2017年11月10日金曜日

長寿と健康の鍵「KLFs」がヤバすぎる!老化を防ぐタンパク質 不老不死の実現か?

老化を防ぎ、健康をもたらす謎多きタンパク質「KLFs」がヤバすぎる! “不老不死”実現に向けて大きな前進か!?(最新研究)

2017.11.08



ただ長く生きるのではなく、健康で元気に長生きしたい――。そんな人類の夢に一歩近づくための新たな発見の報がもたらされた。あるタンパク質が体内に豊富にある個体は、そうでない仲間より長寿でしかも健康を保ちながらに長生きできるというのである。英誌「Express」ほか、多くのメディアが報じている。

■長寿と健康の鍵「KLFs」とは?

今回、驚くべき研究を発表したのは、米・ケースウェスタンリザーブ大学の研究チームである。チームが長寿に関わる因子として発表したのは、クルッペル様転写因子(KLFs)という物質である。線虫(Caenorhabditis elegans)で実験したところ、この物質を過剰に発現している線虫は正常なものより長生きで健康なことがわかった。KLFsは哺乳類にも存在するタンパク質なので、人間においても似たような働きが期待できるという。



では、なぜKLFsが老化を防ぎ、長寿と健康をもたらすのだろうか? 研究チームはこの物質は心臓と血管の老化防止に役立っており、それが結果的に長生きにつながると考えている。KLFsは老廃物や異常なタンパク質などを除去するオートファジーという広く生物に存在する仕組みに関わっている。KLFsは血管内の細胞に発現しており、異常なタンパク質が蓄積して血管や心臓が機能低下することを防いでいるとみられる。

▼線虫。光っている部分にKLFsを発現している。



心筋梗塞、高血圧など血管に関連した疾患は人間の老化と死に深く関連している。本来、KLFsは老化とともに減少して血管の維持管理機能も低下するのであるが、本研究で示されたように、この物質を過剰に発現させた場合は機能低下が起きない。結果、死につながるような心臓や血管の疾患が発生せず、健康に長生きするのだと考えられる。論文は10月13日付で科学ジャーナル「Nature Communications」に掲載された。

KLFsの詳細なメカニズムはいまだ不明な部分もあるが、将来的には人間への応用も可能であるという。心疾患や脳血管疾患は中高年の死因の多くを占めており、研究が進めば疾病の治療や予防のための新たな薬の開発も期待できる。長生きなだけでなく、いつまでも若く健康でいたい――そんな人類のワガママが叶う日がまた一歩近づいたのだろうか。

(吉井いつき)

参考:「Express」「Sci News」「Nature Communications」、ほか

参照元 : TOCANA


Have we found a way to LIVE FOREVER? Scientists discover method to HALT ageing

SCIENTISTS have potentially found a way to extend human life after discovering a pathway that controls ageing.

By SEAN MARTIN
PUBLISHED: 16:51, Mon, Oct 23, 2017 | UPDATED: 16:59, Mon, Oct 23, 2017

A molecular pathway known as Kruppel-like transcription factors (KLFs) can be increased or decreased in terms of volume to potentially increase the lifetime of an animal.

Researchers from the Case Western Reserve University School of Medicine made the discovery after artificially editing the KLF pathway in nematode worms (Caenorhabditis elegans) – a species currently used for biological research as it shares similar proteins to mammals.

First author of the study Dr Nelson Hsieh said to Sci News: “We find that by artificially increasing or decreasing the levels of a family of proteins called Kruppel-like transcription factors (KLFs), we can actually get C. elegans to live for longer or shorter time periods.

“Since this same family of proteins also exists in mammals, what is really exciting is that our data suggests KLFs also have similar effects on ageing in mammals, too.”



The researchers found that nematode worms with high levels of KLF typically lived longer and were healthier. They also found the same results in mice.

As a result, the researchers determined that KLF proteins’ function is to control autophagy – a quality control action which allows the cell to clear up molecular byproducts which build up as ageing takes its toll.

However, as the cell gets older, it is less efficient at removing this waste and eventually the cells survival is threatened.



By increasing the levels of KLF, the cells are able to perform this function for longer, the researchers believe.

Dr Hsieh added: “As our population ages, we need to understand what happens to our heart and arteries, as we rely on them to function perfectly later and later on in our lives.

“Our findings illuminate what can happen during ageing, and provide a foundation to designing interventions which slow these processes.”

senior author Professor Mukesh K Jain said: “The observation that KLF levels decrease with age and that sustained levels of KLFs can prevent the age-associated loss of blood vessel function is intriguing given that vascular dysfunction contributes significantly to diverse age-associated conditions such as hypertension, heart disease, and dementia.”

参照元 : Express

2017年11月9日木曜日

人工的なプロテインやアミノ酸は腎臓を壊す!? 不自然な大量摂取は逆効果

医者がプロテインをオススメしない怖い理由

2017.11.7



美しい肉体をつくろうとするビジネスパーソンに人気のプロテイン。手軽に大量のタンパク質を摂れる一方で、多くの危険性があることも事実だ。飲む前にきちんと知っておきたい、その危険性とは? 20万人以上の臨床経験と、生化学×最新医療データ×統計データから、医学的エビデンスに基づいた本当に正しい食事法をまとめた牧田善二氏の新刊『医者が教える食事術 最強の教科書』から、内容の一部を特別公開する。

人工的なタンパク質は腎臓を疲弊させる
――手軽な大量摂取の知られざる危険性

重要なことを「肝腎(かんじん)」と言います。これは、肝臓と腎臓から来ています。

私たちが生きていくために必要不可欠な臓器としては、心臓や肺、脳などがすぐに思い浮かぶでしょう。

しかし、栄養素の合成や老廃物の排出などを行う肝臓や腎臓がやられてしまったら、私たちは命をつなぐことができません。

詳しくは新刊『医者が教える食事術 最強の教科書』で書いていますが、肉など自然の食べ物には含まれていない「つくられたタンパク質」は、大事な腎臓を悪くする可能性があります。どういうことか簡単に説明しましょう。

タンパク質は、私たちの血肉をつくる非常に重要な栄養素です。ただ、糖質や脂質と違って、分解の過程で尿素窒素などの毒素を産出します。これら毒素は腎臓の濾過機能によって尿として体外に排出され、私たちは健康を保っています。

もし、腎臓の濾過機能がすっかり駄目になれば体中に毒素が回る尿毒症となって死に至ります。それを避けるために、機械に血液を通して毒素を濾過しているのが人工透析です。

人工透析を必要としている患者さんは「身体障害者1級」の手帳を持ち、医療費が無料になります。腎臓が機能しないということは、それほど重篤な状態だということです。

このように腎臓は非常に重要な臓器なのですが、人工的に大量のタンパク質を摂取することは、その働きを腎臓に強要し疲弊させ、重大な被害を生みかねません。

また、タンパク質の大量摂取は骨に悪い影響を与えるという論文もあります。こうした人工物で健康体をつくろうというのは大きな間違いなのです。

プロテインやアミノ酸は腎臓を壊す!?
不自然な大量摂取は逆効果

では、人工的なタンパク質とはなんでしょう。代表的な例が、パウダータイプなどのプロテインやアミノ酸です。スポーツクラブに行くと、摂取している人をよく見かけます。とくに男性に多いですね。

どうせ運動をするなら、筋肉がつくプロテインや疲労を取り除くアミノ酸の力を借りたほうが効率的だと考えるのでしょう。

しかし、私はいますぐやめたほうがいいと思います。こうした人工的な商品には、自然な食品とは比べものにならないほど大量のタンパク質が含まれています。もともと腎臓が悪い患者さんは、普段の食生活でも肉や魚、豆腐などのタンパク質を厳しく制限します。ただし、健康な人が食品からとっている分には過剰摂取にはなりません。

問題なのは、プロテインやアミノ酸など、人工的につくられたものです。こうしたものを日常的に摂取していれば、腎臓を壊す可能性が高いのです。

私の患者さんにも、パウダータイプのプロテインを摂取して、腎機能を示す「尿アルブミン」の数値がいきなり悪くなった人がいます。

尿アルブミン値は、とても重要な指標ですが、測定する医療機関は多くありません。医師がその重要性を理解していないのです。

たいていの医師は「腎臓の状態を知りたかったら血清クレアチニン値を見ればいい」と思っています。しかし、血清クレアチニン値に異常が見られるときには、腎臓は相当ひどい状態になっています。その前に、尿アルブミン値の変化をつかみ、適切な手を打つことが必須なのです。

ところが、会社で行う普通の健康診断では、血清クレアチニン値しか測定しません。そして、人工的なプロテインやアミノ酸を摂取していても、血清クレアチニン値にはなかなか変化は現れないということです。このことがなにを意味するか、知的なビジネスパーソンならわかるでしょう。

(この原稿は書籍『医者が教える食事術 最強の教科書――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)

参照元 : ダイアモンドオンライン

酒をついつい飲み過ぎて嘔吐するのは「生命維持装置」の発動だった

飲み過ぎて吐くのは、「生命維持装置」の発動 「指でのどを…」はNG

2015/7/13

酒をついつい飲み過ぎた、つまみの食べ合わせが良くなかった、そして、体調が悪かった……。左党に限らず、酒の身の上話で、誰しもが一度や二度は経験するのが「嘔吐(おうと)」だろう。そう、吐き戻してしまうことだ。酒を飲む上では、なんだか「失態をしでかした」感のある事態ではあるが、実は嘔吐は人間の生命を維持するための、優れた生体反応でもあったのだ!

左党にとって、最も避けたいことの一つ。それは嘔吐であろう。

せっかくおいしい酒を飲んでも、戻してしまっては台無し。だいいち、嘔吐しても、気分が悪いのはすぐに治らない。そんなことは過去に一度や二度、少なからず経験し、痛感しているのだが、それでもごくたまに嘔吐するまで飲んでしまうのが左党の悲しい性(さが)。もちろん、酒が弱い人もいるだろうし、その日に限って体調が悪かったとの原因だってあろう。



左党でなくとも、少なからずの人が経験しているであろう嘔吐は、そもそもなぜ起こるのだろうか? 嘔吐のしくみに詳しい川崎医療福祉大学・医療技術学部の古川直裕教授に話を伺った。

「嘔吐をするまでには、いくつかのプロセスがあります。まず気分が悪い(悪心・おしん)と感じると同時に、唾液が多く分泌するなどの『自律神経反射』が起こります。続いて、小腸から胃への逆ぜん動が起こり、一旦、小腸にある吐しゃ物を胃の中にためこみます。次に、呼吸が停止し、『レッチング』と呼ばれる吸息筋、呼息筋が同時に強く収縮する動きで強い腹圧をかけます。この時、上部食道括約筋(食道の口側の部分)と声門を締め、同時に吐しゃ物が腸に戻らないように幽門(ゆうもん・十二指腸につながる胃の下部)を閉じます。最後に上部食道括約筋を緩め、腹圧を使って、胃の吐しゃ物を一気に口から吐き出させるというのが、嘔吐するまでの一連の流れです」(古川教授)

■嘔吐は生命維持のために欠かせない仕組み

そもそも嘔吐という生理行動は、古川教授によると「人間に備わる生理機序の中で、生命を維持するための最も重要な仕組みの一つ」なのだという。たしかに、体に良くないものを食べたら吐き出すというのは、生命を守るために必要な偉大な防御反応だともいえる。

しかし、嘔吐の研究は動物実験に頼らざるを得ないために、ヒトの生理学としてはまだ解明されていないことも多いそうだ。古川教授によると、嘔吐の原因は、(1)腹部内臓刺激 (2)血液を介するもの (3) 前庭感覚刺激 (4)嗅覚、味覚、視覚性入力によるもの (5) 精神性入力によるもの (6)中枢神経の刺激によるもの、と6つのタイプに分類される。このうち酒が原因による嘔吐は、(2)に該当するという。

■我慢は不要!

「酒を大量に飲み、血中のアセトアルデヒドの濃度が閾値(いきち)を超えると、延髄の最後野に存在する『化学感受引き金帯』という場所に信号が入ります。続いて、口腔(こうくう)咽頭反射や味覚、腹部臓器感覚に関与する孤束核(こそくかく)を通じ、嘔吐中枢へ信号が送られることで嘔吐が起こると考えられています。酒を飲み過ぎて嘔吐するのは、“体が緊急事態にひんしている”というシグナルなので、自然な生体反応に従って、吐けばいいのです」(古川教授)

嘔吐(おうと)は主に6つの要因で引き起こされる



左党の中には、せっかく飲んだ酒を「絶対に戻すまい」と耐える猛者もいたり、人によっては「醜態をさらしたくない」と我慢したりすることもあるかもしれないが、これは体にとっては良くないらしい。

■指をのどに入れて強引に吐くのはNG

一方で「早く楽になりたい」という理由で、指を口の中に入れて、無理に戻した経験は誰しもあるに違いない。しかし古川教授は、「これは極力避けるべき手段です」と忠告する。

複雑なプロセスを経て嘔吐にまで至る



「先に申し上げたように、嘔吐は究極ともいえる“生命維持装置”でもあるため、体にとっては大きな負担になります。吐しゃ物の中には胃酸をはじめとして、脂肪を溶かして消化管粘膜を傷める胆汁も含まれています。嘔吐後に、酸味を帯びたような喉の奥のつかえを感じるのは、胃酸による食道のダメージが少なからずあるためだと推察されます。嘔吐する前段階で、唾液を大量に分泌するのは、食道を胃酸や胆汁から守るためだと考えられています。ですがこうした準備が整わないうちに強制的に吐いてしまうと、食道を傷めてしまう原因になりかねません。過剰なアルコールを排出するためにやむを得ない場合はともかく、無理に繰り返して吐くことは避けるべきでしょう」(古川教授)

では、「吐きたいけど、吐けない」ときは、どのようにすればいいのだろう?

「科学的な裏付けがあり、気分が悪い時に最も手っ取り早く吐く方法としては、少し息をこらえて、においが強いものを嗅ぐというやり方があります。例えば、香水やキムチなどのにおいを嗅ぐことです。きっとすぐに嘔吐が起こるでしょう。ですが、いざというときにそうしたものが身近にあるとは限りませんので、水を2~3杯飲み、胃にさらなる刺激を与えて嘔吐を促すことが無難な方法かもしれません」と古川教授。

■深く酔った後の入浴は嘔吐の原因にも

とここまでは、嘔吐の仕組みや、危険性について述べてきたが、古川教授は「同じ嘔吐でも、さらに大きな負担がかかるものがある」と付け加える。それが酔った後の入浴中に起こす嘔吐である。

「深く酔った時に入浴すると、血流が急激に高まるために、突然、嘔吐することがあります。これはあくまでも私見ですが、アルコールによって脳機能がまひすることで、唾液を多く分泌するなどの自律神経反射が起こりにくくなり、それによって前兆もなく、いきなり嘔吐してしまうのではないかと思われます。前兆のない嘔吐は、食道裂傷を起こしやすく、ひどい場合には出血を伴う可能性があります」(古川教授)

ひどく酔ってもなお、「風呂で汗をかいて酒を抜こう」と思う人は少なくないだろうが、それはあまりにも危険なのだそうだ。「特に泥酔した時などには、翌朝まで入浴を我慢したほうが賢明です」(古川教授)。

■胃液しか出てこない場合は危険信号の可能性も

嘔吐を避ける事前対策としては、やはり悪酔いを防ぐことから。例えば、胃でのアルコール吸収速度を遅らせるため、飲む前にチーズなどのたんぱく質類を軽く入れておくことが挙げられる。

万が一、胃の中に吐くものがなく、嘔吐を何回も繰り返すが、胃液だけしか出てこないような場合には、体が発する危険シグナルの可能性もある。「急性アルコール中毒の懸念もあるため、速やかに救急にかかることをお勧めします」と古川教授。嘔吐が治まる気配がなければ、とにかく素人判断は避けよう。

左党にとって“飲み過ぎ”で病院のお世話になるのは、とてつもなく避けたい状況である。ドクターのお世話になる“最後の砦(とりで)”に至らぬよう、「酒の魔力に溺れない飲み方」を模索してほしい。

(葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト)

参照元 : 日経Gooday

炭水化物が7割超になると死亡リスク上昇

「炭水化物が毎食7割超え」は注意 死亡リスク上昇

2017/11/6



炭水化物(糖質+食物繊維)の摂取割合が非常に多い人は死亡リスクが高く、脂質の摂取割合が多い人は死亡リスクが低いという意外なデータが、世界の18の国・地域の13.5万人以上を対象にした研究で得られました。

■「低脂肪食」は本当に健康に良いのか

現在世界的に用いられている食生活ガイドラインは、低脂肪食(総摂取エネルギーに占める脂質の割合が30%未満の食事)を推奨し、さらに脂質のうち飽和脂肪酸(バターやラードなど常温で固まりやすい脂)を不飽和脂肪酸(魚油やサラダ油など常温で固まりにくい油)に置き換えることによって、飽和脂肪酸の摂取量を総エネルギーの10%未満に制限することを推奨しています(日本の状況は記事最後の囲み参照)。

しかし、こうしたガイドラインは、循環器疾患(心疾患や脳血管疾患など)の患者が多く、脂質の摂取量も多い欧州と北米の人々を対象とした研究結果に基づいて作られたものです。そのため、欧米以外の地域にも当てはめられるのかどうかは不明でした。

そこで今回、カナダMcMaster大学のMahshid Dehghan氏らは、低所得国(バングラデシュ、インド、パキスタン、ジンバブエ)、中所得国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、イラン、マレーシア、パレスチナ、ポーランド、南アフリカ共和国、トルコ)、高所得国(カナダ、スウェーデン、アラブ首長国連邦)の計18の国と地域で行われた、大規模な観察研究「PURE」に参加した35~70歳の13万5335人(年齢の中央値は50.29歳、男性が41.7%)のデータを分析しました。

研究への参加が決まった時点で、それらの人々の食事の内容を調べ、その後、7.4年(中央値)追跡して、あらゆる原因による死亡(総死亡)、循環器疾患の発症と循環器疾患による死亡などの有無を調べました。炭水化物の摂取量が多かったのは中国、南アジア、アフリカの国で、脂質の摂取量が多かったのは北米と欧州、中東、東南アジアの国、たんぱく質の摂取量が多かったのは南米と東南アジアの国の人々でした。

炭水化物、脂質、たんぱく質のそれぞれから摂取したエネルギーが総エネルギー量に占める割合を計算し、最も少ない人から最も多い人までを並べて5等分しました。それら5群のうちの最低群を参照として、最高群の総死亡と主要な循環器疾患(循環器疾患による死亡、死亡を免れた心筋梗塞、脳卒中、心不全)のリスクを評価しました。

■炭水化物が7割超になると死亡リスク上昇が有意に

追跡期間中に5796人が死亡しており、うち1649人が循環器疾患による死亡でした。また、4784人が主要な循環器疾患を経験していました。

最低群と最高群のリスクに統計学的に意味のある差が見られた項目を、栄養素別にまとめると、次のようになりました。

1) 炭水化物:最高群の死亡リスクは28%増

炭水化物については、最低群(総エネルギーに占める炭水化物の割合の中央値が46.4%)と比較した最高群(同77.2%)の総死亡のリスクは28%高く、摂取量が多いほど死亡リスクは高い傾向が見られました。最高群では、循環器疾患以外による死亡のリスクも36%高くなっていました。

摂取量の増加とリスク上昇の関係を調べたところ、総死亡のリスクは、総エネルギー量に占める炭水化物由来のエネルギーが60%を超えたあたりで上昇傾向を示しました。おおよそ70%を超えると、リスク上昇は統計学的に意味のあるレベルになり、それ以降も上昇は続くことを示す結果が得られました。70%を超えると、主要な循環器疾患のリスクも急上昇していました。

2) 脂質:最高群の死亡リスクは23%減

脂質については、炭水化物とは反対に、最低群(総エネルギーに占める脂質割合の中央値が10.6%)に比べ最高群(35.3%)の総死亡リスクは23%低くなっていました。同様に、脳卒中と、循環器疾患以外による死亡のリスクも低くなっていました。

脂質の総摂取量の増加とリスク低下の関係を調べたところ、死亡リスクは、総エネルギー量に占める脂質由来のエネルギーが15%を超えたあたりから、統計学的に意味のある低下を示し、しばらくはその値を維持していました。さらに30%以上になると、摂取量の増加に伴いさらなるリスク低下を示しました。

飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の摂取はいずれも、少ない人より多い人のほうが、総死亡リスクと、循環器疾患以外による死亡のリスクは低いことが示唆されました。

3) たんぱく質:最高群の死亡リスクは12%減

たんぱく質摂取量についても、最低群(総エネルギーに占めるたんぱく質割合の中央値が10.8%)に比べ最高群(19.7%)の総死亡リスクは12%低く、循環器疾患以外による死亡のリスクも15%低くなっていました。なお、動物性たんぱく質の摂取は総死亡リスクの低下に関係する一方で、植物性たんぱく質の摂取は総死亡リスクに影響を及ぼしていませんでした。

これまでに欧米で行われた研究と比べると、今回の分析対象となった人々の炭水化物の摂取量は多く、およそ4分の1が総エネルギー量の70%超を炭水化物から摂取していました。

今回の研究は、「総エネルギー量に対する炭水化物由来のエネルギーの割合が高すぎる人は総死亡リスクが高い」こと、「脂質摂取量は、少ない人より多い人のほうが、総死亡リスクは低い」ことを示しました。著者らは、「低所得国の食生活は、炭水化物の摂取量が非常に多く、それも精製穀物が中心であるため、炭水化物を減らして脂肪からエネルギーを摂取したほうがよい」とし、食生活に関する世界的なガイドラインの再考が必要との考えを示しています。

論文は、2017年8月29日付のLancet誌電子版に掲載されました[注1]。

[注1] Dehghan M, et al. Lancet. 2017 Aug 28. pii: S0140-6736(17)32252-3. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32252-3.

【日本人の食事に占める炭水化物の割合は58.4%】

厚生労働省は、日本人の食事摂取基準(2015 年版)で、炭水化物の食事摂取基準(総エネルギーに占める割合)の目安量は、年齢と性別にかかわらず、50~65%としています。また、総脂質量の目安量は、1歳以上では年齢と性別にかかわらず20~30%となっています[注2]。

また、平成27年国民健康・栄養調査によると、日本人の炭水化物由来のエネルギーが総エネルギーに占める比率の平均は58.4%で、どの年代でもほぼ同様であり、最も多かった70歳以上の人々でも60.8%でした。脂質は平均26.9%で、小児と若者では若干多く、70歳以上ではやや少なくなっていました。

[注2] 日本人の食事摂取基準(2015年版)

参照元 : 日経Gooday




血糖値の急上昇を避ける3つの食べ方 油や酢を味方につけ、野菜からゆっくり

2014/12/22



一大ブームを巻き起こした糖質オフダイエット。チャレンジしたことのある人も多いだろう。しかし、「確かにやせた。でも、リバウンドした」という人もまた多いのではないだろうか。実は、糖質オフダイエットの極意は、完全オフではなく“ちょいオフ”なのだ。ハードな糖質制限に挫折した人こそ必読! 地味ながらも効果的な糖質オフ術をご紹介しよう。

糖質ちょいオフダイエットの基本は、糖質をとりすぎないことだが、血糖値を急上昇させないこともポイントのひとつだ。

以前の記事「あなたの糖質制限はここが間違っていた」でも述べたが、血糖値が急激に上がるとインスリンが大量に分泌される。それは血糖値を早く下げるためだ。インスリンには、使いきれなかった糖を脂肪に変えて蓄える働きがあるため、大量に分泌されると、太りやすくなる。

大量の糖質をとると血糖値は上昇するが、血糖値の上昇のスピードには、食べ方も大きくかかわる。同量の糖質をとっても、短時間にとるほど血糖値の上昇スピードは早くなる。

だから、食事はゆっくり時間をかけて食べることが、とても大切だ。よくかまずに飲み込むような食べ方や、おかずを食べる前にいきなりごはんをかきこんでしまうような食べ方は血糖値を急上昇させ、肥満を招くインスリンを大量に分泌させることになる。





「血糖値を急上昇させない食べ方は、間食への誘惑を断つのにも有効です」と栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅氏は言う。

「ランチで大盛りごはんを食べたのに、すぐにおなかが空いて甘いお菓子を食べたくなることがありますね。実は、わたしたちが空腹を感じるのは、血糖値が急激に下がるときです。血糖値を急上昇させなければ、急に下がることもないので、おなかが空いて甘いものが食べたくなることもなくなります」(栗原氏)

血糖値を急上昇させないための、シンプルなポイントを3つ紹介しよう。

■ポイント1 ゆっくりよくかむ

栗原氏は、1回の食事には最低でも15分くらいかけることを勧める。それよりも時間が短いと、満腹感を得る前に食べすぎてしまう。かまずに飲み込むように食べ物を口に入れている人は要注意だ。

ゆっくりよくかんで食べるには、食物繊維の豊富な野菜やきのこ、海藻などのおかずを積極的に食べると効果的だ。一口30回を目安にするといいだろう。また、一口食べるたびにテーブルに箸を置き、会話を楽しみながら食べるのも早食いを防ぐコツといえる。

■ポイント2 食べる順番を変える

同じメニューでも食べる順番を変えるだけで、血糖値の急上昇を防ぐことができる。

「野菜やきのこ、海藻などに含まれる食物繊維には、糖の消化・吸収を遅らせる作用があるので、食事の最初に食べるといい。これらである程度おなかを満たしてから、肉・魚、そしてごはんへと食べ進むのがコツです」(栗原氏)。これだと、ごはんの食べすぎも抑えられるし、血糖値の上昇がゆるやかになる。

血糖値の急上昇を抑える食べる順番
野菜・きのこ・海藻 → 肉・魚 → ごはん・パン・めん

■ポイント3 油や酢を味方につける

三大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質)のなかで、血糖値を最も上昇させやすいのは糖質だ。脂質はカロリーが高いので敬遠されがちだが、実は消化吸収に時間がかかるので、血糖値は最も上昇させにくい。



実際、長年の臨床経験を持つ栗原氏は、「糖質と一緒に脂質をとると、血糖値の急上昇を抑えてくれる」と言う。「パンにはバターやオリーブオイルをつけて食べる、かけそばではなく天ぷらそばにして、天ぷらから食べる。これだけでも、食後の血糖値の急上昇をある程度抑えることができます」(栗原氏)。

また、栗原氏は「酢にも血糖値の急上昇を抑える働きがあります」と説く。酢は、ラーメンやチャーハン、ギョーザ、春巻きなどの糖質の多い中華料理によく合い、卓上に置かれている。酢の物やピクルスなど酢を使った料理を最初に食べるのも良いそうだ。酢には高血圧や血中脂質を低下させる働きもあるので、生活習慣病の予防にもいいという。

「オリーブオイルや酢を小さい容器に入れて持ち歩き、外食時にふりかけて食べるのもお勧めの方法です」(栗原氏)。もちろん、油や酢をとったからといって糖質のとりすぎを帳消しにしてくれるわけではないし、やせるわけでもない。あくまでも適正な糖質量の食事を続けることが本筋である。

(文:川崎敦子=フリーエディター・ライター)

参照元 : 日経Gooday