉のはたらきを司る大脳が小さいことも判明した。脳全体に占める大脳の容量は、コルチゾールの値が正常な人が88.7だったのに対し、コルチゾールの値が高い人は88.5だった。

アルツハイマー病に詳しい研究者は、「脳にこれほど大きな変化が起きる現象が見られたことは驚きだった」「中年期において脳の構造的な変化が起きているのであれば、年を取って認知症を発症する年齢になるまでに何が起きるかは想像がつく」と解説する。

コルチゾールが大脳の容量に影響を及ぼす現象は、女性のみに表れ、男性には見られない様子だった。その理由について別の研究者は、女性ホルモンのエストロゲンとの関係を指摘している。

今回の研究はコルチゾールと認知症の関係を示したもので、原因を示したわけではないと研究者は強調する。それでも日常生活のストレスに対処するために、ライフスタイルの改善を考えた方がいいとアドバイスしている。

参照元 : cnn.co.jp




関連動画 : 多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積 認知症とは何か(1)疾患の種類と対応

【米研究】高身長の人は細胞の量が多いので、癌リスクも増加

高身長でがんリスクも増加、細胞の量多く 米研究

2018.10.29 Mon posted at 14:27 JST



分析した23種のうち18種のがんで関連性が見つかった/shutterstock

(CNN) 身長の高い人は、体内の細胞がより多くなることから、がんのリスクも高まるとの研究結果が発表された。

この研究によれば、平均身長から10センチメートル身長が高くなるごとに、がんが発症する危険性が10%増加する。理由としては、がんに変異する可能性のある細胞がふえるからだという。

今回の研究での平均身長は、女性が162センチ、男性が175センチ。

以前の研究でも、身長が高いと、血栓や心臓系の疾患などのリスクが高まる可能性が示唆されていた。

米カリフォルニア大学リバーサイド校のレナード・ナニー教授は、男女それぞれ1万人以上を含む過去の研究データを複数分析した。

人体の全ての細胞の数と、がんを発症する可能性について、23種のがんのうち18種で関連が見つかったという。

研究ではまた、女性のほうががんのリスクが高いことがわかった。より背の高い女性ががんにかかる可能性は12%だが、男性は9%。

結腸や腎臓のがんや、リンパ腫で最も強い関連がみられた。

ただ、別の専門家からは、高身長によるがん発症リスクの増加は、ライフスタイルの変更による影響と比べると小さく、禁煙や健康的な体重の維持といった肯定的な変化を引き起こす取り組みのほうがより重要だとの見方も出ている。

参照元 : cnn.co.jp

風邪に効く薬はありません 薬で病気は治りません

【医療】かぜに「抗菌薬」は効きません 半数が誤認

2018/11/11(日) 15:19



かぜで医療機関を受診した際、本来は効果がない抗生物質などの抗菌薬を処方してほしいと考える人は30%余りいるという調査結果がまとまりました。

抗菌薬の不適切な使用は薬が効かない「耐性菌」を増やすことにつながり、専門家は「正しい知識を普及していく必要がある」と話しています。

抗菌薬は、細菌には効果がある一方で、かぜやインフルエンザなど、ウイルスが原因の病気には効かないことが分かっていますが、かぜに処方されるケースがあり、薬が効かない耐性菌を増やすことにつながっていると指摘されています。

国立国際医療研究センター病院は、インターネットを利用して全国の10代から60代までの一般の男女721人に対して、抗菌薬に対するアンケート調査を行いました。

その結果、「抗菌薬がどのような病気に有用か」という質問に対して、「かぜ」と答えた人が49.9%、「インフルエンザ」と答えた人は49.2%と、ほぼ半数の人が誤って認識していることが分かりました。また、「かぜで受診した時に処方してほしい薬」として、30.1%の人が「抗菌薬」と答えました。

調査を行った国立国際医療研究センター病院の具芳明医師は「患者が強く希望すると医師も処方せざるをえない場合があり、一般の人にも正しい知識を普及していく必要がある」と話しています。

参照元 : NHKニュース

<ネットユーザーの反応>
「こんなん処方する医者が悪いとしか言いようがない」

「効かない薬を出したら保険適用すんなや」

「なんだよ処方する医者が悪いだけやん」

「抗生物質を処方するなら 細菌由来と検査結果が出てからじゃないと保険点数が出ないように厚生省が変えればいいだけ。無知な患者を開業医が食い物にしている。俺らの払った健康保険代が、馬鹿を経由して医者のポケットに入ってる」

「日本人は抗菌=正義って洗脳されてるから」

「えっ?じゃあ風邪のとき出される薬って解熱剤以外は何なの?」

「ジャップって頭悪いな。そんな事も知らないの?ウィルスと細菌の違いすら分からないって恥ずかしいな」

「内科は信用してない」

「患者が薬クレクレいうからだよ。ビタミン剤でも処方してやればいいわ」

「あそこの医者は薬を出さないって、言いふらされるのが怖いらしいね。医者も商売。薬も売れるし儲かるからなぁ。日本ぐらいだもんな、風邪で薬出すの」

「風邪だと思っても風邪じゃないパターンも多い。んで抗生剤が効いて風邪に効いたと勘違いすんだろう」

「ちなみに細菌感染とウイルス感染を区別できる検査はいまのところ存在しない」

「ビタミンCが一番効くと思う。ひきはじめの葛根湯も効く。あと、暖かくして熟睡すること。汗をかいたら、下着も含めて着替えて寝る。熱が高いようなら額を濡れタオルや氷で冷やすのも忘れずに風邪をこじらせて別の病気になった人は抗生物質が有効になるかも」

「ガキの頃にテトラサイクリンを飲まされて歯が変色してしまったわ。抗生剤を処方したインチキ医者のせい」

風邪は薬じゃ治らない 医師の本音

2016/8/18(木) 7:30



お盆を過ぎ、夏真っ盛りとなりました。ここのところ夏風邪が流行しているようで、筆者も風邪を引き数日寝込んでしまいました。風邪を引いたら医者はどう治すのか?そんな本音に加え、「風邪薬」の迷信についてお話ししましょう。

結論を先に書いておきます。

・風邪は風邪薬では治らない

・風邪には栄養と休養を

です。

ああ、夏風邪か・・・
まずは筆者のエピソードからお話ししましょう。

異変に気付いたのはある日のこと。勤務中だった筆者は、同僚医師が設定した低すぎるエアコンの温度に震えながら仕事をしていました。その日の夜にはのどが痛くなり、だんだんと鼻水と咳、頭痛も出現。体じゅうが熱くなり、汗をだらだらかいていました。「ああ、夏風邪か・・・」暑い中で熱を出すというその辛さはよく知っていましたが、今年もかかってしまいました。

翌日は休日だったため筆者は近所のお医者さんにかかり、「風邪ですね、何を飲みますか?」「はい、あれとこれを」というやりとりをしました。家には以前風邪を引いた時のお薬がありましたが、原則としてそのつど処方してもらった方が良いのです。薬にだって賞味期限がありますからね。

そして医師が医師を診察する時は、このようなやりとりになることが多いと思います。自分の症状は自分で把握しているからです。ある2種類のお薬を処方してもらい、帰宅しました。熱を測ると38度を超えていました。

翌朝になると、のどの痛みがひどくなっていました。どうやら首のリンパ節も腫れてしまったよう。その日の予定を全てキャンセルした筆者は、仕方なくお薬を飲み、三食食べて一日中横になっていました。

その次の日。朝起きるとさらにのどの痛みが悪化し、ひどい頭痛にも見舞われました。全身のひどいだるさもあり、熱を測ると38.5度。ため息をつきつつ、その日の手術予定に人手が足りていることを確認して仕事を休みました。その日も同じようにお薬を飲んで、三食食べる以外はずっと寝ていました。翌日起きると体温は38度まで下がったものの、全身の激しいだるさが引きませんでした。結局筆者は2日も仕事を休み、その日も薬を飲み食事をとる以外はずっと寝ていました。その翌日からようやく仕事に復帰できました。

まあ、よくある風邪の経過だと思います。

筆者が飲んだ薬は?
筆者が飲んでいたお薬はロキソプロフェン(商品名;ロキソニンなど)とトラネキサム酸(商品名;トランサミンなど)というお薬。

ロキソプロフェンはロキソニンという名前で有名な、消炎鎮痛剤です。そしてトラネキサム酸は止血剤として使われたり、のどの炎症を抑えるために使われたりするお薬です。

なぜ薬を飲んだのか?
記事の始めに「風邪は風邪薬では治らない」と書きましたが、なぜ飲んだのか、説明しましょう。それにはまず風邪という病気について理解する必要があります。

風邪とは、そもそものどや鼻の粘膜にウイルスという微生物が感染し炎症が起きた状態です。別の病名として「急性上気道炎」とも言います。これは「上気道」=「のどやはなの粘膜」に炎症が起きた状態、という意味です。

この「炎症」を抑えるために、私は2種類の薬を飲みました。「炎症」を抑える事ではウイルスをやっつけることにはなりませんから、風邪の根本的な治療にはなりません。あくまで「のどの痛み」「鼻水」「くしゃみ」など炎症によって起きた症状をやわらげる治療になります。これを「対症療法(たいしょうりょうほう)」(症状に対する療法)と言います。

つまり筆者は、つらい症状を抑えるだけのために薬を飲んだのです。これは、ウイルス感染というこの病気の本質にはあまり関係がありません。風邪に対する対症療法には2つの意見があって、(1)炎症によるつらい症状を抑えることで免疫を上げ、免疫がウイルスをやっつけて治るという考え方があります。しかし、(2)炎症はウイルスを撃退するために体が起こしているものなので、これを抑えてしまうことは治癒を遅らせてしまっているという考え方も出来ます。どちらが真実なのか結論は出ていませんし、医師によっても意見が異なるだろうと思います。ちなみに筆者は、対症療法の薬を飲んでも構わないと考えています。筆者も風邪の時は飲んでいます。

医者に行くと風邪薬が出るが・・・
風邪で医者にかかると薬が出ますよね。実は、医師が処方する薬のパターンはこの2通りしかありません。

1、対症療法の薬のみ

2、対症療法の薬プラス抗生物質

「1、対症療法の薬のみ」は、私がまさに上のエピソードの時に自分で行った治療です。つらい症状を抑えるための治療ですね。

しかし「2、対症療法の薬プラス抗生物質」は、「抗生物質(こうせいぶっしつ)」が加わっています。「抗生物質」は抗生剤(こうせいざい)、抗菌薬(こうきんやく)とも呼ばれる、「細菌という微生物に対抗する薬」のことです。先ほどご説明したように、風邪はウイルスという微生物による感染です。ウイルスには抗生物質は効きませんから、これは全くの無意味ということになります。筆者は研修医のころ、開業医の医師から「風邪には抗生剤を処方しないといけない」と習いましたが、それはまるで「今から大雨が降るので、日焼けしないように日焼け止めを忘れないように」と言われているような風に感じました。

では、薬を飲まなくても良い?
つまり、風邪の時に飲む薬は、「つらい症状を抑えるために飲む」のであって、治りを早くするものではないということです。ですから、そのために薬を飲むことは構わないと筆者は考えています。大切なことは、それをわかっておく必要があるということです。

専門の学会は、このように提言しています。

ウイルス性のかぜ症候群であれば、安静、水分・栄養補給により、自然に治癒します。抗菌薬も一般的には不要なことが多く、解熱剤も適宜に使用する程度でよいと思われます。ただ、原因がウイルス以外の細菌もしくは非定型病原体によると思われる場合には、それぞれに適した抗菌薬を診断後からでもいいので投与します。

出典:一般社団法人 日本呼吸器学会ホームページ

つまり、対症療法の薬は飲んでも飲まなくてもよいが、きちんと休養をとり、水分や栄養を摂ることが大切です、ということです。

なぜ医者は風邪に抗生剤を出し続けるのか
考えられる理由はいくつかあります。

まず第一には、「目の前の患者さんが細菌感染である可能性を否定できないから」というものがあります。風邪と似た症状のもので、溶連菌感染症という病気があります。これ等の細菌による感染の可能性がわずかながらある、という主張です。そういう医師はCentor criteriaとカナダルールを学ぶことで簡単に診断が出来ます。

第二に、「ウイルス感染の二次感染に対する、あるいは二次感染を予防するために処方する」というものがあります。二次感染とは、ウイルス感染で弱った体や粘膜に対して、今度は細菌が攻撃し感染を起こすというものです。これは高齢者や免疫が弱い患者さんなどではわからないでもないのですが、それでも意味はないでしょう。

そして次には、「患者さんの満足度」が挙げられます。開業医では、その医院の維持のために「よく治ること」と同じくらい「患者さんの満足度」が大切です。風邪で来院した患者に「薬は不要、良く食べて良く寝てください」と言うだけよりも、3,4種類の薬を処方してもらったほうがなんとなく満足するようには思いませんか。

また、風邪=抗生物質という図式が広まってしまっていることにも問題があるでしょう。筆者も患者さん側から「風邪を引いたので抗生物質をください」と言われたことは一度や二度ではありません。無論、そういう風潮を作ったのはこれまで風邪の患者さんにむやみに抗生物質を処方しつづけた医師なのですが。

風邪薬、将来は市販薬しかなくなる?
海外では風邪薬(対症療法のもの)を医師の処方なしで薬局で買えるようにしています。というよりは、保険医療(つまり7割引きでみなさんが受けている医療)では処方が出来なくなっています。近い将来、日本でも風邪で医師にかかっても薬が出せなくなるでしょう。医療費の肥大はますます深刻になっていきますから、この流れは間違いなくくると思います。その時、この記事をぜひ思い出してくださいね。

最後に繰り返しますが、風邪には栄養と休養が一番です。

※開業医の医師の中には筆者と同じ問題意識を持ち、日常診療の最前線で「風邪に抗生剤はいらない」と啓蒙されている医師もいることをここに記します。

※この記事は一般の方を対象としているため、用語の使い方についての医学的な厳密さは追求していません。例えば記事中では「風邪」=「急性上気道炎」=「ウイルス性の上気道炎」としていますが、急性上気道炎には鑑別を必要とする溶連菌感染症などの細菌性のもの、又は致死的になりうる急性喉頭蓋炎なども含まれます。

※本記事は西洋医学的なアプローチのみを議論しており、漢方を含む東洋医学については論じていません。

(参考)

日本呼吸器学会 かぜ症候群

・米国内科学会が2016年1月16日、このような勧告を出しています。一部抜粋します。

ACP and CDC issue advice for prescribing antibiotics for acute respiratory tract infections in adults

Physicians should not prescribe antibiotics for patients with the common cold. Physicians should advise patients that symptoms can last up to two weeks and to follow up if symptoms worsen or exceed the expected time of recovery. Physicians should also explain the risks and benefits of symptomatic therapy and that antibiotics are not needed and may have side effects. Symptomatic therapy is recommended for management of common cold symptoms.

出典:米国内科学会



参照元 : Yahooニュース






2018年11月17日土曜日

安全な飲酒量などない!アルコールがDNAを損傷

アルコールとがんの関係が明らかに DNAを損傷、二度と戻らない状態に

2018年1月9日(火)18時10分



<英ケンブリッジ大学の研究チームが、アルコールの摂取がDNAを損傷して、がんのリスクを高めると発表した>

アルコールがDNAを損傷
1年で最もお酒を飲む機会が多くなると思われる年末年始のこの時期、お酒を愛する人たちにとって気になるニュースが報じられた。アルコールが、DNAを損傷してがんのリスクを高めるというのだ。英ケンブリッジ大学のケタン・パテル教授率いるチームが、英MRC分子生物学研究所で行なった研究について、科学誌「ネイチャー」に発表した。

これまでも、アルコールの摂取ががんのリスクを高めることは指摘されてきた。アルコールを摂取すると、分解する過程でアセトアルデヒドが生成される。このアセトアルデヒドがDNAを損傷することは、培養細胞を使った研究で確認されていたのだ。しかしそのメカニズムははっきり分かっていなかった。今回初めて、パテル教授のチームがマウスを使い、生きている臓器の反応を確認。納得いく説明ができるようになったという。

パテル教授は、「がんの中には、幹細胞のDNAの損傷が原因でできるものもある。DNAの損傷はたまたま起こる場合もあるが、今回の研究は、アルコールが損傷リスクを高める可能性があると示唆している」と、MRC分子生物学研究所に話している。研究チームがマウスにエタノールを投与したところ、エタノールが造血幹細胞のDNA二重鎖を切断。細胞内のDNA配列は、元に戻らない状態に壊されてしまったという。

アジア人はアルコール分解がうまく機能せず
MRC分子生物学研究所の発表文によると、人間は通常、アルコールからのダメージに対して2つの自己防衛機能を備えている。1つは、アルコールを分解する過程で生成されるアセトアルデヒドに対するもの。アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)が、有害なアセトアルデヒドを酢酸に分解し、細胞のエネルギー源に変える。今回の研究では、ALDHの一種、ALDH2が欠如したマウスにアルコール(エタノール)を投与したところ、ALDH2が機能しているマウスと比べ、DNAの損傷は4倍に達した。

研究チームは、この酵素が十分でなかったり欠陥があったりする人は、東南アジア人に特に多いと指摘。科学系ニュースサイトのサイエンス・アラートはこれを受けて、ALDH2が変異している人(つまりうまく機能しない人)の数は、アジアに5億4000万人いると具体的な数字を挙げている。

2つめの防衛機能は、DNAの修復だ。しかしこれが常に機能するわけでもなく、中にはうまく機能しない人もいると研究チームは説明している。

「安全な飲酒量などない」
パテル教授は、アルコールを効果的に処理できないことが、DNA損傷のリスクを高め、特定のがんにつながる可能性があるということが今回の研究で強調された、と発表文の中で述べている。ただし、「アルコール処理やDNA修復のシステムは完璧ではなく、こうした自己防衛機能がきちんと作用している人であっても、アルコールが原因でがんができる可能性はあることを忘れてはならない」と注意を促している。

英国のがん研究所は、アルコールとの関係が特に指摘されているがんの種類として、口腔がん、咽頭がん、食道がん、乳がん、肝臓がん、大腸がんを挙げている。そのリスクは、ワインやビール、蒸留酒などアルコールの種類とは無関係で、飲む量についても「がんに関しては安全な飲酒量などない」と断言している。ただし、英国には政府が定めた飲酒のガイドラインがあり、ここで規定している量以下であればリスクは低くなる、とがん研究所は述べている。

英国政府のガイドラインが推奨する飲酒量は、1週間で14ユニット以内(1ユニットは純アルコール8グラムなので14ユニットで112グラム)。英紙インディペンデントによるとこれは、4%程度のビールなら7パイント(約3.3リットル)、12%程度のワインなら通常のワイングラス(125ml)で9杯と1/3杯に相当する。

なお、厚生労働省は「節度ある適度な飲酒」を「1日平均純アルコールで20グラム程度」としており、1週間分(7日)に換算すると英国ガイドラインより多くなっている。がんのリスクを考えて飲酒するなら、少なめに設定している英国のガイドラインも考慮に入れた方が良さそうだ。

参照元 : newsweekjapan


毎日酔うと5年早く死ぬ…?大型研究が暴いた「酒に適量なし」の現実

2018/10/26(金) 14:00配信



こんなにおいしくて楽しい酒が、体に悪いはずはない。だって少量なら大丈夫というデータを厚労省が出してるじゃないか──。

残念ながらそうしたデータは1990年代までのもの。最新研究は60万人もの超大型調査から、「毎日酔っ払っていると4~5年早く死ぬ」という結論を出してしまった! (※この記事は「Lab-on」からの転載です。オリジナルサイトはこちら)
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左党がっかりの60万人調査結果
「酒は百薬の長」や “Good wine engenders good blood(良いワインは良い血を作る)” など、お酒に関係したことわざ・格言は世界中で伝えられており、その多くは「適量の飲酒が健康をもたらす」ということを示唆しています。

しかしこのたび、控えめ(moderate)とされている量の飲酒であっても、実は健康に悪影響を与えているとした大規模研究の結果が発表されました。この論文は、世界で最も権威のある医学誌のひとつであるLancet誌に発表されています。

この論文では、19の高所得国(high-income countries)でのべ60万人を対象に、アルコール摂取量と健康への影響を調べた結果を掲載。

少量の飲酒は心筋梗塞のリスクを下げることが確認された一方で、脳卒中や大動脈瘤、致死性の高血圧性疾患のリスクを有意に上昇させ、総合的には寿命を縮めていると報告しています。

具体的には、1週間の飲酒量が純アルコール換算で0~100グラムのグループを基準に、平均余命への影響を以下のようにまとめています。

【40歳時点での平均余命】
・純アルコール量が週に100~200グラム → 6ヵ月の余命短縮
・純アルコール量が週に200~350グラム → 1~2年の余命短縮
・純アルコール量が週に350グラム以上  → 4~5年の余命短縮

つまり何を何杯飲むと危険なのか
アルコール含有量の計算は『お酒の量 (ml) ×(度数(%) /100)× 0.8』で定義されます。

アルコール度数5%のお酒350ml缶に含まれる純アルコール量は14グラムで、1週間毎日1缶を飲むと、摂取するアルコールの量は98グラム。

つまり、毎日ビールの350ml缶1本程度の飲酒量であればそれほど問題ないものの、それ以上の飲酒量ではアルコール量に応じて健康リスクも増大していきます。

さらに、多くの国では適度な飲酒量基準を男女によって分けていますが、今回の研究では健康リスクを増大させる飲酒量に性別の差はなかったとのこと。

これらの結果から、研究グループは現在の飲酒基準値を早急に見直すべきだと主張します。

アメリカ国立衛生研究所のAaron White氏は、この論文で提示されているいる「週に100グラム以下」という量はあくまで目安であるとし、「アルコールが健康に及ぼす影響は、体重や性別、投薬状況など幅広い要因に左右される。安全とされる飲酒量に関して、この数字以下であれば必ず安全というマジックナンバーは存在しない」と語っています。



日本人の場合は?
厚生労働省の「健康日本21」のウェブページでは「節度ある適度な飲酒」の量を、純アルコール換算で1日20グラムと定義。

しかし、ページ下部の参考文献に記載されている報告書や論文はすべて1999年以前のものとなっており、20年間にわたって情報が更新されていません。

もともとアジア人は欧米人に比べてアルコール耐性が低く、特に日本人は世界中で最もお酒に弱い民族の一つとされています。今年4月には、日本人が数千年をかけてアルコールに弱い人が増えるように進化してきたという研究結果も発表されました。

これらの事から、平均的な日本人にとっては、1日に350ml缶1本という飲酒量も「控えめ」であるとは言えないのかもしれません。

相次ぐリスク報告
昨年末から今年にかけて、アルコールの健康への影響を調べた論文が相次いでトップジャーナルに掲載されています。

昨年6月には適量とされる飲酒でも脳の萎縮を加速させうることを30年間の追跡研究で示した論文がBMJ誌に、今年1月にはアルコールの分解によってできるアセトアルデヒドがDNAに不可逆的なダメージを残し、発がんリスクを上昇させることをマウスで初めて実証した論文がnature誌に掲載されています。

お酒の楽しみは、健康リスクがあるからと割り切って諦められるものではありません。

しかし、これまでの「少量なら健康に良い」という認識が必ずしも正しくないということは、頭の片隅に置いておいても良いかもしれません。

【参照元】
‘Moderate’ drinking guidelines are too loose, study says Moderate alcohol consumption as risk factor for adverse brain outcomes and cognitive decline: longitudinal cohort study Largest study of its kind finds alcohol use biggest risk factor for dementia How alcohol damages DNA and increases cancer risk 全ゲノムシークエンス解析で日本人の適応進化を解明-アルコール・栄養代謝に関わる遺伝的変異が適応進化の対象-

参照元 : 現代ビジネス





世界21カ国で食卓塩として販売されている39銘柄を調査 した結果、9割の食塩にプラスチック片!

9割の食塩にプラスチック片、成人1人当たり年間2000個が体内に

2019/10/23(火) 19:10配信



──世界21カ国で取れた塩を使い、食卓塩として販売されている39銘柄を調査

■ 39銘柄中プラスチック片ゼロはわずか3銘柄

海のプラスチック汚染が叫ばれてから久しい。米国化学会発行の業界誌ケミカル&エンジニアリング・ニュース(C&EN)によると、年間800万トンのプラスチック・ゴミが海に流れ出ている。そんな中、プラスチック汚染に関してショックなデータがまた1つ明らかになった。このほど行われた調査で、私たち人間も、海に流れ着いたマイクロプラスチックを年間2000個も口にしているというのだ。

世界21カ国で取れた塩を使い、食卓塩として販売されている39銘柄を調査したところ、その90%からマイクロプラスチックが検出されたという。これは、成人1人当たり年間2000個のマイクロプラスチック片を食べているのに相当する。マイクロプラスチックが発見されなかったのはわずか3銘柄だった。

マイクロプラスチックとは、粉々になって大きさが5ミリ以下になったものを指す。

■ アジア産の食塩に目立つ

米ウェブメディア、クオーツによると、調査は韓国の国立大学、仁川大学校が国際環境NGOのグリーンピース・東アジアと共同で行なったもの。結果は10月16日、エンバイロメンタル・サイエンス・アンド・テクノロジーに発表された。

調査に使用された食塩は、オーストラリア、ベラルーシ、ブルガリア、中国、クロアチア、フランス、ドイツ、ハンガリー、インド、インドネシア、イタリア、韓国、パキスタン、フィリピン、セネガル、台湾、タイ、英国、米国、ベトナムの21カ国で取れたもの。39の銘柄のうち、28銘柄は海塩、9銘柄は岩塩、2銘柄は湖塩だった。前述の、「マイクロプラスチックが検出されなかった3銘柄」は、台湾産の精製海塩、中国産の精製岩塩、そしてフランス産の未精製の海塩だった。

サンプルの中で最も多くのマイクロプラスチックが検出されたのは、アジア諸国産の塩だった。マイクロプラスチックの含有量が多かった上位10銘柄のうち9銘柄がアジア産だったのだ。クオーツは、含有量の多さは、最も多くのプラスチックが海に流れ出ているポイントと関係があると指摘している。

前述のC&ENによると、海のプラスチック・ゴミの出どころは、世界中でアジアとりわけ東南アジア諸国が最も多い。

クオーツによると今回の調査を行なったチームは、この調査結果により、プラスチック汚染が世界で最も深刻な場所はアジアであることが改めて示されたのみならず、海塩が、海洋環境のマイクロプラスチック汚染の度合いを知る指標になり得ることも示していると述べている。

しかし当然ながら、食塩から取り込むマイクロプラスチックは、人間が体に取り込んでいる全体量のほんの一部に過ぎない。体内に入る全体量は年間で成人1人当たり3万2000片に上ると見られており、食塩からの2000片はこのうちわずか6%程度だ。クオーツによると、80%は呼吸から体内に取り込まれている。

参照元 : ニューズウィーク日本版


世界の海洋プラスチック廃棄物の9割は、わずか10の河川から流れ込んでいる

2018年7月12日(木)17時20分



<ドイツの研究によると、海洋に流出しているプラスチック廃棄物のおよそ9割が、わずか10の河川から流れ込んでいる>

プラスチック廃棄物が海洋に流出し、海洋生態系を脅かすようになって久しい。現在も、世界全体で1年間に800万トン規模のプラスチック廃棄物が海洋に流れ込んでいるとみられている。

それでは、これらのプラスチック廃棄物は、いったいどこから海洋に流れ込んでいるのだろうか。 独ヘルムホルツ環境研究センター(UFZ)の研究プロジェクトによると、海洋に流出しているプラスチック廃棄物のおよそ9割が、わずか10の河川から流れ込んでいるという。

10の河川とは...
その流出源として挙げられているのが、中国の長江、黄河、海河、珠江、中国とロシアとの国境付近を流れるアムール川、東南アジアを縦断するメコン川、インドのインダス川とガンジス・デルタ、アフリカ大陸東北部から地中海へと流れるナイル川、西アフリカのニジェール川で、いずれの流域も比較的人口の多い地域として知られている。

また、研究プロジェクトでは、プラスチック廃棄物の排出量とプラスチック廃棄物の不適切な処理との相関関係を分析し、流域で適正に処理されていない廃棄物が多いほど、河川から海に流出するプラスチック廃棄物の排出量が増えることを明らかにした。

研究プロジェクトを主導した水理地質学者のクリスチャン・シュミット博士は「これら主要な河川の流域からのプラスチック廃棄物の排出量を半減させるだけでも、海洋汚染の軽減に大きな効果をもたらす」と指摘。「そのためには、廃棄物の分別回収やリサイクルなど、廃棄物マネジメントの改善をはかるとともに、一般市民に向けた啓発活動を積極的に行うことが不可欠だ」と説いている。



世界ではじまったプラスチック廃棄対策
いわずもがな、海洋に流出するプラスチック廃棄物の量を減らすことこそ、プラスチックによる海洋汚染の防止につながる最も有効な対策だ。

地球環境保護に先進的に取り組む米シアトル市では、2012年からプラスチック製レジ袋を禁じているほか、2018年7月1日、飲食店に対してプラスチック製のストローや容器、カップなどの消費者への提供を禁じる条例を定め、世界的な注目を集めた。

一方、欧州委員会では、EU加盟国に対して、プラスチック製レジ袋の消費量を2019年までに2010年比で80%削減するよう求めている。

また、新興国でも、同様の取り組みが始まっている。東アフリカのケニヤやルワンダでは、すでに、レジ袋を禁じる法律が施行されている。

また、インドでは、2016年3月に「プラスチック廃棄物マネジメント法(PWM)」を定め、レジ袋の規格に制限を設けたほか、プラスチック廃棄物の回収・リサイクルの推進に国をあげて取り組んでいる。

プラスチック廃棄物の海洋流出をより効果的に食い止めるためには、この研究プロジェクトのように、プラスチック廃棄物の発生源や移動経路について科学的なアプローチからより詳しく解明していく必要もあるかもしれない。



参照元 : newsweekjapan