高血圧や糖尿病の薬との併用避けるべき人気サプリ成分
2017/6/11(日) 16:00配信
日々の健康を手助けする「サプリメント」と薬の飲み合わせにはリスクがある。サプリメントは、通常の食事ではわずかしか取れない栄養分を効率よく摂取するための補助食品だ。成分が“凝縮”されているからこそ、医薬品との併用には特に気を配る必要がある。
業界大手のファンケルは顧客からの飲み合わせ相談に対応できるよう、相互作用データを蓄積させた「SDIシステム」を用意している。
「自社製品約100種類と3万種類の医薬品の相互作用をデータベース化し、顧客から電話や店舗での問い合わせがあれば瞬時に検索できます。データは医薬品の添付文書や論文などから収集し、医師の監修を経てからデータベースに盛り込みます。顧客からは年間3万件以上の相談があります。服用している薬を聞いた上で、その薬との飲み合わせで問題が出ないサプリや健康食品の案内も行なっています」(ファンケル広報グループ)
それだけ飲み合わせの問題への関心が高まっている一方で、サプリと薬の関係の正確なところがまだあまり知られていない現状がある。薬剤士の堀美智子氏が最もポピュラーなサプリであるビタミン類について解説する。
「ビタミンAはテトラサイクリン系の抗生物質と併用すると頭部の血圧が上昇し、激しい頭痛が起こる恐れがあります。また大量のビタミンCと利尿薬(アセタゾラミド)を併用すると、腎・尿路結石が起こる可能性があります」
アンチエイジングサプリとして知られるコエンザイムQ10の成分は別名「ユビデカレノン」という。薬学博士で日本くすり教育研究所・代表理事の加藤哲太氏が指摘する。
「これは医療機関で強心薬として処方されている成分です。そのため心臓病の薬と併用すると作用が増強する恐れがある。コエンザイムQ10は血圧や血糖値を下げるという報告もあるので、高血圧や糖尿病の薬との併用も避けるべきです」
甲殻類の殻や動物の皮膚などに含まれる成分であり、関節痛に悩む中高年に人気のグルコサミンに関しても「グルコサミンを摂取し続けている人は血小板が集まりにくく血栓ができにくいため、凝固薬のワルファリンと併用すると作用が増強して血が止まりにくくなるリスクがある」(加藤氏)という。
※週刊ポスト2017年6月16日号
参照元 : NEWSポストセブン
サプリメントは詐欺だ
サプリメントは詐欺だ、と発言すれば日本社会ではまわりの信用を失う。なぜなら物を売る人は根本的には善人であり、みんなのことを考えてくれるという素朴な信仰があるからだ。日本には厳格に根付いた宗教がないので、このような風潮が、道徳律の代わりになっているのかもしれない。
だが、実際の所こんなひどいイカサマはない。強い薬を市販すれば死んだり副作用が蔓延して社会問題になるから、そういう薬の管理は「医者の処方箋」によって法律で服用を制限されている。それではコンビニでも買える薬というのは、思いっきり効果を弱くしておかなければならない。誰が飲んでも健康を害することがないように。つまり早い話がまったくの効き目はないということ。
今、日本の百歳を越えるお年寄りは、1万人を越えたという。その誰もがサプリメントなどを食べたことがない。サプリメントは、不足している栄養を「補う」物として創り出されたものである。サプリメントがもっと大昔からあったら、もっと大勢の人が長生きできただろうか?戦後の食糧事情が悪かったときは確かにずいぶん多くの命を救ったことだろう。
栄養が不足しているとすれば、アフリカのいくつかの国のように、食料の絶対的な量や種類が足りない場合、もう一つは、都会に出て仕事に追い回されている独身男性のように、自らの無知か怠慢によって栄養的なバランスがとれてない場合が考えられよう。さらにスポーツをおこなうということで、普段より特別な栄養が必要だという人もいる。
日本の場合には圧倒的に後者の事例であろう。休みもままならない勤務態勢。そしてほかの楽しみを優先し、グルメには興味があるくせに材料を吟味し、きちんとした食事を粗末にする風潮。こういう環境では、当然のことながら人々は栄養失調になり、自らの健康をむしばんでいる。
では、サプリメントをこのような人々の前に広告を通じてその存在を知らしめると、どのような事態が生ずるであろうか?言うまでもなく、人々は安心してこれまでの栄養不足の状態を継続してもいいと思いこむ。それはそうだろう、サプリメントをポンと口の中に放り込むだけでそれまでの問題が解決するというのであれば、誰でも喜んでその解決策を採用する。
かくして、サプリメントは、まず技術過信で、安易な解決策の大好きなアメリカ人の間ではなくてはならない必需品となり、アメリカ式をありがたがる人々の多い日本でもこれに喜んで飛びついた。もっとも日本ではドリンク剤というものがあり、興奮剤を含んでいるだけのこの水に等しいものをありがたがって飲んでいる人が大勢いたから、サプリメントを受け入れる素地は十分できていたといえる。
サプリメントを作っている会社は、不況をよそに今はほくほくである。つまり日本社会の「健康不安」「潔癖志向」という精神病理を利用して、金儲けをしているわけだ。これは、戦争をネタに武器を売り大儲けする「死の商人」に本質的には同じだと言うことがわかるだろう。
もし本当にサプリメントが必要な人がいるとすれば、アメリカの道を歩いている200キロでぶの飽食人間ではなく、アフリカなどでの栄養失調に苦しむ子供たちだろう。それを高い金を出して、自分たちの食生活の「補助」とするなんて、犯罪行為以外の何者だというのだろう!
スポーツドリンクというものも同様である。最近は、マラソンなど、普通の人々の中にも趣味が高じて、大会に出場する人が増えてきた。オリンピックの選手がそうなのだから、自分たちもこのスポーツをするからには特別な栄養素がどうしても大量に必要になると思いこむ。実際、学者たちはそのような成分が必要だという研究結果を発表している。
これも製薬会社の思うつぼである。自分たちが処方した成分配合が、最大の効果を発揮するがごとく宣伝し、人々はそれにすぐ乗ってしまう。人々には、栄養学や化学物質に対する基本的な知識が十分にあるわけではないから、会社の宣伝は、心理効果を中心に発揮するように仕組む。テレビの座談会で有名人がしゃべれば、最大の効果を発揮する。
かくして、多くの人々が、薬さえ飲めば自分の求める効果が得られると「本気で」信じるようになる。これが現代社会の悲しいからくりである。本当は、人々がもっと勉強するなり、良心的な専門家に相談すればよいのだが、実際にそこまでやっている人はほとんどいない。みんなお人好しなのである。
その間にも、製薬会社は、心理学者たちと相談して、ますます狡猾な作戦を立てるが、いま述べたように普通の人々は防衛策を採るなどと言うことは思いもよらないから、彼らにしてみれば、赤子の手をひねるよりもたやすい。
サプリメントの値段は、人々の手に届くように設定されている。これが製品の効果の妥協点でもある。もっとよい効果を出そうと思えば、技術的に可能だが、そうなるとコスト的に無理だ。従って、製薬会社は、「適当に」に効くという目安を勝手に作り、そのレベルで人々が手に入れることができるような調整を行う。
一人あたりの出費がたとえば500円ぐらいでもかまわない。相手は大衆全体だ。買ってくれる人々の数が膨大なので、その収入は天文学的数字になる。悲しいことに、この現実を認識している人は少ないし、これが現代メディア社会の宿命なのかもしれない。
そして製品は薬屋だけでなく、コンビニにも置く。人々はますます手近にあるサプリメントに手を出しやすくなる。コンビニにあるということは高級品ではないことの現れであり、人々が酒やタバコのように気軽に飲むことができる環境が整ったということだ。
サプリメントなど、まったく不要だということはすぐわかる。なぜかというと、バランスのとれた食事というのはどういうものか誰でもだいたい知っているし、実際にそれに近づける努力をしているからだ。ただ調理が面倒くさいということだ。真夏の露地栽培の完熟トマトをガブリ、これで必要な栄養はたっぷりとれる。
ここに30キロの小娘と、200キロを超えた小錦関がいる。二人ともサプリメントは「大人の一日所要量」を飲む。一方に一歩外に出ただけで花粉によって目が真っ赤に充血するアレルギー人間がいる。その横には腐りかかったものを山ほど食べても下痢一つしない鈍感人間がいる。つまり個体差がものすごく大きい。
サプリメントはそのような現実を全く無視している。さらに生物体に流れる物質の種類は待機に存在する物質の種類のように途方もない数である。その相互作用を知ることはとうていできない。
しかもビタミンやホルモンの発見でわかったようにそれらはごく微量で作用をもたらす。サプリメントの広告はどうだ?飲めば飲むほど効果が増大すると書いてある。そして不自然なまでの「高濃度」!そんなものを体内に入れたらからだがびっくりし、たいてい肝臓がやられてしまう。
ビタミンCの不思議
サプリメントの中でもとくに古くから知られているのがビタミンCだろう。かつて航海や戦争で壊血病が多発したとき、ビタミンCを含む食べ物を食べたところたちどころに直ったという話が有名だからだ。
さらに何人かの学者が、風邪に効くとか、ついにはガンに効くとまで言い出した。ビタミンCの効力は粘膜を強くすることにあるのだと言われてている。
だが、これらはまだ推論の域を出ていない。いくら追試をしても、この効き目が出ない人はいくらでもいる。だからその効き目の確実さはいつまでもはっきりしない。
生物界において、ある物質が単独で活躍することはめったにない。たとえば筋肉を動かすための回路には何ステップも化学反応が関わり、大変な数の化学物質が関わっている。
こうやってみると、ビタミンCがその効き目をあらわすといっても何か未知の物質との「共同作業」によるものではないか。その物質が何であるかはわかっていないし、ましてやその共同作用も何もわかっていない以上、ビタミンCだけをありがたがるのは無意味である。
最近では、日焼け止めやシミそばかす防止に効き目があると銘打って薬品会社がビタミンCを売り出している。お肌を気にする御婦人方はそのラベルを見たとたん手が伸びるだろう。
だが私も何回か試してみたが、これを飲んだからと言ってしみそばかすが少しも防止されることはなかった。と言うよりは飲んでも飲まなくても、シミが少しもできないのである。
生体内での化学物質の流れは、気象のようなものだ。たった6時間後の天気でさえはずしてしまう今の気象学の程度を思えば、目に見えないミクロな世界での物質の相互作用なんぞ現代の生物学や栄養学でわかるはずはない。
それでも製薬会社は厚顔無恥にも、大衆に向かって「効きます」とテレビや広告で連呼し続けているのだ。原始人たちの「まじない師」の方がよっぽど信用がおける。必ず一対一の対面診療だし、彼らが処方する薬は少なくとも経験的には効き目があることが長い時間をかけて確かめてあるからだ。
サプリメントは、これらの人々全体を対象にして売っている。専門的な勉強をしなくても、そんなのはインチキだと誰でも判るはず。もし良心的に本当の効果を保証するというのなら、一人一人に徹底的な健康診断をやってもらいたい。悲しき大量生産である。
にもかかわらず、これでは足りませんよと不安につけ込んで騒ぎ立てるのだ。本当に手に入らないのではない。ただ人々の生活が無知で怠惰だから足りないだけなのだ。だから製薬会社のやっていることが現行の法律には違反していないが、れっきとした「洗脳詐欺」だということはすぐわかる。
ただし、このように企業活動を詳しく調べてみると、現代社会で詐欺でないことを探すのが実に難しいことがわかる。すでに、2002年だけでも豚肉、農薬入りのほうれん草、など、食品などでもあまりに多くの不正が次々と明るみに出た。
もちろんこれらは明らかに法に触れる詐欺なのだが、残念ながら捕まった連中は氷山の一角で、まだ捕まっていない連中は、彼らのことを「なんて運が悪いんだろう」と哀れみの顔で見つめていることだろう。
もし、企業に詐欺を許したくないならば、我々消費者が賢く、疑い深くならなければならない。現代社会は、企業によるサービスを一方的に受けているだけでは、操られるだけなのだから、心理作戦のからくりをじっくり研究し、それに十分対処できる準備を消費者は心がけなければならないのである。
それにしても人間として許せないのは、こうやって文明国である我々がサプリメントを金さえ出せば手に入れられる状況にある中、アジアやアフリカの貧しい国では、栄養失調で死ぬ人が毎日どんどん出ていることだ。これ以上の偽善が考えられようか?
世界で最も飽食の恩恵を受けられる国が金に飽かせて自分の粗末な食生活の矯正と称して、ぽんぽんサプリメントを口に放り込む。あなたはこんなことが許されてもいいと思いますか?思うでしょうね。
2002年12月初稿・2007年6月追加
参照元 : 文明時表
2017/6/11(日) 16:00配信
日々の健康を手助けする「サプリメント」と薬の飲み合わせにはリスクがある。サプリメントは、通常の食事ではわずかしか取れない栄養分を効率よく摂取するための補助食品だ。成分が“凝縮”されているからこそ、医薬品との併用には特に気を配る必要がある。
業界大手のファンケルは顧客からの飲み合わせ相談に対応できるよう、相互作用データを蓄積させた「SDIシステム」を用意している。
「自社製品約100種類と3万種類の医薬品の相互作用をデータベース化し、顧客から電話や店舗での問い合わせがあれば瞬時に検索できます。データは医薬品の添付文書や論文などから収集し、医師の監修を経てからデータベースに盛り込みます。顧客からは年間3万件以上の相談があります。服用している薬を聞いた上で、その薬との飲み合わせで問題が出ないサプリや健康食品の案内も行なっています」(ファンケル広報グループ)
それだけ飲み合わせの問題への関心が高まっている一方で、サプリと薬の関係の正確なところがまだあまり知られていない現状がある。薬剤士の堀美智子氏が最もポピュラーなサプリであるビタミン類について解説する。
「ビタミンAはテトラサイクリン系の抗生物質と併用すると頭部の血圧が上昇し、激しい頭痛が起こる恐れがあります。また大量のビタミンCと利尿薬(アセタゾラミド)を併用すると、腎・尿路結石が起こる可能性があります」
アンチエイジングサプリとして知られるコエンザイムQ10の成分は別名「ユビデカレノン」という。薬学博士で日本くすり教育研究所・代表理事の加藤哲太氏が指摘する。
「これは医療機関で強心薬として処方されている成分です。そのため心臓病の薬と併用すると作用が増強する恐れがある。コエンザイムQ10は血圧や血糖値を下げるという報告もあるので、高血圧や糖尿病の薬との併用も避けるべきです」
甲殻類の殻や動物の皮膚などに含まれる成分であり、関節痛に悩む中高年に人気のグルコサミンに関しても「グルコサミンを摂取し続けている人は血小板が集まりにくく血栓ができにくいため、凝固薬のワルファリンと併用すると作用が増強して血が止まりにくくなるリスクがある」(加藤氏)という。
※週刊ポスト2017年6月16日号
参照元 : NEWSポストセブン
サプリメントは詐欺だ
サプリメントは詐欺だ、と発言すれば日本社会ではまわりの信用を失う。なぜなら物を売る人は根本的には善人であり、みんなのことを考えてくれるという素朴な信仰があるからだ。日本には厳格に根付いた宗教がないので、このような風潮が、道徳律の代わりになっているのかもしれない。
だが、実際の所こんなひどいイカサマはない。強い薬を市販すれば死んだり副作用が蔓延して社会問題になるから、そういう薬の管理は「医者の処方箋」によって法律で服用を制限されている。それではコンビニでも買える薬というのは、思いっきり効果を弱くしておかなければならない。誰が飲んでも健康を害することがないように。つまり早い話がまったくの効き目はないということ。
今、日本の百歳を越えるお年寄りは、1万人を越えたという。その誰もがサプリメントなどを食べたことがない。サプリメントは、不足している栄養を「補う」物として創り出されたものである。サプリメントがもっと大昔からあったら、もっと大勢の人が長生きできただろうか?戦後の食糧事情が悪かったときは確かにずいぶん多くの命を救ったことだろう。
栄養が不足しているとすれば、アフリカのいくつかの国のように、食料の絶対的な量や種類が足りない場合、もう一つは、都会に出て仕事に追い回されている独身男性のように、自らの無知か怠慢によって栄養的なバランスがとれてない場合が考えられよう。さらにスポーツをおこなうということで、普段より特別な栄養が必要だという人もいる。
日本の場合には圧倒的に後者の事例であろう。休みもままならない勤務態勢。そしてほかの楽しみを優先し、グルメには興味があるくせに材料を吟味し、きちんとした食事を粗末にする風潮。こういう環境では、当然のことながら人々は栄養失調になり、自らの健康をむしばんでいる。
では、サプリメントをこのような人々の前に広告を通じてその存在を知らしめると、どのような事態が生ずるであろうか?言うまでもなく、人々は安心してこれまでの栄養不足の状態を継続してもいいと思いこむ。それはそうだろう、サプリメントをポンと口の中に放り込むだけでそれまでの問題が解決するというのであれば、誰でも喜んでその解決策を採用する。
かくして、サプリメントは、まず技術過信で、安易な解決策の大好きなアメリカ人の間ではなくてはならない必需品となり、アメリカ式をありがたがる人々の多い日本でもこれに喜んで飛びついた。もっとも日本ではドリンク剤というものがあり、興奮剤を含んでいるだけのこの水に等しいものをありがたがって飲んでいる人が大勢いたから、サプリメントを受け入れる素地は十分できていたといえる。
サプリメントを作っている会社は、不況をよそに今はほくほくである。つまり日本社会の「健康不安」「潔癖志向」という精神病理を利用して、金儲けをしているわけだ。これは、戦争をネタに武器を売り大儲けする「死の商人」に本質的には同じだと言うことがわかるだろう。
もし本当にサプリメントが必要な人がいるとすれば、アメリカの道を歩いている200キロでぶの飽食人間ではなく、アフリカなどでの栄養失調に苦しむ子供たちだろう。それを高い金を出して、自分たちの食生活の「補助」とするなんて、犯罪行為以外の何者だというのだろう!
スポーツドリンクというものも同様である。最近は、マラソンなど、普通の人々の中にも趣味が高じて、大会に出場する人が増えてきた。オリンピックの選手がそうなのだから、自分たちもこのスポーツをするからには特別な栄養素がどうしても大量に必要になると思いこむ。実際、学者たちはそのような成分が必要だという研究結果を発表している。
これも製薬会社の思うつぼである。自分たちが処方した成分配合が、最大の効果を発揮するがごとく宣伝し、人々はそれにすぐ乗ってしまう。人々には、栄養学や化学物質に対する基本的な知識が十分にあるわけではないから、会社の宣伝は、心理効果を中心に発揮するように仕組む。テレビの座談会で有名人がしゃべれば、最大の効果を発揮する。
かくして、多くの人々が、薬さえ飲めば自分の求める効果が得られると「本気で」信じるようになる。これが現代社会の悲しいからくりである。本当は、人々がもっと勉強するなり、良心的な専門家に相談すればよいのだが、実際にそこまでやっている人はほとんどいない。みんなお人好しなのである。
その間にも、製薬会社は、心理学者たちと相談して、ますます狡猾な作戦を立てるが、いま述べたように普通の人々は防衛策を採るなどと言うことは思いもよらないから、彼らにしてみれば、赤子の手をひねるよりもたやすい。
サプリメントの値段は、人々の手に届くように設定されている。これが製品の効果の妥協点でもある。もっとよい効果を出そうと思えば、技術的に可能だが、そうなるとコスト的に無理だ。従って、製薬会社は、「適当に」に効くという目安を勝手に作り、そのレベルで人々が手に入れることができるような調整を行う。
一人あたりの出費がたとえば500円ぐらいでもかまわない。相手は大衆全体だ。買ってくれる人々の数が膨大なので、その収入は天文学的数字になる。悲しいことに、この現実を認識している人は少ないし、これが現代メディア社会の宿命なのかもしれない。
そして製品は薬屋だけでなく、コンビニにも置く。人々はますます手近にあるサプリメントに手を出しやすくなる。コンビニにあるということは高級品ではないことの現れであり、人々が酒やタバコのように気軽に飲むことができる環境が整ったということだ。
サプリメントなど、まったく不要だということはすぐわかる。なぜかというと、バランスのとれた食事というのはどういうものか誰でもだいたい知っているし、実際にそれに近づける努力をしているからだ。ただ調理が面倒くさいということだ。真夏の露地栽培の完熟トマトをガブリ、これで必要な栄養はたっぷりとれる。
ここに30キロの小娘と、200キロを超えた小錦関がいる。二人ともサプリメントは「大人の一日所要量」を飲む。一方に一歩外に出ただけで花粉によって目が真っ赤に充血するアレルギー人間がいる。その横には腐りかかったものを山ほど食べても下痢一つしない鈍感人間がいる。つまり個体差がものすごく大きい。
サプリメントはそのような現実を全く無視している。さらに生物体に流れる物質の種類は待機に存在する物質の種類のように途方もない数である。その相互作用を知ることはとうていできない。
しかもビタミンやホルモンの発見でわかったようにそれらはごく微量で作用をもたらす。サプリメントの広告はどうだ?飲めば飲むほど効果が増大すると書いてある。そして不自然なまでの「高濃度」!そんなものを体内に入れたらからだがびっくりし、たいてい肝臓がやられてしまう。
ビタミンCの不思議
サプリメントの中でもとくに古くから知られているのがビタミンCだろう。かつて航海や戦争で壊血病が多発したとき、ビタミンCを含む食べ物を食べたところたちどころに直ったという話が有名だからだ。
さらに何人かの学者が、風邪に効くとか、ついにはガンに効くとまで言い出した。ビタミンCの効力は粘膜を強くすることにあるのだと言われてている。
だが、これらはまだ推論の域を出ていない。いくら追試をしても、この効き目が出ない人はいくらでもいる。だからその効き目の確実さはいつまでもはっきりしない。
生物界において、ある物質が単独で活躍することはめったにない。たとえば筋肉を動かすための回路には何ステップも化学反応が関わり、大変な数の化学物質が関わっている。
こうやってみると、ビタミンCがその効き目をあらわすといっても何か未知の物質との「共同作業」によるものではないか。その物質が何であるかはわかっていないし、ましてやその共同作用も何もわかっていない以上、ビタミンCだけをありがたがるのは無意味である。
最近では、日焼け止めやシミそばかす防止に効き目があると銘打って薬品会社がビタミンCを売り出している。お肌を気にする御婦人方はそのラベルを見たとたん手が伸びるだろう。
だが私も何回か試してみたが、これを飲んだからと言ってしみそばかすが少しも防止されることはなかった。と言うよりは飲んでも飲まなくても、シミが少しもできないのである。
生体内での化学物質の流れは、気象のようなものだ。たった6時間後の天気でさえはずしてしまう今の気象学の程度を思えば、目に見えないミクロな世界での物質の相互作用なんぞ現代の生物学や栄養学でわかるはずはない。
それでも製薬会社は厚顔無恥にも、大衆に向かって「効きます」とテレビや広告で連呼し続けているのだ。原始人たちの「まじない師」の方がよっぽど信用がおける。必ず一対一の対面診療だし、彼らが処方する薬は少なくとも経験的には効き目があることが長い時間をかけて確かめてあるからだ。
サプリメントは、これらの人々全体を対象にして売っている。専門的な勉強をしなくても、そんなのはインチキだと誰でも判るはず。もし良心的に本当の効果を保証するというのなら、一人一人に徹底的な健康診断をやってもらいたい。悲しき大量生産である。
にもかかわらず、これでは足りませんよと不安につけ込んで騒ぎ立てるのだ。本当に手に入らないのではない。ただ人々の生活が無知で怠惰だから足りないだけなのだ。だから製薬会社のやっていることが現行の法律には違反していないが、れっきとした「洗脳詐欺」だということはすぐわかる。
ただし、このように企業活動を詳しく調べてみると、現代社会で詐欺でないことを探すのが実に難しいことがわかる。すでに、2002年だけでも豚肉、農薬入りのほうれん草、など、食品などでもあまりに多くの不正が次々と明るみに出た。
もちろんこれらは明らかに法に触れる詐欺なのだが、残念ながら捕まった連中は氷山の一角で、まだ捕まっていない連中は、彼らのことを「なんて運が悪いんだろう」と哀れみの顔で見つめていることだろう。
もし、企業に詐欺を許したくないならば、我々消費者が賢く、疑い深くならなければならない。現代社会は、企業によるサービスを一方的に受けているだけでは、操られるだけなのだから、心理作戦のからくりをじっくり研究し、それに十分対処できる準備を消費者は心がけなければならないのである。
それにしても人間として許せないのは、こうやって文明国である我々がサプリメントを金さえ出せば手に入れられる状況にある中、アジアやアフリカの貧しい国では、栄養失調で死ぬ人が毎日どんどん出ていることだ。これ以上の偽善が考えられようか?
世界で最も飽食の恩恵を受けられる国が金に飽かせて自分の粗末な食生活の矯正と称して、ぽんぽんサプリメントを口に放り込む。あなたはこんなことが許されてもいいと思いますか?思うでしょうね。
2002年12月初稿・2007年6月追加
参照元 : 文明時表
『健康食品』、『サプリメント』— 大舞 月斗 (@14c13d9e826a4f8) 2017年6月4日
響きはいいけれど
万能ではない事に気がついて欲しいです
広告は良い事ばかり書いてある。確かにそんな効果のあるものが入ってるからね。
体質合わない人には毒になることもある。
そうなると、「使用時の注意書きを読んでからご使用ください」と逃げ口上。
EPAやDHAのサプリメントは、飲んでも飲まなくても、健康状態に変わりがない、ということです。 それどころか、外国の医学専門誌に発表された論文によると、EPAを医薬品として大量に摂取すると、死亡率が少し高くなることもわかりました。— サプリメント効果なし (@sapurikoukanasi) 2017年6月15日
サプリメントに効果があるか、実は医学的にあまり証拠がない。よほどの栄養失調状態でなければ、ビタミンなどのサプリメントの効果はほとんどない— 川口龍馬 (@kawaguti314) 2017年6月15日
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