2017年3月30日木曜日

お酒を飲むと赤くなる体質の遺伝子多型を有する人は骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折を起こし易い

お酒をのむと赤くなりやすい人は骨粗鬆症による大腿骨骨折をおこしやすい

2017/03/27



慶應義塾大学医学部

このたび、慶應義塾大学医学部整形外科学教室の宮本健史(先進運動器疾患治療学寄附講座特任准教授)らは、お酒を飲んだ際に赤くなりやすい体質の遺伝子多型を有する人は、その多型を持っていない人に比べてrs671の保有率の比較により、2.48倍、骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折をおこしやすくなることを明らかにしました。更にビタミンE摂取が予防に効果がある可能性も見出しました。

お酒を飲んだ際に赤くなりやすい人は、アルコールを飲んだあとのアルコール代謝の過程で発生するアセトアルデヒドの分解に機能するALDH2という酵素タンパク質が、遺伝子的に活性が弱いか欠けています。この遺伝は、日本人など東アジアの人種に多いとされています。

今回の研究では、お酒を飲むと赤くなりやすい遺伝子を保有する人は、普段の飲酒量に関係なく骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折を起こしやすくなることを明らかにしています。

ALDH2はアセトアルデヒドの分解に重要な役割を担っていますが、ALDH2の機能喪失により、アセトアルデヒドが蓄積されると骨を生成する骨芽細胞の機能不全が生じます。

一方で、機能不全をおこした骨芽細胞にビタミンEを添加することにより、機能不全を回避できることを試験管培養にて見出しました。

骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折の骨折患者数は増大し続けており、2014年の実績では国内で年間に19万件もの大腿骨近位部骨折が発生し、今後さらに増加することが予想されています。持って生まれた遺伝子多型は変えようがありませんが、ビタミンEの摂取で遺伝子多型の影響が減少し、骨折予防につながる効果が期待できることが示されました。

この研究成果は2017年3月27日、学際的総合ジャーナルScientific Reports誌に掲載されました。

参照元 : プレスリリース

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