本当はなかった、麻薬の依存性 ー 我々の認識を覆す圧倒的新説
2015.11.02
法の網をかいくぐって蔓延する危険ドラッグ、我が国においてもニュース番組を賑わす社会問題だ。一度麻薬に手を染めてしまうとその依存性から、体が蝕まれ、悲惨な最期が待っている、それが我々の麻薬に対する共通認識ではないだろうか?
麻薬が麻薬を呼ぶという負の悪循環。麻薬依存にいまさら異を唱えるのも愚蒙に思えるかもしれないが、麻薬に依存性があるという認識そのものが間違いなのではないかという問いかけが出されたのだ。10月29日に公開された1本の動画「Everything We Think We Know About Addiction Is Wrong」が話題を呼んでいる。今回は、この動画で語られていることを元に、その根拠となる実験や背景を考察していく。
■麻薬に依存性はない!
麻薬に依存性がない、と聞くとそんな馬鹿げたことがあるものかと思うのが普通であろう。1912年に結ばれた万国阿片条約から1世紀、すでに麻薬の依存性は「常識」として社会に存在している。麻薬を取り締まる法律がある中、裏社会においては麻薬の密輸や密売が横行しているのは周知の事実であるが、次の問いかけに我々はどう答えたらよいであろう。
「病院でモルヒネを投与された患者が麻薬依存症になったということは聞いたことがない。病院で投与されるモルヒネは、一般市場に流通している混ざりモノの多い粗悪なものより、ずっと純度が高くドラッグとしてみれば相当強いものだというのに」。
確かにガンをはじめ、医療行為の中で用いられる「ジアセチルモルヒネ」は純度の高いヘロインである。入院期間によっては長期にわたり定期的にヘロインを体内に取り込んでいることになるが、先に述べた我々の一般認識に沿って考ると、退院後はヘロインの中毒患者になって再入院となるわけだ。しかし実際にはそうならない。この矛盾はどう考えたらよいのであろうか?
麻薬に依存性があるということの科学的な裏付けがなされたのは1960年代のことである。スタンフォード大学のアブラム・ゴールドシュタイン教授が行ったマウスによる薬物依存の研究がもとになっている。ゴールドシュタイン教授は1匹のマウスを小さな檻の中に入れ、そこに「水の入ったボトル」と「ヘロインを混ぜた水溶液の入ったボトル」を設置し、どちらを飲むのか観察した。その結果、マウスはヘロインの入りのボトルを飲み続けたのだ。このことから、「多くの薬物患者に見られるような複雑な社会背景や、貧困やいわれなき差別といった背景を持たないマウスがドラッグを選んだということは、麻薬の依存性を示している」、と博士は指摘したのである。
この実験から麻薬によって脳が麻痺し、コントロールされるという一連の認識は確実なものとなった。しかし、80年に入ってこの研究に疑問を持つ科学者が現れたのだ。
■マウスの楽園がもたらした異論
彼の名は、カナダのサイモン・フレーザー大学のブルース・アレグサンダー教授である。「なぜ檻の中には一匹のマウスだけなのだろうか? もし違う環境でも同じ結果になるのであろうか?」と、先の実験と様々な要因が存在する人間社会を安易に結びつけるのはおかしいのではないかと疑ったのだ。
そこで教授は広い檻、芝生に遊具、そして数匹のマウスを入れ、友人や恋人ができるように「マウスの楽園」を作ってみたのだ。ここに先に置いたのと同じ2つのボトルを設置した。果たして結果に違いは出たのであろうか。
結果は違った。マウスはヘロイン入のボトルを選ばなかったのである。衝動的に飲むことも過剰摂取するマウスもほぼ0だったのだ。マウスの楽園の住人は麻薬を選ばなかったのである。この結果に関して人間にも同様の事例がある、そうベトナム戦争だ。当時先行きが見えない悲壮感を紛らわそうと約20パーセントのアメリカ兵が麻薬を使用していた。この事実に「終戦後、帰国した軍人のせいで全米中が中毒患者であふれかえるのではないか」、と心配されていたのだ。しかし追跡調査の結果、現実はそうならなかったと精神医学の専門誌は伝えている。95パーセント以上の軍人が戦後ぱっと麻薬を断ち切ったのだ。それまでの理論ではこの現実を説明することはできなかった。
これらの事例から、「檻」自体に問題があるのではないかとアレグサンダー教授は考えたのである。人間でいえば周囲の環境である。異国の地で死と隣合わせで四六時中緊張状態であった時は麻薬にすがらざるを得なかったが、家族の待っている祖国に帰れば「檻」から抜け出し、麻薬も必要なくなったのだと博士は考えたのだ。
■依存症(addiction)の反対は、繋がり(connection)
オランダのピーター・コーエン教授は、「人は他人との繋がりを重要視する。それは無意識下であっても、繋がりの中に幸せを見出す生き物なのだ。孤独こそが最大の敵なのだ」、と語っている。「マウスの楽園」実験からわかったことは、「孤独」は繋がりを持てない以上何か違ったかたちで幸福を得ようとするということだ。それがスマートフォンであったり、SNSであったり、麻薬であったりするわけだ。依存するのではなく、それが人間の本能なのだ。
つまり麻薬の依存は、薬物が引き起こす脳の支配ではなく、周囲の環境を変えよというサインなのだ。最近の調査によると、アメリカ国民の1人あたりの友人の数は減少傾向にあるという。激しい競争社会において人は他人のことをいかに蹴落とすかということばかり考え、落とされた人間はなかなか元の道に戻ることは難しい。そんな世の中では、文字通り「檻」に入れられ強い孤独を感じることになる。薬物依存は個人の問題だと考えられてきたが、これは社会の問題なのだ。
依存症の反意語は「正常」ではないのだ。依存症(addiction)の反対は、繋がり(connection)なのである。
原文:What If Everything We Think We Know About Addiction Is Wrong?
参照元 : TOCANA
医療用麻薬に依存性がない理由とは!?
「医療用麻薬(オピオイド)」は末期癌などの疼痛コントロールに使われています。
使用するにあたり患者さんにまず説明されるのが、痛みに使われる分には「依存性」はないということです。なぜそのようなことが言えるのか?少し専門的になりますが、この記事で分かりやすく説明したいと思います。
まず、麻薬の「依存性」とは主に「精神依存」のことです。簡単に言うと麻薬や覚せい剤のように、一度使ったらまた使いたいと強く感じるようになることです。この「精神依存」が形成されるのが、中脳辺縁系(ちゅうのうへんえんけい)にある脳内報酬系(のうないほうしゅうけい)と呼ばれるところです。
脳内報酬系のドパミン神経系が興奮すると、脳の奥にある側坐核に対してドパミンが放出されます。これによって、脳が興奮、多幸感、快感などを感じるというわけです。通常はこのドパミン神経系は、GABA神経系によって抑えられているので常なバランスを保っています。モルヒネなどが作用する「μ(ミュー)受容体」はこのGABA神経系にあります。
モルヒネはこの「μ受容体」を刺激して、この刺激がGABA神経系を抑制します。このあたりでちょっとこんがらがってきましたか!?つまり、ドパミン神経はGABA神経系によって抑制されていたのに、モルヒネによってその抑制を外されてしまうわけです。つまり、ドパミンの放出は増えて気持ちよくなるわけです。
ここまでが基本的な構造です。
ここからの説明の説明を理解するためには、「内因性オピオイド」というものを知っておく必要があります。もともと私たちの体の中にも、痛みなどを感じたときにモルヒネと同じようなものつくられる仕組みがあります。
大きく分けて3つの種類があって、
・エンドルフィン類(μ受容体に作用)
・エンケファリン類(δ受容体に作用)
・ダイノルフィン類(κ受容体に作用)
に分けられます。
μとかδとかκというのは、オピオイドが結合する受容体の種類のことです。
特に依存性形成に大切なのは、κ受容体(κ神経系)とμ受容体(μ神経系)のバランスです。一般的に、κ神経系<μ神経系となったとき依存性が形成されやすくなります。健常人に麻薬(モルヒネ)を使用すると、μ受容体が刺激され、すぐに依存性が形成されてしまうのです。
一方で、慢性疼痛(痛みを長期間感じている)の場合は、κ神経系>μ神経系となっています。したがって、医療用麻薬でμ神経系を刺激してもそのバランスがもとにもどるだけなので精神依存性は形成されないのです。
では実際に、①炎症による慢性疼痛が起こっているとき、②神経障害による慢性疼痛が起こっているときに脳内ではどうなっているのでしょうか?
①炎症による慢性疼痛の場合
このとき内因性オピオイドとしてはダイノルフィンが主に放出されています。ダイノルフィンはκ受容体に結合して、脳内報酬系のドパミン神経系を抑制しています。相対的に考えるとκ神経系が強くなっているので、κ神経系>μ神経系です。
この状態で、モルヒネを使ってもκ神経系が強くなっているので、μ受容体刺激による依存形成は打ち消されます。つまり依存性は形成されないというわけです。
②神経障害による慢性疼痛の場合
このときは、主にβエンドルフィンが持続的に出ています。βエンドルフィンはGABA作動性神経に存在するμ受容体を持続的に刺激します。すると、μ受容体の機能の低下や反応性(感受性)の低下が起こります。この状態でモルヒネを使っても通常のようなGABA受容体の抑制は起きないので依存性は形成されないのです。
以上のことから、炎症性・神経障害性どちらに起因する慢性疼痛に対しても、痛みの緩和の目的で麻薬(オピオイド)を使う場合、精神依存は生じないというわけです。
現在では「痛みを我慢する」ことに関して身体にとって害しかないことが分かっています。正直なところ日本人の気質によるところもあると思いますが、鎮痛分野において日本はまだまだ遅れています。積極的な医療用麻薬の使用は恥ずかしいことでありません。
痛みの少ないQOLの高い大切な時間を与えてくれる画期的なものです。正しい管理のもと適正な使い方でしっかりと使用していくことが大切です。
参照元 : Next Pharmacist.net
2015.11.02
法の網をかいくぐって蔓延する危険ドラッグ、我が国においてもニュース番組を賑わす社会問題だ。一度麻薬に手を染めてしまうとその依存性から、体が蝕まれ、悲惨な最期が待っている、それが我々の麻薬に対する共通認識ではないだろうか?
麻薬が麻薬を呼ぶという負の悪循環。麻薬依存にいまさら異を唱えるのも愚蒙に思えるかもしれないが、麻薬に依存性があるという認識そのものが間違いなのではないかという問いかけが出されたのだ。10月29日に公開された1本の動画「Everything We Think We Know About Addiction Is Wrong」が話題を呼んでいる。今回は、この動画で語られていることを元に、その根拠となる実験や背景を考察していく。
■麻薬に依存性はない!
麻薬に依存性がない、と聞くとそんな馬鹿げたことがあるものかと思うのが普通であろう。1912年に結ばれた万国阿片条約から1世紀、すでに麻薬の依存性は「常識」として社会に存在している。麻薬を取り締まる法律がある中、裏社会においては麻薬の密輸や密売が横行しているのは周知の事実であるが、次の問いかけに我々はどう答えたらよいであろう。
「病院でモルヒネを投与された患者が麻薬依存症になったということは聞いたことがない。病院で投与されるモルヒネは、一般市場に流通している混ざりモノの多い粗悪なものより、ずっと純度が高くドラッグとしてみれば相当強いものだというのに」。
確かにガンをはじめ、医療行為の中で用いられる「ジアセチルモルヒネ」は純度の高いヘロインである。入院期間によっては長期にわたり定期的にヘロインを体内に取り込んでいることになるが、先に述べた我々の一般認識に沿って考ると、退院後はヘロインの中毒患者になって再入院となるわけだ。しかし実際にはそうならない。この矛盾はどう考えたらよいのであろうか?
麻薬に依存性があるということの科学的な裏付けがなされたのは1960年代のことである。スタンフォード大学のアブラム・ゴールドシュタイン教授が行ったマウスによる薬物依存の研究がもとになっている。ゴールドシュタイン教授は1匹のマウスを小さな檻の中に入れ、そこに「水の入ったボトル」と「ヘロインを混ぜた水溶液の入ったボトル」を設置し、どちらを飲むのか観察した。その結果、マウスはヘロインの入りのボトルを飲み続けたのだ。このことから、「多くの薬物患者に見られるような複雑な社会背景や、貧困やいわれなき差別といった背景を持たないマウスがドラッグを選んだということは、麻薬の依存性を示している」、と博士は指摘したのである。
この実験から麻薬によって脳が麻痺し、コントロールされるという一連の認識は確実なものとなった。しかし、80年に入ってこの研究に疑問を持つ科学者が現れたのだ。
■マウスの楽園がもたらした異論
彼の名は、カナダのサイモン・フレーザー大学のブルース・アレグサンダー教授である。「なぜ檻の中には一匹のマウスだけなのだろうか? もし違う環境でも同じ結果になるのであろうか?」と、先の実験と様々な要因が存在する人間社会を安易に結びつけるのはおかしいのではないかと疑ったのだ。
そこで教授は広い檻、芝生に遊具、そして数匹のマウスを入れ、友人や恋人ができるように「マウスの楽園」を作ってみたのだ。ここに先に置いたのと同じ2つのボトルを設置した。果たして結果に違いは出たのであろうか。
結果は違った。マウスはヘロイン入のボトルを選ばなかったのである。衝動的に飲むことも過剰摂取するマウスもほぼ0だったのだ。マウスの楽園の住人は麻薬を選ばなかったのである。この結果に関して人間にも同様の事例がある、そうベトナム戦争だ。当時先行きが見えない悲壮感を紛らわそうと約20パーセントのアメリカ兵が麻薬を使用していた。この事実に「終戦後、帰国した軍人のせいで全米中が中毒患者であふれかえるのではないか」、と心配されていたのだ。しかし追跡調査の結果、現実はそうならなかったと精神医学の専門誌は伝えている。95パーセント以上の軍人が戦後ぱっと麻薬を断ち切ったのだ。それまでの理論ではこの現実を説明することはできなかった。
これらの事例から、「檻」自体に問題があるのではないかとアレグサンダー教授は考えたのである。人間でいえば周囲の環境である。異国の地で死と隣合わせで四六時中緊張状態であった時は麻薬にすがらざるを得なかったが、家族の待っている祖国に帰れば「檻」から抜け出し、麻薬も必要なくなったのだと博士は考えたのだ。
■依存症(addiction)の反対は、繋がり(connection)
オランダのピーター・コーエン教授は、「人は他人との繋がりを重要視する。それは無意識下であっても、繋がりの中に幸せを見出す生き物なのだ。孤独こそが最大の敵なのだ」、と語っている。「マウスの楽園」実験からわかったことは、「孤独」は繋がりを持てない以上何か違ったかたちで幸福を得ようとするということだ。それがスマートフォンであったり、SNSであったり、麻薬であったりするわけだ。依存するのではなく、それが人間の本能なのだ。
つまり麻薬の依存は、薬物が引き起こす脳の支配ではなく、周囲の環境を変えよというサインなのだ。最近の調査によると、アメリカ国民の1人あたりの友人の数は減少傾向にあるという。激しい競争社会において人は他人のことをいかに蹴落とすかということばかり考え、落とされた人間はなかなか元の道に戻ることは難しい。そんな世の中では、文字通り「檻」に入れられ強い孤独を感じることになる。薬物依存は個人の問題だと考えられてきたが、これは社会の問題なのだ。
依存症の反意語は「正常」ではないのだ。依存症(addiction)の反対は、繋がり(connection)なのである。
原文:What If Everything We Think We Know About Addiction Is Wrong?
参照元 : TOCANA
医療用麻薬に依存性がない理由とは!?
「医療用麻薬(オピオイド)」は末期癌などの疼痛コントロールに使われています。
使用するにあたり患者さんにまず説明されるのが、痛みに使われる分には「依存性」はないということです。なぜそのようなことが言えるのか?少し専門的になりますが、この記事で分かりやすく説明したいと思います。
まず、麻薬の「依存性」とは主に「精神依存」のことです。簡単に言うと麻薬や覚せい剤のように、一度使ったらまた使いたいと強く感じるようになることです。この「精神依存」が形成されるのが、中脳辺縁系(ちゅうのうへんえんけい)にある脳内報酬系(のうないほうしゅうけい)と呼ばれるところです。
脳内報酬系のドパミン神経系が興奮すると、脳の奥にある側坐核に対してドパミンが放出されます。これによって、脳が興奮、多幸感、快感などを感じるというわけです。通常はこのドパミン神経系は、GABA神経系によって抑えられているので常なバランスを保っています。モルヒネなどが作用する「μ(ミュー)受容体」はこのGABA神経系にあります。
モルヒネはこの「μ受容体」を刺激して、この刺激がGABA神経系を抑制します。このあたりでちょっとこんがらがってきましたか!?つまり、ドパミン神経はGABA神経系によって抑制されていたのに、モルヒネによってその抑制を外されてしまうわけです。つまり、ドパミンの放出は増えて気持ちよくなるわけです。
ここまでが基本的な構造です。
ここからの説明の説明を理解するためには、「内因性オピオイド」というものを知っておく必要があります。もともと私たちの体の中にも、痛みなどを感じたときにモルヒネと同じようなものつくられる仕組みがあります。
大きく分けて3つの種類があって、
・エンドルフィン類(μ受容体に作用)
・エンケファリン類(δ受容体に作用)
・ダイノルフィン類(κ受容体に作用)
に分けられます。
μとかδとかκというのは、オピオイドが結合する受容体の種類のことです。
特に依存性形成に大切なのは、κ受容体(κ神経系)とμ受容体(μ神経系)のバランスです。一般的に、κ神経系<μ神経系となったとき依存性が形成されやすくなります。健常人に麻薬(モルヒネ)を使用すると、μ受容体が刺激され、すぐに依存性が形成されてしまうのです。
一方で、慢性疼痛(痛みを長期間感じている)の場合は、κ神経系>μ神経系となっています。したがって、医療用麻薬でμ神経系を刺激してもそのバランスがもとにもどるだけなので精神依存性は形成されないのです。
では実際に、①炎症による慢性疼痛が起こっているとき、②神経障害による慢性疼痛が起こっているときに脳内ではどうなっているのでしょうか?
①炎症による慢性疼痛の場合
このとき内因性オピオイドとしてはダイノルフィンが主に放出されています。ダイノルフィンはκ受容体に結合して、脳内報酬系のドパミン神経系を抑制しています。相対的に考えるとκ神経系が強くなっているので、κ神経系>μ神経系です。
この状態で、モルヒネを使ってもκ神経系が強くなっているので、μ受容体刺激による依存形成は打ち消されます。つまり依存性は形成されないというわけです。
②神経障害による慢性疼痛の場合
このときは、主にβエンドルフィンが持続的に出ています。βエンドルフィンはGABA作動性神経に存在するμ受容体を持続的に刺激します。すると、μ受容体の機能の低下や反応性(感受性)の低下が起こります。この状態でモルヒネを使っても通常のようなGABA受容体の抑制は起きないので依存性は形成されないのです。
以上のことから、炎症性・神経障害性どちらに起因する慢性疼痛に対しても、痛みの緩和の目的で麻薬(オピオイド)を使う場合、精神依存は生じないというわけです。
現在では「痛みを我慢する」ことに関して身体にとって害しかないことが分かっています。正直なところ日本人の気質によるところもあると思いますが、鎮痛分野において日本はまだまだ遅れています。積極的な医療用麻薬の使用は恥ずかしいことでありません。
痛みの少ないQOLの高い大切な時間を与えてくれる画期的なものです。正しい管理のもと適正な使い方でしっかりと使用していくことが大切です。
参照元 : Next Pharmacist.net
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