2018年8月18日土曜日

金縛りにあう人は鬱病になりやすい 睡眠問題を抱える学生アスリートにうつ病リスク

「金縛り」にあう人は鬱病になりやすいことが研究で判明! 学生アスリートは特に危険「極めて深刻な苦痛を…」

2018.06.18

身体は疲れてぐっすり眠っているのに突然目が覚めて意識はハッキリしている状態が睡眠麻痺、いわゆる“金縛り”だが、最近の調査で金縛りは大学生アスリートの間ではそれほど珍しい現象ではないことが報告されている。



■学生アスリートの18%が“金縛り”を定期的に経験

アメリカ睡眠医学会が先日発表したレポートでは、NCAA(全米大学運動協会)所属の大学生アスリートの睡眠事情とメンタルヘルスの実態を報告している。

学業で一定レベルの成績を保つことが要求されているNCAA所属の学生アスリートたちは、きわめて多忙なスケジュールの学生生活を送っている。彼らの睡眠事情と健康状態はいったいどのようなものなのか。

研究チームはNCAAディビジョンIに所属する学生アスリート189人に睡眠に関する一連の質問に回答してもらうと共に、不眠症重症度質問票(Insomnia Severity Index)と、うつ病自己評価尺度(Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)のテストをそれぞれ受けてもらった。

睡眠に関する一連の質問は、例えば、

・ 眠りから目覚めた時はすぐには動けない感じがする。
・ 眠りに落ちる時、あるいは目覚めた時、恐ろしい悪夢を見る。

というような質問に、「まったくない」、「たまにある」、「よくある」の3段階で回答してもらう内容である。



収集した回答データと2つの診断テストの結果を分析した結果、学生アスリートたちの間での睡眠とメンタルヘルスの実態が明らかになった。

睡眠麻痺、いわゆる“金縛り”についてはなんと学生アスリートの18%が「たまにある」と回答しており、7%は週に1度以上あると答えている。この結果を見る限り、就寝中の金縛りはけっこう普通のことであると言えるのかもしれない。

さらに入眠時と寝ぼけ眼の時の幻覚症状は24%が体験していることが明らかになり、11%は週に1度以上幻覚を見ているということだ。忙しい学生アスリートたちは、けっこうな割合で睡眠に問題を抱えていたのだ。

■睡眠問題を抱える学生アスリートにうつ病リスク

そしてまた見逃してはならない別の問題点も浮き彫りになった。忙しいながらもしっかり眠っている学生たちに比べて、これら睡眠事情に問題を抱えている学生アスリートたちはうつ病診断テストのスコアが高くなっていたのだ。

「金縛りや幻覚などの症状は一般的には比較的無害であり、めったに起きない症状であると考えられています。しかしながら、それらの症状は経験する人々にきわめて深刻な苦痛を与えることがあり、学生アスリートの間では驚くほど“スタンダード”なのかもしれません。そして、さらに驚くべきことに、これらの症状はうつ病の症状の重症度を予測し、うつ病とこれらの睡眠障害の両方に影響を及ぼす可能性があるのです」と研究チームのマイケル・グランドナー助教授は語る。

しっかりと眠って疲労回復に努めなければならないはずの学生アスリートたちの一部で、睡眠に関する問題が広く存在している実態が明らかになったのは興味深い。



そして学生アスリートがスポーツをやめたときにうつのリスクが高まることもまたオーストラリア・アデレード大学から報告されている。

「運動習慣を突然中断したときに起き得る、メンタルの健康へ与える潜在的なインパクトを理解することはとても重要なことです」と同大学のバーナード・ボーヌ教授は語る。

文武両道を地で行く学生アスリートには常に健康的なイメージがつきまとうものだが、意外にもメンタルヘルスを損なういくつものリスクに晒されていることを、教育界を中心に理解が求められているのだろう。

(文=仲田しんじ) 参考:「Daily Mail」、「Science Daily」ほか

参照元 : TOCANA

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