2016年6月29日水曜日

リンゴに人間の(DNAを含む)細胞を埋め込み、培養することで耳を作り上げることに成功

人間の細胞をリンゴに移植、耳を作り出すことに成功! マッドサイエンティストのヤバすぎる人体再建計画とは!?

2016.06.21

近年目覚ましい発展を遂げている再生医療だが、今後広く実用化するためには、安全性の確立はもちろんのこと、細胞の大量供給や高額な費用といった課題をクリアしなければならないと考えられている。そして今、これらを一気に解決する糸口となり得る研究成果が発表されたとして話題になっている。なんと、リンゴから人間の耳を作り出せることが判明したというのだ。



■移植・再生医療が抱える大きな課題とは?

今月16日付の英紙「The Daily Mail」によると、再生医療に一石を投じる研究成果を学術論文サイト「PLOS ONE」と世界的講演会「TED」で報告したのは、カナダ・オタワ大学の科学者アンドリュー・ペリング教授だ。“バイオハッカー”を自称し、科学界では“マッドサイエンティスト”の異名をとるペリング教授のポリシーは、「慣習や常識にとらわれず、ゴミからお宝を見つけること」。つまり、ほかの科学者が見向きもしない方法で、画期的なアイデアを形にしようというのだ。



そして今回、教授が目をつけたのは、移植・再生医療が抱える大きな課題「臓器不足」と「高額な費用」の解決法だった。臓器移植のドナー不足を解消するカギは、患者自身の幹細胞から人工的に臓器を作り出すことにあり、その技術も着々と発展しつつある。

しかし、従来の方法では複雑な行程を必要とするうえ、莫大な費用がかかってしまう。これらを一気に解決しようとする教授は、なんとモデルケースとしてリンゴから人間の耳を生み出す実験を試み、成功させたという。では、彼は一体どのようにリンゴを人間の耳に変えたのか?



■リンゴに人間の細胞を埋め込み……!

ペリング教授はまず、マッキントッシュ(日本名「旭」)と呼ばれる品種のリンゴを用意し、妻に人間の耳をかたどって切ってもらった。次にそのリンゴ片から、(DNAを含む)細胞の中身をすべて抜き取り、言わば“抜け殻”にする。この状態のリンゴ片は、原型を留めていても単に細胞壁と繊維から構成される「セルロース」である。博士は、この「セルロース」を耳の足場材料として、そこに人間の(DNAを含む)細胞を埋め込み、培養することで耳を作り上げることに成功したのだ。



「これは決して気持ちの悪い話などではないのです」

「リンゴが、ほかのものと比べていかに安価な足場材料になれるかということを示した点に、この実験の意義があるのです」

「キッチンで使う材料から人体再建が可能になる日が、本当に待ち遠しいですね」(ペリング教授)

現在、足場材料には一般的に実験動物や献体が用いられており、極めて高価であるうえ問題も多いのだとか。これをリンゴで代用して作り上げた組織を人体に埋め込んでも、問題はないと考えられるという。博士は今後、同様に私たちの身近なものを用いて肝臓、心臓、皮膚などを作ってみたいと語る。特に、脊髄を培養するためにはアスパラガスが最適ではないかと考えているようだ。



■組織培養キットの一般発売も!?

ペリング教授は、今回の研究を通して抱いた想いに突き動かされて「Spiderwort(ムラサキツユクサ)」という企業を設立。この技術をより多くの人に届け、社会を啓蒙したいと、誰でも自宅で簡単に組織培養が可能になるキットを発売する予定だ。オフィシャルサイトでは先行情報が公開されているので、興味がある人は覗いてみるとよいだろう。

「私は意識的に、慣習にとらわれずクリエイティブでいたい」

「いろいろなアイデアが浮かんだら、まずはそれをやってみることが大切です。たとえ失敗が多かったとしても」(ペリング教授)



なお、博士が今回の研究を思いついたのは、ミュージカル「リトルショップ・オブ・ホラーズ(LSOH)」に登場する巨大植物モンスター「オードリージュニア」の姿を目にした時だという。最初の衝動は、「このようなモンスターを研究室で生み出せるのではないか」というものだったとか。

まさに「天才と狂気は紙一重」という言葉が浮かんでくるようなエピソードだが、博士の研究が今後の移植・再生医療に大きな影響を与えることは間違いないだろう。誰に何を言われようとも、自らの興味と信念に基づき研究に邁進してもらいたいものだ。

(編集部)



参考:「The Daily Mail」、「SPIDERWORT」、「PLOS ONE」、「TED」、ほか

参照元 : TOCANA


HOW THE PELLING LAB MADE HUMAN EARS FROM APPLES

The researchers took cells from an apple and removed the apple cells and DNA.
After this, what was left wasthe 'cellulose scaffold' which gives plants their shape and texture.
Removing the apple cells left what appears as holes in microscope images of the apples.



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