乳がん検診論争勃発!? マンモグラフィーって危険なの?
2015年06月30日
ビジネスパーソンが注意するべき“病気”について、専門家に解説をしてもらうこの連載。女性に特有の病気と思われがちな乳がんについて、前後編で解説します。前編では乳がんにかかりやすい人、症状、男性のリスクなどを解説しました。今回は乳がんで亡くなる人を減らす目的で始まった乳がん検診が、疑問視されるようになってきていることを受け、改めて乳がん検診について、南相馬市立総合病院、尾崎章彦先生に解説していただきます。
胃、肺、大腸、子宮頸部、乳の5つのがんは検診による早期発見の効果が高いとされており、例えば乳がんは検診で早期発見した場合、9割以上の人が治る(5年生存率が9割以上)のだといいます。
国や自治体はがんの早期発見のため、毎年がん検診を受けることを推奨しており、その中に乳がん検診も含まれています。特に40歳以上の女性は2年に1回、問診、視触診およびマンモグラフィー(乳房エックス線検査)を受けることが推奨されており、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳の女性には国から検診の無料クーポンが配られています。
こうした努力や「ピンクリボン運動」などの啓蒙活動の影響もあり、受診率は少しずつ上昇していますが、一方で、最近では乳がん検診の是非に関して、疑問視する声が挙がってきました。
今回は乳がん検診の詳細と乳がん検診の是非を巡る論争を解説します。
■参考文献
WHO「Early detection of cancer」
Q1 乳がん検診ってそもそもなに? マンモグラフィーって危ないの?
Q2 乳がん検診論争勃発! デメリットって何?
Q3 乳がん検診は受けるべき?
Q1 乳がん検診ってそもそもなに? マンモグラフィーって危ないの?
乳がん検診の目的は、何でしょうか?
それは、乳がんを早期に発見することで、乳がんによって亡くなる人を一人でも減らすことです。
検診では視触診、自己触診、マンモグラフィー、超音波検査、MRI検査と多岐にわたる検査が行われてきました。このうち日本および欧米諸国で最も広く行われているマンモグラフィーに関して、説明したいと思います。
マンモグラフィー…痛み・放射線被ばくのリスク vs 死亡率の減少
マンモグラフィーはレントゲンの一種ですが、現時点で乳がんの死亡を減少させる効果が広く認められている唯一の検査です。
乳房を片側ずつ、上下または左右から圧迫して、薄く平らにして撮影を行います(図1)。日本では2000年から50歳以上の女性に、2004年からは40歳以上の女性に、2年ごとの検査が推奨されており、現在では乳がん検診の象徴として、多くの人が知っていることでしょう。視触診では分からないような早期の乳がんを発見できるのが、その強みです。
図1(出典:Wikimedia Commonsを改変)
一方で乳腺が発達している若年者においては、その精度が低下することが知られています。また痛みのデメリットがあり、ネガティブな印象を持っている女性もいるでしょう。さらに放射線被ばくのため10万人に1~10人程度、乳がんが発症することが分かっています。
ただ、今後も乳がん検診の中心的な役割を果たしていくことは間違いありません。
ほかの検査は補助的な役割。超音波検査は若年者に有効
一方でマンモグラフィー以外の検査においては、乳がんの死亡を減少させる効果は十分に確認されていません。そのため現時点ではこれらの検査は、マンモグラフィーの補助的な役割として理解していただくのが望ましいでしょう。
乳房超音波検査は、超音波を発する端子を用いて乳房の内部を観察する検査であり(図2のA~C)、日本ではマンモグラフィーの補助的な検査として広く行われています。乳がんを検出する能力に優れ、乳腺が発達した若年者の検査にも向いています。また、マンモグラフィーでは検出できないような小さい乳がんでも検出できる可能性があります。痛みを伴わず、患者さんに優しい点もメリットとして挙げられるでしょう。
MRI検査は日本ではあまり出番なし。触診は自分で行うように
MRI検査は磁気の力を利用して乳房を撮影します(図3)。強みは他の検査では検出できないようなごく小さい乳がんを見つけることができる点です。欧米を中心にマンモグラフィーの補助検査として、効果が評価されてきました。
日本では超音波検査が広く普及していることもあり、乳がん検診ではほとんど登場することはありません。
視触診は乳房を観察してくぼみや色みの変化がないか、また手で触れてしこりがないか、リンパ節が腫れていないか、乳首から分泌物がないかなどを観察します。簡便であることから乳がん検診が導入された1987年当初は行われていましたが、現在はマンモグラフィーにその座を取って代わられました。
ただし乳がんは自分で発見できる数少ないがんであり、視触診は自分で行う自己触診が勧められています。
■参考文献
・The New England Journal of Medicine「Breast-Cancer Screening -- Viewpoint of the IARC Working Group」
・Journal of Clinical Oncology「Magnetic Resonance Imaging Improves Breast Screening Sensitivity in BRCA Mutation Carriers Age 50 Years: Evidence From an Individual Patient Data Meta-Analysis」
・日本乳癌学会「乳腺腫瘍学」
・日本乳癌学会「科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン 2疫学・診断編 2013年版」
・日本対がん協会「がん・検診について」
・J.POSH
Q2 乳がん検診論争勃発! デメリットって何?
乳がん検診が乳がんの早期発見、早期治療を促し、乳がんの死亡率の減少に貢献してきたことは事実です。
しかし近年、乳がん検診の是非について、欧米を中心に大きな論争が起きています。
発端は2009年、米国で起きた議論です。米国予防医学専門委員会(US Preventive Services Task Force:USPSTF)が、それまで「40歳以上の女性に対して1~2年に1回のマンモグラフィー検診受診を推奨する」としていた推奨を、「40歳代の女性に対する定期的なマンモグラフィー検診は利益より不利益が大きいので、推奨しない」と変更しました。50歳代以上と比較すると、40歳代では利益が不利益を上回る度合いが小さいというのです。一方で、米国対がん協会、放射線医学会、米国議会は引き続き検診を勧める考えを示しました。これにより、40歳代以降、一律に行われてきた乳がん検診に対し、一般の人も巻き込んだ、国内を二分する議論に発展したのです。
また事態は米国だけにとどまりません。2013年にはスイスではスイス医療委員会の委員からなる研究グループが、権威ある「The New England Journal of Medicine」誌に「マンモグラフィー健診は乳がんによる全死亡率を低下させない」という研究結果を発表し、定期的な乳がん検診をすべて中止するように促す勧告を出しました。
実はこの他にもさまざまな国から、過去に想定されていた乳がん検診の効果を疑問視するような報告が相次いでいます。
なぜ、ここまで問題となっているのでしょうか?
治療の発達が検査の必要性を薄れさせた!?
一つは、乳がん治療の発達と関係しています。
発見や治療が遅れて以前には助けることが難しかった患者さんが、この数十年の間に徐々に助かるようになりました。その結果、乳がんを早期に発見するメリットが以前よりも小さくなっています。
乳がん検診の効果は以前の半分から3分の1程度にまで減少し、欧米では1000人に対して乳がん検診をしても、1~2人程度の死亡を防ぐのみと推測されています。日本における詳細なデータは存在しませんが、もともとの乳がんの発症率が欧米に比較して低いため、そのメリットはさらに小さくなる可能性があります。
一方で、乳がん検診によるデメリットが強調されるようになってきました。代表的なデメリットに偽陽性、過剰診断というものがあります。
なければ良かった、では済まない? 偽陽性
偽陽性とは、乳がん検診にて乳がんの疑いを指摘されて精密検査を行った結果、乳がんがないと判断される場合を指します。
結果的にがんがなかったのだから良かったじゃないかとする向きもありますが、精密検査次第では針を刺す検査で組織を採取する必要性も生じます。また精神的なストレスを患者さんに強いる可能性も指摘されています。
しかし検査を受けた人のうち約20%の人が、偽陽性の診断を受けると推測されているのです。
乳がんと診断されたのにほかの病気で死亡!? 過剰診断
また過剰診断とは、生きている間に患者さんに害をおよぼさない乳がんを診断することを指します。分かりやすく言い換えると、乳がんを早期に発見して頑張って治療を受けていたのに、他の病気、あるいは寿命によって亡くなってしまう場合です。他のがんや病気にも一定程度の過剰診断はつきものではありますが、他のがんより一般的に進行がゆるやかな乳がんの場合、問題となるわけです。
状況を複雑にしているのは、診断がついた時点でその乳がんが過剰診断なのかどうか、誰にも分からない点です。進行の速度や症状の悪化は、簡単に見込めるものではありません。検診を受けて乳がんと診断された患者さんのうち、約1~10%が過剰診断であると推測されています。
■参考文献
・The New England Journal of Medicine「Effect of Screening Mammography on Breast-Cancer Mortality in Norway」
・The New England Journal of Medicine「Breast-Cancer Screening - Viewpoint of the IARC Working Group」
・The New England Journal of Medicine「Abolishing Mammography Screening Programs? A View from the Swiss Medical Board」
・American College of Physicians「Screening for Breast Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement」
・CNN「Task force opposes routine mammograms for women age 40-49」
・the British Medical Journal「Modern mammography screening and breast cancer mortality: population study」
・the British Medical Journal「Breast cancer mortality in neighbouring European countries with different levels of screening but similar access to treatment: trend analysis of WHO mortality database」
・Journal of the Royal Society of Medicine「Overdiagnosis in mammographic screening for breast cancer in Europe: a literature review」
Q3 乳がん検診は受けるべき?
乳がん検診による効果の低下やデメリットに対する懸念のために、トータルでの有用性に対しては、今なお議論が行われています。
では、乳がん検診は受けるべきなのでしょうか?
医療従事者として私個人が最も問題と考えているのは、乳がん検診にまつわるメリットとデメリットが、しっかりと周知されていないことです。これは日本だけではなく、欧米にも共通する問題であり、現在、その解決に向けた方策が模索されています。すでにパンフレットを用いて知識の普及を促したり、個々人のリスクに応じた乳がん検診のオーダーメイドが提案されるようになっており、その有効性が検証されています。
日本では乳がん検診の受診率は30%と、そもそも欧米の70~80%に比べて圧倒的に少ないのが実情です。とはいえ乳がん検診のメリットばかりが強調されて、潜在するデメリットに関してしっかりと伝えられない事態は避けたいものです。どんな検査、どんな医療行為にも、メリット、デメリットはつきものです。
年齢や個人の健康状態により、もちろん変わってはきますが、日本において一般的に対象とされる40代以降の女性についていえば、マンモグラフィーによる乳がん検診はメリットがあると考えられます。導入から10年以上経った今だからこそ、より公平な情報が人々に伝えられ、取捨選択できる環境が必要だと思います。
■参考文献
・The Lancet「Use of a decision aid including information on overdetection to support informed choice about breast cancer screening: a randomised controlled trial」
・The Lancet「The benefits and harms of breast cancer screening: an independent review」
・The New England Journal of Medicine「Cancer Screening Campaigns - Getting Past Uninformative Persuasion」
・Maturitas「EMAS position statement: Individualized breast cancer screening versus population-based mammography screening programmes」
・日本乳癌検診学会「米国予防医学専門委員会による乳がん検診推奨に対する日本乳癌検診学会の見解」
(文/南相馬市立総合病院、尾崎章彦)
参照元 : 日経トレンディネット
北斗晶さんはマンモグラフィ検診で乳癌に??
2015年9月24日
北斗晶さんが24日に乳癌であることをブログで告白しました。そこには身内に乳癌を患った人がいないことや毎年秋ごろ、乳癌検診を受けていたと書かれていました。それを読んで、乳癌検診が乳癌の引き金になったのではないかと思いました。なぜ乳癌検診で乳癌になる可能性があるのかというとマンモグラフィを使うからです。
マンモグラフィの危険性はいくつかあり、1つ目はマンモグラフィによる被爆のリスクが胸部エックス線検査の1000倍あることです。
つまり、乳癌検診で本当の乳癌になってしまう可能性があるということです。2つ目はマンモグラフィで見つかる腫瘍が必ずしも乳癌とは限らないということです。これは「偽陽性」と言われています。この偽陽性に関しては6万人のスウェーデン女性を対象にした研究で明らかになっています。その研究は「マンモグラフィの検診で見つかった腫瘍の70%が乳癌ではなかった」と結論付けています。
偽陽性の恐い所は下手な病院に行くと「乳癌ではないのに乳癌と判定されてしまう危険」があるということ。3つ目はマンモグラフィで乳癌を見付けることはそもそも非常に難しいということです。アメリカ政府が40代女性のマンモグラフィ検診は推奨しないと言っていますが、この年代以下ではマンモグラフィで乳癌を見付けることは難しいのです。
北斗晶さんも40代ですので、去年の乳癌検診での誤診の可能性も捨てきれない(つまり、去年の検診での乳癌の見逃し)。だって、数か月で突然2センチの腫瘍(北斗さんは2センチの腫瘍)になる可能性は限りなくゼロに近いのだから。
乳癌を見付ける難しさについて、聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック院長福田護さんは次のように言っています。要約すると日本人女性は乳腺密度が濃く、マンモグラフィでは真っ白に写ってしまう。また、乳癌も真っ白に写るために区別がつかなくなる。と言っています(日本人に比べて、欧米人は乳腺密度が少ないのでマンモグラフィで見つけやすい)。
もちろん、乳癌検診を受けるなと言っているわけではなく、触診や超音波検査を行なう事は必要です。本当はリスクのない乳癌検診を紹介したかったのですが、現状ではマンモグラフィ、触診、超音波検査しかないのが現状です。
[補足]
アメリカだけではなくスイスでもマンモグラフィ検診を推奨するのを止めたそうです。スイスの場合は年齢関係なく、マンモグラフィ検診自体を廃止勧告しています。
[参考記事]
「海老蔵さんの妻 麻央さんの乳がんは「転移性乳がんかもしれない」
「北斗さんは授乳をしていれば乳癌にならなかったかも」
「乳癌の予防法をまとめてみた。北斗さんの乳癌は肥満も一因か」
「夜型の女性は乳癌のリスクが40%増加」
「お酒を飲みすぎると乳癌になります」
参照元 : 健康と病気事典
乳がん検診は百害あって一利なし(マンモグラフィ・生体) マコーラ博士
2015-10-01 04:36:34
乳がんに対する最大の武器とは(マンモグラフィではありません)
2012年3月3日【Mercola.com】Your Greatest Weapon Against Breast Cancer (Not Mammograms) より翻訳
マコーラ博士著
全米乳がん財団法人(仮訳、National Breast Cancer Foundation)によれば、アメリカでは毎年20万件の新規乳がんが診断され、その他の一般的な婦人科がんの3倍になるであろうと予測されています。
そして今年、乳がんで命を失われる方は4万人になるとのこと。実際のところ、女性では肺がんよりも死亡者数が多いがんは、この乳がんだけなのです。さらに気がかりなのは、この50年の間の乳がんの発症率の上昇の速さです。
1960年には、20人に一人の女性が乳がんになりましたが、現在では7人に一人が乳がんと診断されています。
乳がんについて重要な事実
*女性の40~55歳で最も死亡者数が多いのが乳がん
*45歳以下で乳がんを発症するのは、乳がん患者の15%で、45歳以下のグループでは乳がんはより悪性で進行が早く、回復率は低め
*胸のしこりの80%は、 非がん性
*乳がんの70%は、乳房の自己検査によって発見されたもの
*乳がんと診断された女性のうち、80%は乳がんの家族暦がない
マンモグラフィの放射線の有害な作用が、乳がんの発達に多大な影響を与える要因であるということがようやく、知られ始めてきました。最近の複数の研究では、乳がんのスクリーニングが女性にとって有益であるよりも害となるということが明らかにされています。
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)で2011年12月に公開された新しい研究によると、乳がん検査は女性にとって有害となる可能性があり、特に検査を始めた最初の数年の間にそれが顕著であるということを確認しています。
この害とは主に、腫瘍摘出手術や乳腺切除術などの外科手術、そしてその他の(不必要な場合がよくある)治療介入によるものがほとんどです。同研究では、誤った陽性結果および不必要な治療により、人生の質が失われてしまうところを強調しています。
米国医学研究所(IOM)による最新のレポートでは、環境からの(有害物質の)被ばくが乳がんの発生に関与している可能性があるのではないかという疑問視を投げかけており、変化への動きが見られるのは幸いなことです。
女性が一生の間に様々な環境からの有毒物質への接触するリスクに対してさらなる研究が必要だ、と提唱する米国医学研究所委員会は絶対的に正しいと言えるでしょう。
そして乳がんを発見し、予防する助けとなるために行われているマンモグラフィが、女性の乳がん発症リスクを高める原因となっているというのはなんとも皮肉なことではないでしょうか。
マンモグラフィの放射線は、胸部のX線よりもよりダメージが大きい
マンモグラフィでは比較的高用量のイオン化放射線が使用されており、乳がんの原因となる突然変異を起こす可能性があります。マンモグラフィ一度で被ばくする放射線は、最大で胸部X線の1,000回分に相当することもあります。
さらにマンモグラフィでは乳房が強く圧迫されますので、もしがん細胞が存在している場合はその細胞を広めることにもなりかねません。
Samuel Epstein博士は世界トップクラスのがん研究家ですが、次のように述べています。
「閉経期前の乳房は放射線に非常に感受性が高く、1ラド(訳注:吸収線量の単位)の被ばくにより乳がんにかかる可能性が1%上昇します。10年に渡って毎年検査を受けた場合には、両方の乳房で乳がんにかかる可能性が10%に累積されることになります」
乳がん検診によって、あなたの寿命を実際に短くする可能性のある不必要な治療および外科手術を受けることになる場合も
マンモグラフィにはまた、最高で6%という受け入れがたい陽性の誤判定という問題もあります。
誤判定による陽性診断は、高額な検査のやり直し、さらなる放射線への被ばくの原因ともなりえ、また場合によっては生体検査や外科手術、放射線や化学療法という侵襲的治療を受ける結果にさえなりえます。
実際のところ、乳がん検診を受けることで、外科手術を受ける可能性が35%上昇しています。
これにはあなたの乳房から少量の細胞を取り出し、がん細胞が存在しているかどうかを病理学者が顕微鏡を用いて確認する作業が含まれています。
生体検査はその不正確さで悪名が高く、誤診や不必要な治療の原因となっており、もちろん言うまでもなく、感じる必要のない感情的なストレスも被験者にもたらしています。
本当はそうでないのに、自分に乳がんがあるかもしれないと考え、恐怖や病気の子とばかりを考えただけでも、実際に病気の原因となるのに十分なストレスになります。ストレスが健康に悪影響のあることは、広く世間に知れ渡っていることです。ですので、陽性の誤診はあなたの健康を様々な角度から損なうということになります。
2009年のコクランセンターにより集積・分類されたデータベース(Cochrane Database Systematic Review)で、乳がん検診およびマンモグラフィに関する部分で、著者は次のように記しています。
「(乳がん)検診により、過剰診断および過剰治療のリスクが30%、そして絶対的な(乳がん発症の)可能性が0.5%上昇します。
つまり、2000人の女性が10年に渡って検診を受けることにより、
・寿命が長くなる女性が1人
・乳がん検診を受けていなければ乳がんと診断されることのなかった健康な女性の10人が必要のない治療を受けることになる
ということです」
残念なことに、気がなりな科学的な発見はここで終わりません。
このような乳がん検診を受けることにより、寿命を長くするよりはむしろ、短くしているということです。Green Med Info(リンク)のSayer Ji氏は、2011年のGMJによる発見に基づいて乳がん検診によって生じるダメージというテーマで、次のように述べています。
「同発見についておそらく最も問題なのは、乳がん検診の安全性および効果に対して疑問視することを明確に要求している一方で、彼らが判断の基準にした研究は、時代遅れの放射線に関するリスクモデルを使用してことでしょう。
これにより発がん性の4~5の要因が最小限度に抑えられているということになりますから・・・
つまりそのため、乳がん検診は『利点よりも害の方が大きい』どころではなく、放射線の種を植え付け、これにより何百万人もの女性の胸部にがんを誘発しているということです」
マンモグラフィは実際には、まったく命を助けていないという研究結果
2010年9月に世界で最も権威のある医学誌の一つ、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(NEJM)で、何年も行われていなかったマンモグラフィの有効性を確認する実験について発表を行いました。
研究結果の内容は、政府の健康担当職員のほとんどが、市民に信じ込ませていたものとはまったく異なったものでした。その結論とは・・・マンモグラフィが引き下げたとされる死亡率は、1,000人の女性あたり、死亡者数0.4でした。あまりにも小さな数字ですので、ゼロと言っても差支えがないくらいです。
別の言い方をすれば、2,500人の女性が10年に渡って乳がん検診を受けた場合に、ようやく乳がんによる死亡を1人防ぐことができるということです。つまりマンモグラフィは安全でないだけでなく、当初思われていたように女性の生命を救うものではないのです。
過去の研究からはまた、乳房の注意深い触診にマンモグラフィを追加した場合でも、触診だけの場合と比較して乳がんの生存率を改善するものではないということが明らかにされています。
では、マンモグラフィが助けにならないとしたら、どうしたらよいのでしょう?
【この記事の参照元】
(翻訳終了)
(この記事の参照元については、原文のリンクからご確認いただけます)
【コメント】
本文が長いので、マンモグラフィについてと、乳がん(がん一般)の対抗策について二つの記事に分けて投稿します。
続きの記事
「乳がん、その他がんの「特効薬」とは? マコーレ博士」
「マンモグラフィは利益よりも害の方が大きい」
Screening mammograms do more harm than good(英語)
こちらには、ノルウェーで行われた20万人以上の女性を対象にした大規模な実験の結果が説明されています。
一つのグループでは、6年の間、2年ごとにマンモグラフィを受けた女性と、もう一つのグループは、最後の6年目にだけマンモグラフィを受けた女性、それぞれ10万人強で乳がんの発生率を確認しました。
結果は、マンモグラフィを受けた回数が多いほど、乳がんになる傾向が顕著に高くなるということです。オックスフォード大学で行われた研究でも、マンモグラフィを受けていない女性の方が死亡率が低かったとのこと。
そして9月1日付けのニュースでは、乳がんを8ヶ月も早く発見できる血液検査についての記事がありました。
Blood Test Predicts Breast Cancer Relapse 8 Months Earlier
別の記事でも、血液検査の方がよほど正確だというものも。
でも早期発見ですぐに化学療法ということになると、あまり望ましくはないかもしれませんが、患者さん自身がご自分で最適な「治療法」に取り組む分にはよさそうですね。
英語圏の記事を見ていると、マンモグラフィはすでに「過去の遺物」扱いなものが多かったのですが、日本のマスコミの記事を見回してみると、否定的なものでも完全にマンモグラフィの有効性を否定し切れているものはほとんどありませんでした。
現役で乳がん検査や治療をされている医療関係者は、自分のしている医療行為に関して常に最新の情報を確認するのも仕事の一環かとばかり思っていましたが。
【注】様々な情報がありますので、乳がんに限らずがん検診などを受けられる場合は、この情報に限らず事前に各自で十分なリサーチをされた上でご検討ください。
参照元 : 世界の裏側ニュース
2015年06月30日
ビジネスパーソンが注意するべき“病気”について、専門家に解説をしてもらうこの連載。女性に特有の病気と思われがちな乳がんについて、前後編で解説します。前編では乳がんにかかりやすい人、症状、男性のリスクなどを解説しました。今回は乳がんで亡くなる人を減らす目的で始まった乳がん検診が、疑問視されるようになってきていることを受け、改めて乳がん検診について、南相馬市立総合病院、尾崎章彦先生に解説していただきます。
胃、肺、大腸、子宮頸部、乳の5つのがんは検診による早期発見の効果が高いとされており、例えば乳がんは検診で早期発見した場合、9割以上の人が治る(5年生存率が9割以上)のだといいます。
国や自治体はがんの早期発見のため、毎年がん検診を受けることを推奨しており、その中に乳がん検診も含まれています。特に40歳以上の女性は2年に1回、問診、視触診およびマンモグラフィー(乳房エックス線検査)を受けることが推奨されており、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳の女性には国から検診の無料クーポンが配られています。
こうした努力や「ピンクリボン運動」などの啓蒙活動の影響もあり、受診率は少しずつ上昇していますが、一方で、最近では乳がん検診の是非に関して、疑問視する声が挙がってきました。
今回は乳がん検診の詳細と乳がん検診の是非を巡る論争を解説します。
■参考文献
WHO「Early detection of cancer」
Q1 乳がん検診ってそもそもなに? マンモグラフィーって危ないの?
Q2 乳がん検診論争勃発! デメリットって何?
Q3 乳がん検診は受けるべき?
Q1 乳がん検診ってそもそもなに? マンモグラフィーって危ないの?
乳がん検診の目的は、何でしょうか?
それは、乳がんを早期に発見することで、乳がんによって亡くなる人を一人でも減らすことです。
検診では視触診、自己触診、マンモグラフィー、超音波検査、MRI検査と多岐にわたる検査が行われてきました。このうち日本および欧米諸国で最も広く行われているマンモグラフィーに関して、説明したいと思います。
マンモグラフィー…痛み・放射線被ばくのリスク vs 死亡率の減少
マンモグラフィーはレントゲンの一種ですが、現時点で乳がんの死亡を減少させる効果が広く認められている唯一の検査です。
乳房を片側ずつ、上下または左右から圧迫して、薄く平らにして撮影を行います(図1)。日本では2000年から50歳以上の女性に、2004年からは40歳以上の女性に、2年ごとの検査が推奨されており、現在では乳がん検診の象徴として、多くの人が知っていることでしょう。視触診では分からないような早期の乳がんを発見できるのが、その強みです。
図1(出典:Wikimedia Commonsを改変)
一方で乳腺が発達している若年者においては、その精度が低下することが知られています。また痛みのデメリットがあり、ネガティブな印象を持っている女性もいるでしょう。さらに放射線被ばくのため10万人に1~10人程度、乳がんが発症することが分かっています。
ただ、今後も乳がん検診の中心的な役割を果たしていくことは間違いありません。
ほかの検査は補助的な役割。超音波検査は若年者に有効
一方でマンモグラフィー以外の検査においては、乳がんの死亡を減少させる効果は十分に確認されていません。そのため現時点ではこれらの検査は、マンモグラフィーの補助的な役割として理解していただくのが望ましいでしょう。
乳房超音波検査は、超音波を発する端子を用いて乳房の内部を観察する検査であり(図2のA~C)、日本ではマンモグラフィーの補助的な検査として広く行われています。乳がんを検出する能力に優れ、乳腺が発達した若年者の検査にも向いています。また、マンモグラフィーでは検出できないような小さい乳がんでも検出できる可能性があります。痛みを伴わず、患者さんに優しい点もメリットとして挙げられるでしょう。
MRI検査は日本ではあまり出番なし。触診は自分で行うように
MRI検査は磁気の力を利用して乳房を撮影します(図3)。強みは他の検査では検出できないようなごく小さい乳がんを見つけることができる点です。欧米を中心にマンモグラフィーの補助検査として、効果が評価されてきました。
日本では超音波検査が広く普及していることもあり、乳がん検診ではほとんど登場することはありません。
視触診は乳房を観察してくぼみや色みの変化がないか、また手で触れてしこりがないか、リンパ節が腫れていないか、乳首から分泌物がないかなどを観察します。簡便であることから乳がん検診が導入された1987年当初は行われていましたが、現在はマンモグラフィーにその座を取って代わられました。
ただし乳がんは自分で発見できる数少ないがんであり、視触診は自分で行う自己触診が勧められています。
■参考文献
・The New England Journal of Medicine「Breast-Cancer Screening -- Viewpoint of the IARC Working Group」
・Journal of Clinical Oncology「Magnetic Resonance Imaging Improves Breast Screening Sensitivity in BRCA Mutation Carriers Age 50 Years: Evidence From an Individual Patient Data Meta-Analysis」
・日本乳癌学会「乳腺腫瘍学」
・日本乳癌学会「科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン 2疫学・診断編 2013年版」
・日本対がん協会「がん・検診について」
・J.POSH
Q2 乳がん検診論争勃発! デメリットって何?
乳がん検診が乳がんの早期発見、早期治療を促し、乳がんの死亡率の減少に貢献してきたことは事実です。
しかし近年、乳がん検診の是非について、欧米を中心に大きな論争が起きています。
発端は2009年、米国で起きた議論です。米国予防医学専門委員会(US Preventive Services Task Force:USPSTF)が、それまで「40歳以上の女性に対して1~2年に1回のマンモグラフィー検診受診を推奨する」としていた推奨を、「40歳代の女性に対する定期的なマンモグラフィー検診は利益より不利益が大きいので、推奨しない」と変更しました。50歳代以上と比較すると、40歳代では利益が不利益を上回る度合いが小さいというのです。一方で、米国対がん協会、放射線医学会、米国議会は引き続き検診を勧める考えを示しました。これにより、40歳代以降、一律に行われてきた乳がん検診に対し、一般の人も巻き込んだ、国内を二分する議論に発展したのです。
また事態は米国だけにとどまりません。2013年にはスイスではスイス医療委員会の委員からなる研究グループが、権威ある「The New England Journal of Medicine」誌に「マンモグラフィー健診は乳がんによる全死亡率を低下させない」という研究結果を発表し、定期的な乳がん検診をすべて中止するように促す勧告を出しました。
実はこの他にもさまざまな国から、過去に想定されていた乳がん検診の効果を疑問視するような報告が相次いでいます。
なぜ、ここまで問題となっているのでしょうか?
治療の発達が検査の必要性を薄れさせた!?
一つは、乳がん治療の発達と関係しています。
発見や治療が遅れて以前には助けることが難しかった患者さんが、この数十年の間に徐々に助かるようになりました。その結果、乳がんを早期に発見するメリットが以前よりも小さくなっています。
乳がん検診の効果は以前の半分から3分の1程度にまで減少し、欧米では1000人に対して乳がん検診をしても、1~2人程度の死亡を防ぐのみと推測されています。日本における詳細なデータは存在しませんが、もともとの乳がんの発症率が欧米に比較して低いため、そのメリットはさらに小さくなる可能性があります。
一方で、乳がん検診によるデメリットが強調されるようになってきました。代表的なデメリットに偽陽性、過剰診断というものがあります。
なければ良かった、では済まない? 偽陽性
偽陽性とは、乳がん検診にて乳がんの疑いを指摘されて精密検査を行った結果、乳がんがないと判断される場合を指します。
結果的にがんがなかったのだから良かったじゃないかとする向きもありますが、精密検査次第では針を刺す検査で組織を採取する必要性も生じます。また精神的なストレスを患者さんに強いる可能性も指摘されています。
しかし検査を受けた人のうち約20%の人が、偽陽性の診断を受けると推測されているのです。
乳がんと診断されたのにほかの病気で死亡!? 過剰診断
また過剰診断とは、生きている間に患者さんに害をおよぼさない乳がんを診断することを指します。分かりやすく言い換えると、乳がんを早期に発見して頑張って治療を受けていたのに、他の病気、あるいは寿命によって亡くなってしまう場合です。他のがんや病気にも一定程度の過剰診断はつきものではありますが、他のがんより一般的に進行がゆるやかな乳がんの場合、問題となるわけです。
状況を複雑にしているのは、診断がついた時点でその乳がんが過剰診断なのかどうか、誰にも分からない点です。進行の速度や症状の悪化は、簡単に見込めるものではありません。検診を受けて乳がんと診断された患者さんのうち、約1~10%が過剰診断であると推測されています。
■参考文献
・The New England Journal of Medicine「Effect of Screening Mammography on Breast-Cancer Mortality in Norway」
・The New England Journal of Medicine「Breast-Cancer Screening - Viewpoint of the IARC Working Group」
・The New England Journal of Medicine「Abolishing Mammography Screening Programs? A View from the Swiss Medical Board」
・American College of Physicians「Screening for Breast Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement」
・CNN「Task force opposes routine mammograms for women age 40-49」
・the British Medical Journal「Modern mammography screening and breast cancer mortality: population study」
・the British Medical Journal「Breast cancer mortality in neighbouring European countries with different levels of screening but similar access to treatment: trend analysis of WHO mortality database」
・Journal of the Royal Society of Medicine「Overdiagnosis in mammographic screening for breast cancer in Europe: a literature review」
Q3 乳がん検診は受けるべき?
乳がん検診による効果の低下やデメリットに対する懸念のために、トータルでの有用性に対しては、今なお議論が行われています。
では、乳がん検診は受けるべきなのでしょうか?
医療従事者として私個人が最も問題と考えているのは、乳がん検診にまつわるメリットとデメリットが、しっかりと周知されていないことです。これは日本だけではなく、欧米にも共通する問題であり、現在、その解決に向けた方策が模索されています。すでにパンフレットを用いて知識の普及を促したり、個々人のリスクに応じた乳がん検診のオーダーメイドが提案されるようになっており、その有効性が検証されています。
日本では乳がん検診の受診率は30%と、そもそも欧米の70~80%に比べて圧倒的に少ないのが実情です。とはいえ乳がん検診のメリットばかりが強調されて、潜在するデメリットに関してしっかりと伝えられない事態は避けたいものです。どんな検査、どんな医療行為にも、メリット、デメリットはつきものです。
年齢や個人の健康状態により、もちろん変わってはきますが、日本において一般的に対象とされる40代以降の女性についていえば、マンモグラフィーによる乳がん検診はメリットがあると考えられます。導入から10年以上経った今だからこそ、より公平な情報が人々に伝えられ、取捨選択できる環境が必要だと思います。
■参考文献
・The Lancet「Use of a decision aid including information on overdetection to support informed choice about breast cancer screening: a randomised controlled trial」
・The Lancet「The benefits and harms of breast cancer screening: an independent review」
・The New England Journal of Medicine「Cancer Screening Campaigns - Getting Past Uninformative Persuasion」
・Maturitas「EMAS position statement: Individualized breast cancer screening versus population-based mammography screening programmes」
・日本乳癌検診学会「米国予防医学専門委員会による乳がん検診推奨に対する日本乳癌検診学会の見解」
(文/南相馬市立総合病院、尾崎章彦)
参照元 : 日経トレンディネット
北斗晶さんはマンモグラフィ検診で乳癌に??
2015年9月24日
北斗晶さんが24日に乳癌であることをブログで告白しました。そこには身内に乳癌を患った人がいないことや毎年秋ごろ、乳癌検診を受けていたと書かれていました。それを読んで、乳癌検診が乳癌の引き金になったのではないかと思いました。なぜ乳癌検診で乳癌になる可能性があるのかというとマンモグラフィを使うからです。
マンモグラフィー(mammography)は、乳癌の早期発見のために人の乳房をX線撮影する手法、またそのための乳房X線撮影装置のこと。
ウィキペディアより
ウィキペディアより
マンモグラフィの危険性はいくつかあり、1つ目はマンモグラフィによる被爆のリスクが胸部エックス線検査の1000倍あることです。
マンモグラフィの放射線は、「胸部レントゲンなどと比べると取るに足りず、1ラドの千分の一に過ぎない」と言われているが、両乳房で合計四枚の写真を取る時の放射線の被爆は、胸全体にあてる胸部レントゲンより1000倍も高い。(注:ラドとは吸収した放射線の総量を表す単位ですが、今はグレイが使われているようです。)
したがって、閉経前の女性が十年間、毎年マンモグラフィ検査を受けたとすると、合計で各乳房に10ラドの放射線が蓄積することになる。
閉経前の女性の乳房が放射線感受性が非常に強いことは、30年も前から強調されてきたことで、1ラドの放射線被爆は、乳がんリスクを1パーセント高める。したがって10年間これをやると、発ガンリスクは10パーセント高まるのだ。これは40歳から50歳の女性についてあてはまる。
WONDERFUL WORLDより転載
出典元The Cancer Prevention Coalition
したがって、閉経前の女性が十年間、毎年マンモグラフィ検査を受けたとすると、合計で各乳房に10ラドの放射線が蓄積することになる。
閉経前の女性の乳房が放射線感受性が非常に強いことは、30年も前から強調されてきたことで、1ラドの放射線被爆は、乳がんリスクを1パーセント高める。したがって10年間これをやると、発ガンリスクは10パーセント高まるのだ。これは40歳から50歳の女性についてあてはまる。
WONDERFUL WORLDより転載
出典元The Cancer Prevention Coalition
つまり、乳癌検診で本当の乳癌になってしまう可能性があるということです。2つ目はマンモグラフィで見つかる腫瘍が必ずしも乳癌とは限らないということです。これは「偽陽性」と言われています。この偽陽性に関しては6万人のスウェーデン女性を対象にした研究で明らかになっています。その研究は「マンモグラフィの検診で見つかった腫瘍の70%が乳癌ではなかった」と結論付けています。
偽陽性の恐い所は下手な病院に行くと「乳癌ではないのに乳癌と判定されてしまう危険」があるということ。3つ目はマンモグラフィで乳癌を見付けることはそもそも非常に難しいということです。アメリカ政府が40代女性のマンモグラフィ検診は推奨しないと言っていますが、この年代以下ではマンモグラフィで乳癌を見付けることは難しいのです。
北斗晶さんも40代ですので、去年の乳癌検診での誤診の可能性も捨てきれない(つまり、去年の検診での乳癌の見逃し)。だって、数か月で突然2センチの腫瘍(北斗さんは2センチの腫瘍)になる可能性は限りなくゼロに近いのだから。
乳がんは、1mmから1cmになるまで15年かかりますが、1cmから2cmになるのは2年もかかりません。
もっと知ろう!乳がんより転載
もっと知ろう!乳がんより転載
乳癌を見付ける難しさについて、聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック院長福田護さんは次のように言っています。要約すると日本人女性は乳腺密度が濃く、マンモグラフィでは真っ白に写ってしまう。また、乳癌も真っ白に写るために区別がつかなくなる。と言っています(日本人に比べて、欧米人は乳腺密度が少ないのでマンモグラフィで見つけやすい)。
日本におけるマンモグラフィの有用性を議論する際、日本人女性特有の”乳腺密度の濃さ”、罹患年齢の若さが問題になります。マンモグラフィは、乳がんを白い塊として写だすもの。しかし乳腺もまた、白く写る。つまり、乳腺密度が濃いと真っ白な画像になってしまい、乳がんが見えづらくなってしまうのです。乳腺は母乳をつくるところですから、若ければ若いほどその密度は濃く、年を重ねるにつれ徐々に薄くなっていくものです。欧米女性の場合、日本人に比べ乳腺密度が少ないことが多く、さらに乳がんの罹患年齢のピークがおよそ60〜70歳。したがって乳腺密度も薄く、マンモグラフィでも比較的見つけやすい。ところが、日本人女性の場合は罹患年齢のピークが40代、と非常に若い。加えて、50歳以上でも乳腺が濃い女性が多い。つまり、日本人女性は”マンモグラフィに不向き”なのです。それでも、現段階で国の『対策型検診』に用いることができる”条件=乳がん死亡率の減少”という”結果”を証明できるのはマンモグラフィ検診しかない。これらの問題が、20%の死亡率減少という”利益”と同時に、いくつかの”不利益”を日本の女性にもたらしています。
PHILIPSより
PHILIPSより
もちろん、乳癌検診を受けるなと言っているわけではなく、触診や超音波検査を行なう事は必要です。本当はリスクのない乳癌検診を紹介したかったのですが、現状ではマンモグラフィ、触診、超音波検査しかないのが現状です。
[補足]
アメリカだけではなくスイスでもマンモグラフィ検診を推奨するのを止めたそうです。スイスの場合は年齢関係なく、マンモグラフィ検診自体を廃止勧告しています。
乳がん発見のためのマンモグラフィーによる定期検診の有用性に今疑問符が付いている。この5月には、有力医学誌で、スイス医療委員会が「マンモグラフィー健診は乳がんによる全死亡率を低下させない」と結論付けて、廃止勧告している。
研究グループはいくつかの研究の結果を検討した。25年間の追跡調査を伴うカナダの定期健診の研究によれば、生検を伴うマンモグラフィー検診は過剰診断をもたらし、不要な手術、放射線療法、化学療法などの過剰診療を招いているとして問題視した。
Medエッジより転載
[参考記事]
「海老蔵さんの妻 麻央さんの乳がんは「転移性乳がんかもしれない」
「北斗さんは授乳をしていれば乳癌にならなかったかも」
「乳癌の予防法をまとめてみた。北斗さんの乳癌は肥満も一因か」
「夜型の女性は乳癌のリスクが40%増加」
「お酒を飲みすぎると乳癌になります」
参照元 : 健康と病気事典
乳がん検診は百害あって一利なし(マンモグラフィ・生体) マコーラ博士
2015-10-01 04:36:34
乳がんに対する最大の武器とは(マンモグラフィではありません)
2012年3月3日【Mercola.com】Your Greatest Weapon Against Breast Cancer (Not Mammograms) より翻訳
マコーラ博士著
全米乳がん財団法人(仮訳、National Breast Cancer Foundation)によれば、アメリカでは毎年20万件の新規乳がんが診断され、その他の一般的な婦人科がんの3倍になるであろうと予測されています。
そして今年、乳がんで命を失われる方は4万人になるとのこと。実際のところ、女性では肺がんよりも死亡者数が多いがんは、この乳がんだけなのです。さらに気がかりなのは、この50年の間の乳がんの発症率の上昇の速さです。
1960年には、20人に一人の女性が乳がんになりましたが、現在では7人に一人が乳がんと診断されています。
乳がんについて重要な事実
*女性の40~55歳で最も死亡者数が多いのが乳がん
*45歳以下で乳がんを発症するのは、乳がん患者の15%で、45歳以下のグループでは乳がんはより悪性で進行が早く、回復率は低め
*胸のしこりの80%は、 非がん性
*乳がんの70%は、乳房の自己検査によって発見されたもの
*乳がんと診断された女性のうち、80%は乳がんの家族暦がない
マンモグラフィの放射線の有害な作用が、乳がんの発達に多大な影響を与える要因であるということがようやく、知られ始めてきました。最近の複数の研究では、乳がんのスクリーニングが女性にとって有益であるよりも害となるということが明らかにされています。
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)で2011年12月に公開された新しい研究によると、乳がん検査は女性にとって有害となる可能性があり、特に検査を始めた最初の数年の間にそれが顕著であるということを確認しています。
この害とは主に、腫瘍摘出手術や乳腺切除術などの外科手術、そしてその他の(不必要な場合がよくある)治療介入によるものがほとんどです。同研究では、誤った陽性結果および不必要な治療により、人生の質が失われてしまうところを強調しています。
米国医学研究所(IOM)による最新のレポートでは、環境からの(有害物質の)被ばくが乳がんの発生に関与している可能性があるのではないかという疑問視を投げかけており、変化への動きが見られるのは幸いなことです。
女性が一生の間に様々な環境からの有毒物質への接触するリスクに対してさらなる研究が必要だ、と提唱する米国医学研究所委員会は絶対的に正しいと言えるでしょう。
そして乳がんを発見し、予防する助けとなるために行われているマンモグラフィが、女性の乳がん発症リスクを高める原因となっているというのはなんとも皮肉なことではないでしょうか。
マンモグラフィの放射線は、胸部のX線よりもよりダメージが大きい
マンモグラフィでは比較的高用量のイオン化放射線が使用されており、乳がんの原因となる突然変異を起こす可能性があります。マンモグラフィ一度で被ばくする放射線は、最大で胸部X線の1,000回分に相当することもあります。
さらにマンモグラフィでは乳房が強く圧迫されますので、もしがん細胞が存在している場合はその細胞を広めることにもなりかねません。
Samuel Epstein博士は世界トップクラスのがん研究家ですが、次のように述べています。
「閉経期前の乳房は放射線に非常に感受性が高く、1ラド(訳注:吸収線量の単位)の被ばくにより乳がんにかかる可能性が1%上昇します。10年に渡って毎年検査を受けた場合には、両方の乳房で乳がんにかかる可能性が10%に累積されることになります」
乳がん検診によって、あなたの寿命を実際に短くする可能性のある不必要な治療および外科手術を受けることになる場合も
マンモグラフィにはまた、最高で6%という受け入れがたい陽性の誤判定という問題もあります。
誤判定による陽性診断は、高額な検査のやり直し、さらなる放射線への被ばくの原因ともなりえ、また場合によっては生体検査や外科手術、放射線や化学療法という侵襲的治療を受ける結果にさえなりえます。
実際のところ、乳がん検診を受けることで、外科手術を受ける可能性が35%上昇しています。
これにはあなたの乳房から少量の細胞を取り出し、がん細胞が存在しているかどうかを病理学者が顕微鏡を用いて確認する作業が含まれています。
生体検査はその不正確さで悪名が高く、誤診や不必要な治療の原因となっており、もちろん言うまでもなく、感じる必要のない感情的なストレスも被験者にもたらしています。
本当はそうでないのに、自分に乳がんがあるかもしれないと考え、恐怖や病気の子とばかりを考えただけでも、実際に病気の原因となるのに十分なストレスになります。ストレスが健康に悪影響のあることは、広く世間に知れ渡っていることです。ですので、陽性の誤診はあなたの健康を様々な角度から損なうということになります。
2009年のコクランセンターにより集積・分類されたデータベース(Cochrane Database Systematic Review)で、乳がん検診およびマンモグラフィに関する部分で、著者は次のように記しています。
「(乳がん)検診により、過剰診断および過剰治療のリスクが30%、そして絶対的な(乳がん発症の)可能性が0.5%上昇します。
つまり、2000人の女性が10年に渡って検診を受けることにより、
・寿命が長くなる女性が1人
・乳がん検診を受けていなければ乳がんと診断されることのなかった健康な女性の10人が必要のない治療を受けることになる
ということです」
残念なことに、気がなりな科学的な発見はここで終わりません。
このような乳がん検診を受けることにより、寿命を長くするよりはむしろ、短くしているということです。Green Med Info(リンク)のSayer Ji氏は、2011年のGMJによる発見に基づいて乳がん検診によって生じるダメージというテーマで、次のように述べています。
「同発見についておそらく最も問題なのは、乳がん検診の安全性および効果に対して疑問視することを明確に要求している一方で、彼らが判断の基準にした研究は、時代遅れの放射線に関するリスクモデルを使用してことでしょう。
これにより発がん性の4~5の要因が最小限度に抑えられているということになりますから・・・
つまりそのため、乳がん検診は『利点よりも害の方が大きい』どころではなく、放射線の種を植え付け、これにより何百万人もの女性の胸部にがんを誘発しているということです」
マンモグラフィは実際には、まったく命を助けていないという研究結果
2010年9月に世界で最も権威のある医学誌の一つ、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(NEJM)で、何年も行われていなかったマンモグラフィの有効性を確認する実験について発表を行いました。
研究結果の内容は、政府の健康担当職員のほとんどが、市民に信じ込ませていたものとはまったく異なったものでした。その結論とは・・・マンモグラフィが引き下げたとされる死亡率は、1,000人の女性あたり、死亡者数0.4でした。あまりにも小さな数字ですので、ゼロと言っても差支えがないくらいです。
別の言い方をすれば、2,500人の女性が10年に渡って乳がん検診を受けた場合に、ようやく乳がんによる死亡を1人防ぐことができるということです。つまりマンモグラフィは安全でないだけでなく、当初思われていたように女性の生命を救うものではないのです。
過去の研究からはまた、乳房の注意深い触診にマンモグラフィを追加した場合でも、触診だけの場合と比較して乳がんの生存率を改善するものではないということが明らかにされています。
では、マンモグラフィが助けにならないとしたら、どうしたらよいのでしょう?
【この記事の参照元】
(翻訳終了)
(この記事の参照元については、原文のリンクからご確認いただけます)
【コメント】
本文が長いので、マンモグラフィについてと、乳がん(がん一般)の対抗策について二つの記事に分けて投稿します。
続きの記事
「乳がん、その他がんの「特効薬」とは? マコーレ博士」
「マンモグラフィは利益よりも害の方が大きい」
Screening mammograms do more harm than good(英語)
こちらには、ノルウェーで行われた20万人以上の女性を対象にした大規模な実験の結果が説明されています。
一つのグループでは、6年の間、2年ごとにマンモグラフィを受けた女性と、もう一つのグループは、最後の6年目にだけマンモグラフィを受けた女性、それぞれ10万人強で乳がんの発生率を確認しました。
結果は、マンモグラフィを受けた回数が多いほど、乳がんになる傾向が顕著に高くなるということです。オックスフォード大学で行われた研究でも、マンモグラフィを受けていない女性の方が死亡率が低かったとのこと。
そして9月1日付けのニュースでは、乳がんを8ヶ月も早く発見できる血液検査についての記事がありました。
Blood Test Predicts Breast Cancer Relapse 8 Months Earlier
別の記事でも、血液検査の方がよほど正確だというものも。
でも早期発見ですぐに化学療法ということになると、あまり望ましくはないかもしれませんが、患者さん自身がご自分で最適な「治療法」に取り組む分にはよさそうですね。
英語圏の記事を見ていると、マンモグラフィはすでに「過去の遺物」扱いなものが多かったのですが、日本のマスコミの記事を見回してみると、否定的なものでも完全にマンモグラフィの有効性を否定し切れているものはほとんどありませんでした。
現役で乳がん検査や治療をされている医療関係者は、自分のしている医療行為に関して常に最新の情報を確認するのも仕事の一環かとばかり思っていましたが。
【注】様々な情報がありますので、乳がんに限らずがん検診などを受けられる場合は、この情報に限らず事前に各自で十分なリサーチをされた上でご検討ください。
参照元 : 世界の裏側ニュース
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