2017年1月26日木曜日

虫歯は安易に削らない方がいい!虫歯も歯周病も自然治癒力で治る「ドックベストセメント療法」

削らなくても自然に虫歯が治る「ドックベスト療法」とは?〜小峰歯科医院・小峰一雄院長に聞く①

2016.12.24



「虫歯は安易に削らないほうがいい」

これって正解? 不正解?

ネット書店の歯の医学書ランキングで第1位、一時品切れ状態も呼んだ話題の書、『名医は虫歯を削らない――虫歯も歯周病も「自然治癒力」で治す方法』(竹書房)。その書名どおり、著者の小峰一雄院長(歯学博士・小峰歯科医院理事長)は「虫歯を削らない」主義者だ。

「実は海外では、20歳以下の子供の歯は削ってはならないというのが常識になっています。なぜならば、成長期の子供の永久歯を削ってしまえば、30歳までに抜歯することとなる確率がかなり高い事実が統計的にも明らかになっているからです」



「歯の神経を抜いたその日から、抜歯へのカウントダウンが始まる」と小峰院長は言い切る。なのに「削らないと儲からない(わが国の)保険診療の弊害」がある。さらには歯科医院のうがい水は「細菌だらけ」で、削ったままのフタなし状態でうがいさせることは「傷のある体でどぶ川を泳がせるような無謀なこと」とも語る。

「そればかりか、口中の無数の細菌が抜歯時にできた傷口から血液中に流れ込み、全身を回って菌血症になる場合がある。菌血症自体は軽い症状で落ち着いても、ときに髄膜炎や心筋梗塞、脳梗塞など、命に関わる病気を引き起こす例もあり、私の周囲でもそれらの発症前に歯を抜いたという人は少なくありません。3日以内の抜歯など、出血を伴う歯科治療を受けた人が献血できない理由もそこにあります」

銅セメントが口中から人類を救う?

では、「削らない」「自然治癒力」だけでどう治すというのか? そんな魔法ともいえる治療方法が、小峰院長が実践するのが「ドックベスト療法」だ。

米国で開発されたドックベスト療法は、殺菌作用のある銅2%と鉄1%、さらに複数のミネラルが含まれた「ドックベストセメント」を用いる。そのセメントを虫歯の穴に詰めると虫歯菌を死滅させ、歯の再石灰化を促してくれる、いわば「栄養素の塊」というわけだ。しかも、治療時間はわずか10分程度というから驚く!



「これで虫歯の痛みや進行は止まりますが、虫歯が霧散したわけではない。治療は10分ですが、菌のない密閉された状態で1~2年間、じっくりと時間をかけて再石灰化するのを待ちます。この間、とくに痛みが出るなどの異常がなければもう、虫歯は治ったと考えていいでしょう」

実はこのドックベストセメントの前身であり、「カッパーセメント(銅セメント)」と呼ばれた薬自体は19世紀後半時点で既に登場していた。現役の御年輩の金属冠を外し、中に赤いセメントが詰めてあれば、それが件のセメントだという。その世代の虫歯ができない治療痕に注目し、カッパー(銅)の抗菌メカニズムを研究して治療や予防に役立てようと考えたのが、歯科医のDoc Holliday氏だったという話。

短時間治療で傷みなし、成功率9割強!

しかし、Doc氏の革新的な研究成果は、歴史の影に葬られた。虫歯が再発しないことには歯科医が儲からない。不利益ゆえに隠蔽されたのだ。その功績が新世代の米国人歯科医、Tim Frazer博士によって掘り起こされ、自然治癒力を活かした治療法として現代に蘇った。

歯を削らずに治す同療法の日本における第一人者として、小峰院長が注目を浴びた直接のきっかけは、2011年放送のTBS系『世界のスーパードクター』だった。が、その当時からも日進月歩の勢いで治療の進化は著しいと小峰院長は語る。

「以前は1~2年後にフタを取って、再石灰化したかどうかを確認してから仕上げの被せものを行なっていました。ところが成功率が90%以上に進んだ現在では、再石灰化することを前提に施術していますから、実質治療は1回で終わらせる例が大半です」

同書に掲載されている小峰歯科医院の治療価格表(2016年11月現在)によれば、「ドックベスト治療1日で完了」の場合で費用は1万6000~2万5000円とある。現状では保険診療対象外の治療法ゆえ、一見、高く感じるかもしれない。が、削ることから生じる将来の歯の治療費(その総額)を思えば、1回で済むこちらのほうが安いともいえるだろう。

巻末には「削らないドックベスト療法導入」の全国歯科医院のリストも載っている。これからは虫歯は削らない派が主流となるのだろうか? 読んでから自らでご判断を。

(取材・文=編集部)

参照元 : healthpress




悪い歯科医がはびこる原因は治療費を貢ぐ患者がいるから!ダメな歯科医院の見抜き方は?

2016.09.06



「その国」の歯科治療費は現在、経済協力開発機構(OECD)加盟先進国平均の10分の1。米国の専門医と較べたら20分の1、いや、比較対象によっては30分の1もの開きがある。

また、10年程前の時点では、同先進国平均の6分の1から8分の1、米国比で12分の1から20分の1だったというから、「その国」の歯科治療費がいかに「世界相場から置かれていってるか」がわかるというもの。

「その国」とは他でもない、国民皆保険のわが国、ニッポンである。

いま話題の一冊『歯医者の99%は手抜きをする』(竹書房刊)はタイトルもド直球(いや、死球か?)ならば、帯の惹句でも「なぜなら、そうしないと儲からないから」と、かなり刺激的な内容を示唆している。著者の歯学博士・長尾周格氏(稲毛エルム歯科クリニック)は言う。



「日本の保険診療は世界に誇る最高のシステムだと堤未果さん(ジャーナリスト)は仰る。じゃあ、なんでこんなに日本人の口の中をぐちゃぐちゃにしてるんだ、明らかにおかしいだろ! と。結局、悪い歯医者が世にはびこる最大の原因は、彼らに治療費を貢ぐ患者がいるからですよ。お医者様は偉いという医療信仰から成り立っているんですよ」

治る歯も治らない口腔アリ地獄

長尾氏がWHO調査に基づき一部独自に算出した結果では、人口10万人当たりの日本の歯医者数は74人。米国153人、英国97人、スウェーデン80人、ドイツ75人などの先進諸外国比でも、辛うじてフランス67人よりは上、巷間いわれる「過剰気味の歯科医師界」は見当違いな見立てだとわかる。

「厚生省の調査結果(平成23年)によれば、歯科医の1日平均来院患者数は全国平均で20.0人。東京都にいたっては15.3人しかいませんから、採算の目安とされる1日あたり30人とはほど遠い。その目標値自体が間違っているし、実質30年以上も変わらない厚労省の歯科医療費抑制政策によって、日本の保険歯科診療はいびつに歪んでしまったわけです」

普通の(良心的な)経営努力のみでは成り立たない斯界では「健全でない経営努力」が横行する。長尾本によれば、①診療の質を極限まで下げること、②架空請求や水増し請求などの不正請求を行うこと、③保険外の診療を患者に売りつけ、ぼったくること、この3つの「悪しき経営努力」が行なわれているという。

「うちのクリニック(=保険外診療)にも、他の歯医者で本来は削る必要もない歯を何百万円もかけて全部削って、という患者さんが来る。その治療も適当ですから、全部やり直して治そうと見積もれば、優に400万~500万円はかかる。僕がもし患者さんだったら、その歯医者を訴えたいとは思うけれども、日本の医療訴訟はまず勝ち目がないからやりきれないですよね」

歯科医は好立地であれば「やったもん勝ち」

しかし、今日の情報社会では悪評ふんぷん系が淘汰されるのも道理だ。中古医療機器市場でも廃業放出品が最も多い斯界だが、経営の明暗が分かれる理由は「評判」ではないそうだ。

「一番の理由はやはり〈立地〉です。うちのような自費クリニックは、多少駅から離れた雑居ビルの5階で開業しようが、患者さんのほうから来てくれる。逆にいえば、立地のすごく良い場所でやれば、結構ひどいことをやってても成り立つ〈やったもん勝ち〉の世界。立地が悪いと先生の腕がすごく良くても患者は訪れない。物件を扱う業者さんにも、けっこう知り合いがいますが、歯科医経営に関しては、やはり立地だろうと僕は思いますね」

採算分岐点(来院患者数30人)を維持する歯科医院の場合、実質の診療時間(7時間半)で割れば1人あたりの診療時間は僅か15分だ。胸中では(やや説明不足なのでは!?)と思いつつ口を開く患者側と、淡々と治療を始める歯医者との噛み合わせが悪い理由もわからんではないが……。

「なるほど。ただ、基本的に〈説明〉は、お金になりませんから。誰も慈善事業でやったいるわけではないし、説明に時間をかけたらその分、どこかの時間を削らなければならない。きちんと患者さんが納得するまで丁寧に説明して、というかたちを日本の医療に望むのは、やはり難しい面があるでしょうね」

帯の「そうしないと儲からないから」が真相か、副題は「ダメな歯医者の見抜き方 いい歯医者の見分け方」を謳う。では、今後の歯医者選びに慎重になるばかり、口腔難民になりかねない読者(患者)がとるべき道とは――次回は同書の核心部分に触れよう。(インタビュー&文=末次安里)

長尾周格(ながお・しゅうかく)



千葉県千葉市稲毛区で『稲毛エルム歯科クリニック院長。北海道大学歯学部卒業後、同大学 大学院修了。「日本一の歯科医師」を目指し、いくつかの歯科医院に勤務しながら技術を磨き経験を積み独立。虫歯や歯周病の真の原因から導き出した「予防歯科」という考え方を伝えるべく精力的に 活動を展開中。著書に『歯医者が虫歯を作ってる』『歯医者が難病になってわかったこと』(共に三五館刊)がある。

参照元 : healthpress







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