2016年7月28日木曜日

脂肪肝や肝硬変は酒の飲み過ぎのせいと思ったら大間違い!食べ過ぎや運動不足、糖尿病などが原因による「非アルコール性脂肪性肝疾患」が急増

下戸でも危険は忍び寄る… 肝臓がんを呼ぶ脂肪肝の脅威(1)

2016年07月02日 10時00分



「脂肪肝や肝硬変は酒の飲み過ぎのせい」と思ったら大間違いだ。最近では食べ過ぎや運動不足、糖尿病などが原因による「非アルコール性脂肪性肝疾患」(NAFLD)が急増。そこから「非アルコール性脂肪肝炎」(NASH)を引き起こす場合も増えているのだ。

体験者の田口豊さん(仮名=55歳)の例を見てみよう。

田口さんは印刷工場の営業マンとして活躍するサラリーマン。日頃の不摂生がたたり、大学卒業後直後、80キロだった体重は数年前に100キロを超えた。会社の健康診断では毎回、「脂肪肝」を注意されていたが、それでも「死ぬわけではないし…」と高を括っていたという。ところがある日、やたらとこむら返りを起こすようになったという。

「最初は夜間だけだったのですが、昼間でも全身がつるようになりました。身体もだるく、風邪のような症状で、お腹が張る。病院で診てもらうと、糖尿病に加えて肝硬変の一歩手前の脂肪肝炎と分かったんです」(田口さん)

脂肪肝炎の原因は、「飲酒過多」、「食事過多」、「糖尿病」、さらに「無理なダイエット」の大きく四つに分けられる。

お酒の飲めない田口さんは、「食べ過ぎによるNASHの疑いがあり」と診断された。そこで、さっそく低カロリー、低脂肪の食事摂取と運動を医師から指示され、現在は懸命に取り組む毎日を送っているという。

脂肪肝は、肝炎→肝硬変→肝臓がんと進行することもあり、肝臓がんに至ると手術でがんを切除できても再発率が高い。そのため、早期発見であっても5年生存率は50%と高くない。

国立病院機構東京医療センター消化器内科の担当医はこう説明する。

「肝炎の発症要因は、ウイルス性と非ウイルス性に分けられます。前者はB型、C型肝炎などで、肝臓がんの原因の圧倒的多数を占めていました。しかし、最近は画期的な薬が登場するようになり、『肝炎は治る病気』との認識も出始めている。その一方で今、注目されているのが非ウイルス性。非ウイルス性には脂肪肝に伴う肝炎が含まれ、さらにそれらはアルコール性と非アルコール性がある。そして、特に肝疾患の専門医の間で、今後、最もホットなテーマとなるのが、後者のNASHと言って差し支えないでしょう」

NASHは、断酒で肝機能が改善する余地があるアルコール性とは異なり、打つ手が少ないという。理由は複数の因子が関係しており、すべてゼロにするのは不可能だからだ。したがって「NASHが原因の肝臓がんは、今後、増える」と見る専門家は多い。

しかし、残念なことに医師、患者ともに、まだNASHの認知度が低く、医者から「様子を見ましょう」と言われ、そのまま放置されるケースは珍しいことではないという。

「人は食べ物を摂り、酸素を吸って体内で代謝することでエネルギーを作る。その際、活性酸素と呼ばれる不安定な状態の酸素も生んでしまいます。これが何らかの理由で増えることで、非アルコール性脂肪肝を刺激し、NASHの原因を作ると言われている。そのため、抗酸化作用のあるビタミンEが有効であることが知られています」(健康ライター)

参照元 : 週刊実話


下戸でも危険は忍び寄る… 肝臓がんを呼ぶ脂肪肝の脅威(2)

2016年07月03日 10時00分



実際、昨年の欧州肝臓学会では、NASHの患者にビタミンEを投与すると医薬品と同等の改善が見られ、心臓への悪影響もないことが観察されたと報告されている。

「そのため、ビタミンEの250~500倍抗酸化作用が強いとされるサプリメントの『アスタキサンチン』に着目し、詳しく調べたところ、いい成績を得たという医療機関もあります」(同)

この「アスタキサンチン」は、カニやエビなどに含まれる赤い色素で、体脂肪の増加抑制や眼精・筋肉疲労などに効果あり、化粧品や健康食品としても用いられている。

ところで、「肝機能の数値だけで脂肪肝の深刻な度合いを判定するのは難しい」との一説を唱える人がいる。医学博士の内浦尚之氏だ。

「肝機能の数値と治療の緊急性は、必ずしも一致しないからです。なぜかと言えば、脂肪肝を肝機能の数値だけでチェックしようとしても、脂肪が蓄積されているだけなのか、炎症や線維化を起こしているのか、今後、より進行して肝硬変、肝臓がんへ至りやすいのか、しっかりと組織を採取する生検をしなければ分からないからです。深刻度も生検で詳しく調べる必要がある。まず入院して出血などの合併症の有無を調査しますが、生検で見る肝臓の組織は、肝臓全体の5万分の1ほどなので“本当の状態”が分かりにくい。また、肝臓の左右の組織を取って生検した場合、それぞれの状態(脂肪肝がどの程度進行しているか)が一致するのは5割ほどという報告もあります」

最近では、NASHの状態をMRIで検査できるという研究結果が発表され、高い評価を受けている。

あとは、生検で見えない「肝臓全体がどれくらい硬くなっているのか」の判断が一つの大きなポイントとなる。

前出の内浦医博は、さらにこう説明する。

「肝臓は均一に硬くなっていくと言われてきましたが、MRIで硬い場所とそうでない場所があることも実証されました。今後は、より詳細な重症度の分類に役立てられるでしょう。現段階では、脂肪肝の判定は生体が基本になっていますがが、脂肪肝の状態をチェックできるMRIの普及で変わるかもしれません」

別の専門家もこう言う。

「MRIで、肝臓の脂肪の蓄積具合(脂肪化)がどれくらい線維化し、硬いかが分かる。しかし、炎症や肝細胞の破壊がどの程度かは、生検でなければ分かりません。ですから、まずMRIで深刻な脂肪肝の有無を調べ、深刻であれば必要に応じて生検でさらに検査をする流れで、脂肪肝の適切な治療を行うことが望ましい」

患者側は、まずは「脂肪肝の深刻性」をしっかりと認識し、正しい治療を受けなければならない。

参照元 : 週刊実話


NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)の症状・食事・改善方法

NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)とは

NASH(=nonalcoholic steatohepatitisの略)は、非アルコール性とあるように、アルコールなしで発症する肝炎のことをいいます。

NASHは、実は肝硬変や肝臓がんにもなる恐れのある怖い病気です。

推定患者は200万人といわれ、NASH予備軍は1000万人ともいわれています。

→ 肝臓の機能・働きについて詳しくはこちら

NASHの症状

NASHは、脂肪肝と同様に自覚症状がありません。それは、肝臓は再生能力・代償能力に優れ、ダメージを受けても残った正常細胞が余分に働き、機能を維持するからです。肝臓は痛みなどの症状を出すことがあまりないので、そのため肝臓に異常があっても気付かず、異常に気付いたときには病気がかなり進んでいることがあります。

そのため、定期的な健診を受けて、肝臓の数値を把握することが重要となります。

→ 肝臓の数値|γ-GTP・GOT(AST)・GPT(ALT)について詳しくはこちら

NASHの原因|お酒を飲まないのにもかかわらず、なぜ肝臓が悪くなってしまうのか?



NASHの原因は、カロリーオーバーな食事です。

通常、体内に取り入れられた脂肪は、肝臓の中で身体が利用できるエネルギー源として変化し、全身に送り出されます。しかし、カロリーオーバーの食生活で内臓脂肪が溜まると、そこから常に、大量の脂肪が肝臓へと供給されることなってしまいます。すると、余った脂肪が肝細胞の中に溜まってしまいます。

これが、「脂肪肝」です。

肝臓は、たまり続ける脂肪を燃やそうとするのですが、その過程で、不完全燃焼から有害な活性酸素が発生し、肝臓の細胞を攻撃し、炎症を引き起こしてしまうのです。そういう慢性肝炎の状態が、『NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)』といわれます。

※NAFLD=nonalcoholic fatty liver diseaseの略。「非アルコール性」とは、飲酒習慣がないか、1日1合(ビール大瓶1本)以下しか飲まない人を指す。

こうした慢性肝炎が何年も続くと、肝細胞が風船みたいに膨らんだり、線維化が進むNASHに移行し、肝硬変に行き着きます。ただ、やせているから安心ではないのです。

ダイエットで細くなった女性でも、栄養バランスを崩して脂肪肝になっていると、脂肪肝→非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)→非アルコール性脂肪肝炎(NASH)→原発性肝臓癌(HCC)発生も報告されています。

【関連記事】
肝臓のPENTと呼ばれる酵素が働かないと、脂肪肝の発症やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)に進展する

知識次第で健康が選べる時代

脂肪肝・NASHからがんになる仕組み



ミトコンドリアは、肝臓が行う分解や解毒などすべての処理に必要なエネルギーを作っています。ミトコンドリアは糖からエネルギーを作る働きを持っています。ミトコンドリアが正常に働いてエネルギーを作ってくれるおかげで、肝臓が行う分解や解毒などすべての処理ができるわけです。

脂肪肝になると、脂肪肝の細胞の中には、脂肪が入り込んでしまって、ミトコンドリアに異常が起こってしまいます。その異常とは、ミトコンドリアが糖からエネルギーを作るのではなく、脂肪からエネルギーを作るようになってしまうことです。脂肪肝の細胞には、糖が入ってこないため、ミトコンドリアは肝臓を動かすために、脂肪をエネルギーにしているというわけです。

しかし、ミトコンドリアにも限界があり、脂肪からエネルギーをつくる過程でミトコンドリアは巨大化してしまい、機能不全に陥ってしまいます。この状態のことを、ジャイアント・ミトコンドリアと呼ぶそうです。ジャイアント・ミトコンドリアが死ぬと、細胞自体が死んでしまいます。

しかもこの時肝臓に炎症が起こってしまいます。(=肝炎)

次に、星細胞がやってきて、星細胞は、死んだ細胞の跡地を埋めるために繊維=コラーゲンを吐き出します。そして、隙間がコラーゲンでガチガチに固められてしまい、線維化状態になります。(=肝硬変)

肝臓がんは肝硬変になった頃に登場するそうです。

脂肪肝⇒(炎症)⇒肝炎⇒肝硬変⇒最悪の場合、肝臓がん

※NASHからの肝臓がんは脂肪が消えていく=バーンアウト(焼けただれた)NASH

進行するにつれて脂肪がなくなってしまうため、NASHからの肝臓がんと診断できないそうです。

NASHと関連する病気

・肥満(メタボリックシンドローム)
・糖尿病
・脂質異常症(高脂血症
・高血圧

といった現代人が抱える生活習慣病と深い関係があります。

NASHになる前に肝機能検査で早期チェック

肝臓は「沈黙の臓器」として知られ、再生能力が高いため、自覚症状が出たときは、病状が悪化していることが多いです。そのため、病状が悪化する前に予防するためには、肝機能検査値でチェックすることが大事になってきます。肝機能は主に、ALT(GPT)とAST(GOT)の2項目で判定されます。

これらは血液中に流れ出た肝細胞内の酵素の濃度を意味し、肝細胞の破壊が強いほど上昇します。NASHの前段階、つまり脂肪肝では、まず、ALTが上昇します。ASTは正常でも、ALTが基準値ギリギリから異常値だったら要注意。

検査値が異常な状態で、同じ生活習慣を続けると、次はALT、AST共に異常域に入ってしまいます。もしASTのほうが大きくなったら、NASHの疑いが強まるようです。

→ 肝臓の数値|γ-GTP・GOT(AST)・GPT(ALT)について詳しくはこちら

NASHを予防・改善する方法



NASH予防の原則は、脂肪肝からNASHへの進展を食い止めること。

肥満や脂肪肝と診断されたら食生活を改善し、運動で体重を落とすことが重要です。

食事

●鉄の摂取を制限

健康な人に欠かせない栄養素である「鉄」は、貯蔵しないと貧血が起こりますが、C型肝炎/NASHの場合は、鉄が過剰に貯まります(=鉄過剰 )。

※鉄過剰になると、肝臓にたまった鉄が酸化し、肝臓に炎症を引き起こすおそれがあります。

そのため、C型肝炎/NASHの患者さんの場合には、鉄の摂取を制限する、具体的に6mg/日以下に抑える必要があるそうです。

●エゴマ

名古屋市立大の研究グループが、エゴマに含まれる抗酸化作用が強い「ルテオリン」という成分がNASH(非アルコール性脂肪肝炎)や、それに伴う肝細胞のがん化を抑制することを発表したそうです。

エゴマを日常的に摂取することで脂肪肝やNASH、肝臓がんを予防することができるかもしれません。

【関連記事】
エゴマに含まれる「ルテオリン」に脂肪肝・NASH・肝がん予防効果|名古屋市大

●アスタキサンチン

金沢大学医薬保健研究域附属脳・肝インターフェースメディシン研究センターの太田嗣人准教授の研究グループは、「アスタキサンチン」がNASHの予防・抑制に有効であるということを明らかにしたそうです。

【関連記事】
「アスタキサンチン」に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防・抑制作用があることを発見|金沢大学の研究グループ

運動

強い運動でなくても体にたまった脂肪の燃焼には効果があるので、少しでも体を動かすようにしましょう。体重を1日50グラムずつ減らすようにして、1カ月1キログラム強の減量を行なうと良いと思います。NASHの場合には、3キロほど減量すると数値が改善する可能性も高いそうです。

睡眠

最近では十分な睡眠も大切とされています。計算上、週に3日夜更かしすると年間1kgの脂肪燃焼の妨げになるそうです。

脳:糖で作られたエネルギーを好む

心臓:脂肪で作られたエネルギーを好む

起きている間は、肝臓は脳のために糖を使ってエネルギーを作ります。寝るときには、脳はそれほどエネルギーを必要としないので、肝臓は心臓のために脂肪を使ってエネルギーを作ります。つまり、ムダに夜更かししていると、肝臓が燃やすはずの脂肪が燃えないということです。

参照元 : NASH(非アルコール性脂肪肝炎)

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