2018年8月18日土曜日

淡水魚ティラピア(イズミダイ)の皮を使って火傷治療 女性が膣壁形成~生体適合性から完全に身体吸収一体化

淡水魚ティラピアの皮で人の皮膚を再生 ブラジルで「火傷治療」に成功!

2018.07.24



サンバの王国ブラジルの大病院。火傷を負った患者たちが半魚人のような異様な姿でベッドに横たわっている。その表情に苦痛はない――。

ブラジルのセアラ大学のOdorico de Morais教授は、Dr. José Frotaセンターと協力し、 2014年から淡水魚のティラピア(イズミダイ)の皮を使った火傷治療の臨床試験に取り組み、II度およびIII度熱傷の治療に大きな成果を挙げている(Gigazine:2017年5月 29日)

たとえば、治療を受けたウェイトレスのマリア・デ・シルヴァさんは、勤務先でガスレンジの爆発に巻き込まれ、腕にII度の熱傷を負った。火傷した患部の上にティラピアの皮を貼り付ける治療を受けたところ、肌はかなり修復された。

また、電気関係のスーパーバイザーを務めているJosue Bezerra Jr.さんは、仕事中に腕や足に大火傷を負い、ティラピアの皮を患部に貼る治療を受けた。最初の夜はまったく効果を感じなかったが、やがてじわじわと肌に馴染み、治療は成功した。

重度の火傷治療は、豚の皮膚や人工皮膚を利用する植皮術で皮膚を移植するのが一般的だ。だが、ブラジルは、豚の皮膚も人工皮膚も不足している。ブラジル国内3ヶ所の皮膚バンクは、国内需要のわずか1%しか賄っていない。ブラジルの火傷患者は、ガーゼとスルファジアジン銀クリームを処方されるほかない。

クリームに含まれる銀は感染予防に有効だが、患部を創傷清拭し、治癒を早める効果はない。ガーゼは毎日交換しなければならないし、傷に巻かれたガーゼを剥がし、傷口を洗浄する処置は患者に大きな苦痛を与える。

コラーゲンが豊富、痛みが少ない、ローコストで回復が早い!



(YouTubeより)

このような治療法を改善したのが、ティラピアの皮だ。

ティラピアの皮は、火傷を瘢痕化させるために重要なタイプ1とタイプ3のコラーゲンを豊富に含み、張力や水分含有量も人間の皮膚より大きい。保湿力があるため人間の皮膚に吸着し、火傷の合併症である乾燥を防ぐ特質がある。

また、使われる皮は、処置前に殺菌され、数週間の治療期間のうちに何度か交換する必要はあるが、クリームとガーゼの治療に比べれば、交換回数は少なく、鎮痛剤の使用量も少ない。治療時に患者が感じる痛みも少ない。

さらに、ティラピアは、国内の河川で大量に捕獲し、養殖できるため、治療コスト(10×20cmの皮1枚が2.5~3ドル)も抑えられるほか、滅菌処理された皮は、魚臭が抑えられ、2年間使用できるなど、数々のメリットがある。

ただし、治療の可能性に疑義を挟む意見もある――。カリフォルニア大学サンディエゴ校のジャンヌ・リー博士は、こう指摘する。動物由来の皮膚代用品はFDA(食品医薬品局)の承認や動物権利団体の厳しい検査を受けなければならないため、コスト高になる可能性が強い。また、寄付される人間の皮膚の供給と需要のバランスを考え合わせれば、アメリカの病院でティラピアの皮の治療が行われる見込みは当面はないだろう。

アメリカ版の『グッド・ドクター 名医の条件』第6話では、火傷でひどい怪我を負った女性にティラピア・スキンを利用した治療法が提案され、大きな成果を挙げている。しかし、治験中ということで費用負担が大きい。担当医が自腹でティラピアスキンを手に入れる設定になっていた。

現在、セアラ大学の皮バンクに 1000枚のティラピアの皮が保管され、必要に応じて補充されている。さらに人間、ティラピア、豚、カエルの皮膚の組成の組織学的な研究が進んでいるほか、歯のインプラント、骨形成、女性器(ミュラー管)の形成などにも応用されている。

今後さらに実証研究が進み、エビデンスが深まり、商品化されれば、国外でも普及するかもしれない。

(文=編集部)

参照元 : healthpress





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