2018年6月24日日曜日

WHOがオンラインゲームやテレビゲームに依存して日常生活に悪影響が出る「ゲーム障害」を疾病の1つに加える

ゲーム障害、WHOが疾病に認定 「何でも病気に」ゲーマーからは不満の声

Jun 20 2018



世界保健機関(WHO)は18日に公表した「国際疾病分類」の最新版で、オンラインゲームやテレビゲームに依存して日常生活に悪影響が出る「ゲーム障害」を疾病の1つに加えた。治療の促進が期待される一方で、時期尚早との見方や、ゲームユーザーからの反発の声も上がっている。

◆ゲーム障害、病気と診断される基準は?
WHOは、「国際疾病分類」の中でゲーム障害をギャンブル障害と同じ依存症の一種と位置付け、ゲーム障害の症状の特徴として以下の3つを挙げた。

1. ゲームに関して頻度や時間などのコントロールが損なわれる
2. ゲームの優先順位が上がり、その他の関心事や日常の活動より優先されるようになる
3. 悪影響が出ているにもかかわらず、ゲームを続けたり、エスカレートしたりする

こうした行動が少なくとも12ヶ月続く場合に、ゲーム障害と診断される可能性があるという。

WHOのメンタルヘルス・薬物乱用部門のSaxena 博士は、ゲーム障害にかかっている可能性がある人はゲームをしている人全体の2~3%だと推定している(AP通信)。

◆認定に賛否両論 ゲーマーからは反発の声
ゲーム障害を疾病と認定することには賛否両論がある。認定されることで治療が活発になると歓迎する声がある一方で、単に長時間ゲームをしていることが周囲に病気と受け止められるようになるのではないかとの懸念も出ている。

英国心理学会の広報担当者は、ゲーム障害が認定されたことは「部屋で何時間もゲームをしている子供すべてが依存症だという意味ではないことを理解する必要がある」とし、認定によって親が過剰な不安を抱くことに懸念を表明した(AP通信)。

ツイッター上では、「長時間ゲームをやっているが、自由意志だ」、「これが認められたら何でも病気にされてしまう」などとゲームユーザーから反発の声も上がっている。

また、ゲーム障害の原因の根底にはうつなど別の障害があるという見方もある。心理学者のアンソニー・ビーン氏は、疾病の認定は時期尚早だとし、「不安やうつへの対処が行われれば、ゲームのプレイはかなり落ち着く」と指摘した(米CNN、18日)。

◆入院治療も ゲーム障害への対策進む
疾病としての認定には賛否両論があるが、ゲームのやりすぎで死亡した事例もあり、各国で対策が急がれている。米国では、インターネット中毒やゲーム依存症への対処法として、入院して治療を行うプログラムも実施されている。そうしたプログラムの1つである「reSTART」は、認知行動療法などのケアのほか、栄養指導やスポーツ、週末のアドベンチャー活動といった多彩なプログラムで治療を行うとしている。入院期間は個人の希望も含めて決定されるということだが、問題を多く抱える患者の場合には90日など長期の滞在を想定しているようだ。

日本でも、2011年に国立病院機構久里浜医療センターにネット依存治療部門が設置されるなど、専門的な治療が行われるようになりつつある。

参照元 : newsphere

いまや日本人の死亡原因の2位である心疾患、強烈な苦しみを伴う突然死の代表「虚血性心不全」には予兆がある

日本人の死因第2位「虚血性心不全で突然死」に気を付けろ!

2018/6/17(日) 15:00配信



ピンピンコロリで逝きたい人は少なくない。しかし、死の瞬間にこれまで経験したことのない痛みを味わうのはごめんだ。強烈な苦しみを伴う突然死の代表、「虚血性心不全」には意外な予兆があった。

虚血=血が通わなくなる
「昨日(亡くなる前日)もレストランで一緒にご飯を食べたし、本当に元気だったんだよ。それが突然こんなことになるなんて、信じられない。

朝も元気に食事してたけど、昼ごろから問いかけても返事しなくなって……。我々からすれば突然死ってやつですよ。最後は何もしゃべれませんでした。

(知り合って)45年以上になるけど、病気したことはない。あっけないね。こんな別れがあるのかなあ……」

かの名将、野村克也氏(82歳)は、妻の死について、沈痛な面持ちでこう語った。

「虚血性心不全」――。いまや日本人の死亡原因の2位である心疾患(1位はがん)。

なかでも「突然死」の大半を占めるのが虚血性心不全である。「サッチー」こと野村沙知代さん(享年85)も、最期はこれで亡くなった。

過去にはこんな有名人も、虚血性心不全によって命を落としている。コラムニストのナンシー関氏(享年39)、マエケンこと芸人の前田健氏(享年44)、リポーターの武藤まき子氏(享年71)など。

先日、急死した俳優の大杉漣氏(享年66)も、急性心不全としか発表されていないが、虚血性心不全を起こしていた可能性が囁かれている。

厚生労働省の調査によると虚血性心不全による死亡者数は約10万人('16年)。高齢者はもちろんだが、最近は若い人にも増えているという。

心臓治療を専門とする、すぎおかクリニック院長の杉岡充爾氏が言う。

「虚血性心不全と言えば、昔は高齢者の病気だったのですが、いまはもう50代でも当たり前の時代になっています。

大きな原因は、食生活の乱れや喫煙、社会的ストレス。これにより心臓の血管が傷つき、動脈硬化が進行して心臓への血流が滞ることで起きるのです。現在、糖尿病患者が増えていますが、それに比例して虚血性心不全の死亡者も増加しています」

尋常ではない胸の痛みを伴い、1分で意識を失う人もいれば、30分ほど苦しみ死に至る人もいる虚血性心不全。そもそもどういう病気なのか。

「虚血」とはすなわち、血が流れなくなること。それにより心臓の能力が低下するのが心不全だ。

虚血性心不全は、一般的に知られる狭心症や心筋梗塞を含む。心臓に酸素や栄養を送る冠動脈(血管)が動脈硬化によって細くなってしまい、心臓に運ばれる酸素や栄養が足りない状態になるのが狭心症。血管が完全に詰まって血流が途絶えた状態が心筋梗塞だ。

これらが原因で心臓の働きが弱まることを、総称して虚血性心不全と呼ぶ。

「心臓に血液が行き渡らなくなると、心臓の筋肉は酸素や栄養が不足し壊死します。心臓のパワーが落ちて、全身に血液を送ることができなくなる。これが『虚血性心不全』です。最終的には、心臓が止まり死に至ります」(前出・杉岡氏)

たとえるなら、心臓は車のエンジンと同じだ。車はエンジンや電気系統に問題がなく、ガソリンがエンジンに運ばれることでスムーズに走ることができる。

このガソリン=血液がちゃんとエンジン=心臓に流れないと虚血状態になり、エンジンに異常が起これば心不全、電気系統の異常が不整脈となる。

心臓とは血液=酸素を全身に送るためのポンプでもある。このポンプの不調により、体のさまざまな部分に必要な酸素が送れなくなる状態が心不全だ。大西内科ハートクリニック院長の大西勝也氏が語る。

「心臓が十分な酸素を送れない場合、心臓は送り出す血液の量を増やそうと頑張ります。ただ、そもそも心臓が弱っているので、血液をうまく送り出せないわけです。そうすると心臓の上流に血液の渋滞が起こります。

心臓の上には肺があるので、そこへ水が溜まっていきます。水が溜まって肺の酸素交換の能力が低下し、酸素がうまく取り込めず息苦しくなるのです」

健康診断では分からない
心臓は、少々無理をしてでも動き続ける臓器なので、意外と異常に気がつかない。そのため一見、元気な人でも、ある日突然亡くなってしまうことがあるから厄介だ。

「虚血性心不全は、健康診断ではなかなか見つけにくい病気です。心臓に負荷がかかっていない状態、安静にしている状態では、心臓もたいして働かないので、冠動脈が細くなり虚血状態になっていても自覚症状はありません。日常生活だけなら、少ない血液の流れで十分やっていけるんです。

ところが運動時になると大量の血液(酸素)が必要となるため、虚血状態の方は、心臓に十分な血液を送ることができず酸素不足となります。そのためすぐに息切れしたり、胸が苦しくなったりする。

運動時に心電図をとることができれば異常が出るのですが、通常の健康診断でそんなことはしないので『異常なし』と見逃されることが非常に多いのです」(前出・杉岡氏)

心臓の場合、血管が元の50%~60%くらいまで細くなっても、なかなか症状が出ず、100%近く細くなって初めて症状が現れるケースも多い。

自覚症状がないまま、ある日突然命を落とす……「ポックリ逝けるならいいじゃないか」と思うかもしれないが、亡くなる瞬間の痛みや苦しみは、筆舌に尽くしがたい。できることなら避けたいが、発症を事前に予測するのは難しいのが現状だ。

とはいえ「予兆」がまったくないわけではない。じつは虚血性心不全には、意外にも「夜間頻尿」が関係しているという。

北上中央病院副院長で泌尿器科の菅谷公男氏は「夜に何度もトイレで目が覚める人は、注意が必要です」と語る。

「自覚症状のない虚血性心不全が夜間頻尿を引き起こしている場合もあります。慢性の心不全になると、心臓の負担を少しでも減らすためにBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)という排尿を促進するホルモンが分泌されます。

そのためトイレが近くなってしまうのです。つまり心臓に問題を抱えている人は、夜間頻尿である可能性が高い」

「むくみ」も予兆の一つ
実際、夜間頻尿のある人は、虚血性心不全や脳梗塞などの血管疾患が発生しやすく、生存率が低くなることがスウェーデンの研究機関の調査で確認されている。



「また、高齢者になれば唾液の量が減るので、のどが渇き、ついつい水を飲みすぎる傾向がありますが、できるだけ水分は控えたほうがいい。

血液がサラサラになり、脳梗塞や心筋梗塞が予防できると信じて就寝前や夜間にたくさんの水分を摂る方がいますが、科学的根拠はありません」(前出・菅谷氏)

水分を摂りすぎると、当然手足に「むくみ」がでてくる。このむくみも虚血性心不全の予兆の一つとなる。

「むくみがひどい場合は、心臓に問題を抱えている可能性があります。心臓のポンプ機能が低下すると、より多くの血液が必要になるので、体が水分を溜め込むようになる。それがむくみの症状となって現れるのです。

寝ると人間の体はリラックスします。すると組織の間に逃げ込んでいた水(血液)が血管に戻る。戻った水は尿として体外に排出しようとするので、夜間頻尿になるのです」(前出・大西氏)

対策として就寝前の「足上げ」が効果的だという。やり方はいたって簡単。仰向けになり、枕、椅子、クッションなどに両足を乗せるだけだ。

「ポイントはひざ下からふくらはぎの部分を乗せることです。就寝前にこの姿勢をとることで血の巡りが良くなります。心臓や血管のポンプ機能が改善され、虚血性心不全の予防効果も期待できます」(前出・菅谷氏)

夜間頻尿に加えて、胸の痛みを感じる人は特に注意が必要だ。

5分ぐらい胸全体がグーッと締め付けられるような痛みが、虚血性心不全の特徴だという。「1週間痛みが続く」、「毎日、胸が痛い」場合は、虚血性心不全ではなく、別の病気の可能性が高い。

「朝の通勤時に、駅まで10分ぐらい歩いていたら締め付けられるような胸の痛みを感じた。でも、我慢して歩き続けていたら平気になって、『さっきのは何だったんだろう』と思う。予兆としては、これが一番多いですね。

怖いのは、血管の壁のパンパンに張ったプラーク(動脈硬化病巣)が破れたときです。そうすると、切れたところから内出血を起こし、血の塊ができ、一気に詰まってしまいます。

でも、それまでは血が流れているので症状は出ません。いわゆる『潜病』の状態です。ある日、その爆弾がドンと破裂して、虚血性心不全で死亡してしまうのです」(前出・杉岡氏)

歩くのが遅くなったなど、運動時に異常がある場合は、虚血性心不全の予兆かもしれない。

手足の冷えにも注意
なんとか検査によって、その兆候を見つけることはできないものか。



「プラークというのは、心臓の冠動脈だけにできるわけではありません。ですから、ほかの血管の状態をみることで、ある程度、予測することはできます。

僕らがよく検査をするのは頸動脈です。頸動脈にプラークがたくさんある人は、心臓の血管にもプラークが多い。これは『頸動脈エコー』という検査で簡単に診ることができます。

一般的な健康診断には含まれていないことが多いのですが、60歳を過ぎたら絶対にやったほうがいいと思います」(前出・杉岡氏)

胸の痛みに加えて、こんな予兆もあると、みなみ野循環器病院院長の幡芳樹氏は指摘する。

「左肩が痛い、腕がしびれる、みぞおちが痛い、歯やあごが浮く感じがすると訴えて来院される方もいらっしゃいます。

胸に症状がまったくない人は心疾患の可能性は低いですが、同時に胸が痛む人は、虚血性心不全の予兆かもしれないので、検査をおすすめします。

高齢者の虚血性心不全の場合、腹痛や腹部不快感を抱いたり、全身の熱感や発汗が強くなったりする人もいます。これは心臓の働きが悪くなり、それを防ぐために自律神経の交感神経が作動して闘争的な生理状態となるためです」

他にもいびきがひどい「睡眠時無呼吸症候群」の人などは、虚血性心不全のリスクが上がる。さらに手足の冷えも心臓に関係しているという。

「心臓の動きが悪くなり酸素が足りなくなると、優先的に脳や肝臓など重要な臓器に回されるように人間の体はなっています。結果、手足への酸素供給が少なくなり、冷たくなってしまうんです」(前出・大西氏)

これらを放置しておくと最悪の場合、虚血性心不全に発展する可能性も十分ある。一度、ページ末のチェックリストを参照してほしい。

「虚血性心不全は、成人であれば誰でもなる可能性があります。動脈硬化は若い人でも少なからずあるものなので、それをいかに管理していくかが重要です。

当たり前ですが、生活習慣を見直し、内臓脂肪を減らす。ウォーキングなど有酸素運動を毎日続けることが一番の予防になります」(前出・幡氏)

最期に苦しまずに逝くためにも、自分の身は自分で守るしかない。

「週刊現代」2018年3月31日号より

参照元 : 週刊現代

耳かきで鼓膜損傷? メリットの少ない耳かき

実はコワイ!「耳かき」で病気になるってホント?

2018/6/17(日) 17:45配信



文部科学省が子どもの健康状態を把握するために行っている調査によると、中耳炎や外耳炎など耳の病気のある小中学生の割合が増えているようです。アレルギー性鼻炎の増加や、耳かきをし過ぎて傷つけていることなどが原因だと言われています。



◆耳垢って何?
「耳垢」(じこう、みみあか)は主に耳の穴から鼓膜の間(外耳)で発生し、新陳代謝で古くなった外耳の皮膚の一部や、耳に入ったホコリ・ゴミ、さらに皮膚から分泌される液体によってできています。外耳は鼓膜までの部分を言いますので、耳垢は中耳とは関係がありません。

◆耳垢の働き
耳垢には良い面と悪い面があります。

■良い面
・外耳の皮膚の潤いを保つ
・抗菌作用

■悪い面
・耳垢が多いと、外耳道を詰まり、聞こえにくくなる

◆耳垢を取るべき?
外耳道には、顎を動かすことなどで耳垢を自然に排出させるシステムがあるため、無理に取る必要はありません。特に、乾いた耳垢は自然に排出されます。むしろ耳垢を取り過ぎると、外耳は乾燥しやすくなってしまいます。さらに、カビや細菌が繁殖することで慢性的に炎症を起こし、耳垢が湿ってしまうことで、より耳垢が自然に出にくくなることもあります。これを、慢性外耳炎と呼びます。

◆耳垢を取る時に
耳の穴には迷走神経という副交感神経が走っていて、この神経には体をリラックスさせる作用があります。耳掃除が気持ちいい理由が分かりますね。とはいえ、耳垢の取り過ぎは良くありません。

◆正しい耳垢の取り方
耳垢の掃除は週に1回から月に1回程度に留めましょう。耳かき棒は耳の奥まで押し込まないようにします。綿棒を使用する時も同じです。 耳垢を鼓膜の方へ押し込んでしまうと、鼓膜自身を傷つけたりしますので、できれば耳の穴(入口)から1cmぐらいの所で耳垢を取るようにします。

また、耳垢の状態によって対応が異なります。乾いた耳垢なら、なるべく耳垢を取らなくてもいいですし、湿った耳垢なら耳かきで耳の外へと取り除きます。

耳かき棒であまり耳垢を取ろうとすると、外耳の皮膚を傷つけて、外耳炎を起こしますので、強くこすらないようにしましょう。また、全ての耳垢を取りきらないようにしましょう。

◆耳垢に関するウソ? ホント?

■耳垢を取らないと中耳炎になる?
【×】
中耳炎は、鼓膜の内側で起こる炎症です。原因の多くは、風邪などによって耳管から細菌が耳に入ることがあります。外耳にある耳垢は中耳炎に関係がありません。

■ワキガの人は耳垢が湿っている?
【○】
ワキガは腋臭症と言い、腋の下からの汗が刺激のある独特なにおいを発することを言います。この汗を出すのがアポクリン汗腺です。耳垢が湿るのは、外耳のアポクリン汗腺によることが多いです。このアポクリン汗腺が多いことが、ワキガの原因になっています。

■耳垢を放置すると聞こえなくなる
【基本は×、まれに○】
耳垢塞栓を起こすほど放置すると、外耳道が詰まっている状態ですから聞こえなくなります。ただし多くの場合、耳垢は自然に出ていきますので、乾いている場合は無理に取る必要はありません。湿っている場合でも炎症などを起こさない限り、問題ないことが多いです。

■耳掃除は気持ちいい?
【○】
耳の穴にはリラックスさせる迷走神経があるので、耳かきで迷走神経を刺激すると気持ちよくなります。

■耳掃除で咳が出る?
【○】
迷走神経は内臓に関わる神経で、一部外耳にあります。この迷走神経が刺激されることによって、咳が出ることがあります。

■花粉症があると耳垢が多い?
【×】
花粉症などのアレルギー性鼻炎の合併症として、中耳炎を起こしますが、鼓膜より外側の外耳には影響しません。

■耳垢は汚い?
【×】
耳垢は、古い皮膚などが集まったものですが、抗菌作用、カビや細菌が繁殖しないように耳の状態を保持していますので、汚いものではありません。皮膚の垢ということで、悪いイメージになっているかもしれません。

参照元 : All About


耳・鼻・喉の病気/その他の耳の病気 平手打ち、耳かき……鼓膜が破れる原因と治療法

鼓膜の話、中学の理科で習った曖昧な記憶はあるけど、それ以上は習った事がない人が多いはず。鼓膜のために一番大事なのは耳かきをしないことです。

鼓膜とは

鼓膜については、音を伝えるという生理機能があることを知っていれば十分ですが、鼓膜の病気を考え場合、少しだけ解剖の知識が必要となります。

鼓膜について理解するために最低限必要なのは、鼓膜は一枚の膜ではないという知識です。鼓膜は、耳の外側(外耳側)と中耳側の2枚が合わさってできています。一般的に耳の穴と呼ばれる外耳道の長さは約3cm、鼓膜の直径は約1cmくらいです。



糸電話の底の部分が鼓膜です

鼓膜損傷、鼓膜の病気の主な原因
鼓膜の病気の原因は、耳(外耳)側と、中耳側(耳管)の両方が考えられます。鼓膜の病気の原因としてよくあるのは、衝撃、音、気圧などの物理的なものと、微生物や昆虫などの生物学的なものに分けられます。病態としては修復過程、炎症が起きています。

以下で詳しく解説しますが、鼓膜は

・顔への平手打ちなどの空気圧
・航空性中耳炎
・鼻かみ
・昆虫
・耳かき

などによってダメージを受けることがあります。

通常、鼓膜に腫瘍はないと考えて良いです。真珠腫という病気がありますが、これも腫瘍ではなく、修復過程に相当します。

鼓膜損傷の主な自覚症状は、音の感じ方の変化と痛みです。物理的病因で起きる音響外傷や、生物学的病因の微生物(主に細菌)による中耳炎、耳管開放症については、今回は取り上げません。

鼓膜が破れた!? 鼓膜損傷が疑われる場合はすぐ耳鼻科へ 他の器官や身体の部位と異なり、直接力が加わらなくても外傷がおきることも、鼓膜に起きる外傷の特徴といえるでしょう。空気圧の変化により鼓膜が破れることもあります。

鼓膜損傷の原因としては顔(耳の部分)への平手打ちがあります。人間関係を円滑にするに、あえて平手打ちを受けた方が良いシーンがあるのかもしれませんが、耳への平手打ちは速度が遅かったり、力が弱かったりする場合でも、鼓膜損傷を引き起こす場合があります。

状況はともかく、平手打ちを受けた後に音の聞こえ方が変わった場合は、鼓膜損傷の可能性があります。放置しても鼓膜には再生力がありますが、損傷の程度を確認するために一度耳鼻科を受診することをお薦めします。

耳抜きで治ることが多い航空性中耳炎
いわゆる航空性中耳炎では、気圧の変化により鼓膜の変化が起きることがあります。中耳側の圧力は耳管を通じて調節されていますが、鼓膜側の圧力の変化に追いつかない場合、一時的に鼓膜の張り方が変化し、航空性中耳炎の状態になることがあります。この場合、音の聞こえ方が変わります。

エレベーターが高速で動くと、動く方向の空気を圧縮して逆方向の空気が膨張されるために、エレベーター内の気圧は変化します。高層ビルにあるエレベーターで経験したことがある人が多いと思いますが、これも航空性中耳炎の一種です。

但し、中耳炎といっても本当の炎症ではありません。経験則で知っている方が多いと思いますが、鼻をつまんで唾液を飲み込むと治ります。ダイビングの耳抜き法ではトインビー法と呼ばれている方法ですので、通常耳鼻科などに行く必要はありません。

花粉症の人が注意すべき、鼻かみ時の鼓膜損傷
花粉症の人では、鼻に関しては鼻水と鼻づまりが起きます。耳管も同時に詰まりやすいので耳閉感も起こりがち。片方の鼻の穴を押さえてティッシュペーパーで鼻をかむのは、誰でもやる動作です。ダイビングの耳抜き法のバルサルバ法に近い形です。

しかし、耳管が急に開くと鼓膜に強い圧力がかかる事があります。この時に鼓膜損傷がおきてしまう可能性があります。花粉症の受診で耳鼻科に行った時には、念のために鼓膜も診てもらうのがよいでしょう。

昆虫も生物学的病因?
鼓膜の病気と考えるべきか疑問点もありますが、外耳道への昆虫の侵入も病因となります。難しい言い方ですが、外耳道異物の分類では昆虫は有生異物といいます。

昆虫は糖質の一種でできた外骨格で覆われており、鼓膜よりも固いので、外耳道内で暴れられると鼓膜損傷の原因となります。昆虫が出ても鼓膜が損傷している可能性があるので、民間療法もあるようですが、耳に昆虫が入った場合は耳鼻科を受診することを強く勧めます。

耳かきで鼓膜損傷? メリットの少ない耳かき
鼓膜及び外耳道の病因で予防可能なのは、耳かきによる外傷です。道具を使う生物は人を含めて非常に少数。陸上で生活する哺乳類の耳の構造は基本的には同じですが、道具を使って耳かきが可能なのは人を含む類人猿だけです。

なぜ耳かきをするか考えたことはありますか? 耳垢=悪いもの、汚れ、という先入観があるために、きれいにするのが良いことだと考えている人が多いのかもしれません。

医学的には何を耳垢と定義するかは意見が別れるところですが、耳垢にはちゃんと役割があります。外耳道の病因で一番多いのは外傷。外傷に続いて、感染が起きると外耳炎となります。耳垢の役割は駅の掃除に使う「おが屑」と同じで、外耳道を掃除することです。耳垢の成分には細菌感染を予防する成分が含まれています。耳垢は悪者ではないというのが最近の考え方です。反論としては、耳垢栓塞(じこうそくせん)といって耳垢が固まって外耳道を塞ぐ病気があるという方がいると思います。鼓膜に耳垢が付着して異音が聞こえる事もあります。実は耳かき(耳掃除)の時の耳垢を押しこむのが耳垢塞栓と、鼓膜への耳垢の付着の病因となります。耳かきを使って外耳道を擦るような耳掃除は医学的には不要と断言しておきます。

余談ですが、手がない上に、解剖学的にも外耳道が非常に狭く、絶対に耳かきができない生物として、クジラが挙げられます。耳かきができないからといって、クジラが耳にトラブルを抱えがちであるという話はありません。クジラの耳には耳垢栓が溜まっていますが、木の年輪のように耳垢栓から年齢を推定することが可能なクジラがいるくらいです。

破れた鼓膜の穴はどう塞ぐ? 「鼓膜穿孔閉鎖術」
中耳は中耳内の圧力を調節するために耳管で外気とつながっていますが、通常は耳管は閉じています。鼻炎からの炎症が中耳に及ぶと中耳炎になることがあります。中耳炎などの場合、医学的理由(膿を出す目的)で鼓膜切開を行うこともあります。

基本的に、鼓膜には再生力があり、自然治癒します。

しかし原因は問わずに鼓膜穿孔を繰り返すと、鼓膜に穴があいた状態のままになることがあります。鼓膜に開いた穴から空気を伝わって、中耳で微生物による炎症が起きることはまずありませんが、外耳道に水が入った場合、水の中の微生物(細菌)や外耳道からの細菌が中耳にはいって、中耳炎を引き起こします。鼓膜に穴が開いた状態では、入浴時には耳に水が入らないように注意することは可能ですが、プールや海水浴やダイビングは禁止ということになります。

治療法として挙げられるのは、「鼓膜穿孔閉鎖術」といって短時間で穿孔した部位を塞ぐ手術法です。外耳道側と中耳側を貼りあわせている生体成分は主にコラーゲンなので、大まかに言うとコラーゲンの糊を使って穴を塞ぐ治療法だと説明できます。全例に対して適応がある訳ではありませんが、侵襲が少なく全身麻酔を必要とせず外来手術で実施できる方法です。

参照元 : allabout


2018年6月15日金曜日

厚生労働省が発表した衝撃の内容 処方薬や市販薬の新しい「使用上の注意」や「重要な副作用」

新たに判明!売れに売れているあの薬の「ヤバい副作用」 厚労省が発表した衝撃の最新情報



「今年4月18日に厚生労働省が発表した『医薬品・医療機器等安全性情報』の内容は衝撃的なものでした」

こう語るのは、都内の総合病院で働く精神科医。

「この文書はほぼ毎月のペースで発表されるもので、処方薬や市販薬の新しい『使用上の注意』や『重要な副作用等』が記されています。

4月の文書には通常より大幅に数の多い薬の副作用について改訂がありました。そしてそのほとんどが、催眠鎮静剤や抗不安剤だったのです」

たとえば睡眠薬として非常によく処方されているハルシオン。この薬には以下のような注意喚起がなされている。

「連用により薬物依存を生じることがあるので、漫然とした継続投与による長期使用を避けること。本剤の投与を継続する場合には、治療上の必要性を十分に検討すること」

同様の注意書きが、コンスタン、ルネスタ、アモバン、マイスリー、サイレース、リスミー、デパスといった38種類の薬に追加されている。

薬の種類は催眠鎮静剤、抗不安剤、抗てんかん剤、精神神経用剤などだ。とりわけ目立つのがベンゾジアゼピン系(ハルシオン、コンスタン、デパスなど)と呼ばれる向精神薬。

松田医院和漢堂の松田史彦氏が語る。

「ベンゾジアゼピン系の薬は、欧米では'70年代から'80年代にかけて依存性が問題になり、慎重に使われるようになりました。

ところが、日本ではそうした弊害についての情報が出回らず、患者も医者も危険性について認識していなかった。その結果、ベンゾジアゼピンの処方量は日本が世界トップクラスであるという異常な事態になっていたのです。

今回、ようやく厚労省が38種類の向精神薬について注意喚起しましたが、欧米に比べて30~40年遅れという印象ですね」

これまで野放し状態にあった薬の副作用が、現在になって改めて注目されているのはなぜだろうか。前出の精神科医が語る。

「高齢の患者が長期的に飲んでいるケースが増えているからです。

とりわけデパスは昨年10月に取り扱いの厳しい第三種向精神薬に指定されるまでは、非常に気軽に処方されていた薬です。

ちょっと気分が優れない、元気が出ないというだけで惰性的に出してもらう患者も多かった。なかには肩こりに効くといって出している医者もいたくらいです」

ベンゾジアゼピン系の薬には依存性があり、習慣化すると飲むのをやめるのが難しい。埼玉医科大学病院の上條吉人教授が語る。

「薬を急にやめると不安になる、胸がドキドキする、手が震える、痙攣、せん妄などの離脱症状(禁断症状)が出ます。

この薬には神経細胞の活動を抑制する脳内物質の作用を増強させる働きがあります。高齢者の場合は、認知機能の低下や譫妄にもつながり、長期的に服用すると認知症の発症率も高くなることがわかっているのです。

さらに筋弛緩作用もあるので、ふらついて転倒・骨折し、そのまま寝たきりになってしまうケースもあります」



精神科の医者であれば、依存性などに関する情報も把握している場合が多い。しかし、これらの薬は内科や整形外科でもしばしば処方されるため、最新の情報に触れる機会のない医者たちが依存性などを軽く見て、漫然と処方してきたという問題もある。

「うがった見方をすれば、患者さんが催眠鎮静剤によって依存状態になれば、一生医療機関に通い続けることになる。これが、医者にとっての『固定資産』になっている面も否めません。

実際、私が催眠鎮静剤の危険性をテーマに講演をしても、『依存して何が悪い』という態度の医者もいます」(上條氏)

遅すぎた対応かもしれないが、これだけの薬に厚労省の注意喚起が行われるのは異例のこと。自分の飲んでいる薬が含まれていないか、確かめたほうがいい。

「週刊現代」2017年5月27日号より

参照元 : 週刊現代