2019年2月11日月曜日

日本の精神医療は患者を食い物にし、ダメにしている!後を絶たない鉄道自殺。その原因の多くは?

日本の「精神医療」は患者をダメにしているのか

2019/2/10(日) 15:00配信



「患者のため」の身体拘束が招く死。処方薬の影響で体中に入れ墨をした女性、万引を繰り返した会社員や衰弱後に突然死した自閉症患者。担当医は患者家族から逃げ回り、「親の代わりに殴った」と開き直る。半世紀前と変わらない医療現場がある。『なぜ、日本の精神医療は暴走するのか』を書いたリサーチャーの佐藤光展氏にその実態を聞いた。

■リアルな患者の姿を見せていない

──にわかには信じられないような事例だらけです。

1970年に朝日新聞の記者だった大熊一夫さんが精神病院内での患者への暴力をルポして、社会問題になりました。1987年に精神衛生法が精神保健法へと改正され、改善されたと思っていたが、医療担当記者として取材していると、誰も開けない扉がある。好奇心から開けたら人がばたばたと倒れている。自分では“蘇生”できないので「これ、おかしいでしょ、助けませんか」という気持ちで書いています。臭い物にふたは一般的ですが、精神医療には社会のひずみが凝縮していると感じます。

──昨年8月に毎日新聞が、精神病院に50年以上入院している人が1773人いると報じました。

こうした状況を、多くの人はおかしいと感じるはずですが、そうなっていないのは、まさに患者を病院に閉じ込めて、リアルな患者の姿を見せていないから。ある精神科医に言わせると、従順ないい人だから何十年も入院しているわけで、世間が考える突然暴れ出すような人たちなら、暴動が起きて病院は潰れている。

──これだけひどいと、「極端な例だ」という声もあるのでは。

そういう反応は必ず出ます。ただ、メディアが取り上げるのは何であれ極端な例がほとんどです。殺人事件は年間約300件で年々減っていますが、報道しなくていいという話は聞きません。事件の背景にある社会の問題や被害者の命の重さは伝えなくてはいけない。それが、精神疾患の患者の場合なら、虐げられても一部だからいい、というのは理解できません。

──なぜ、考えられないような医療が続いているのでしょう。

医療は医者の見た目(視診)と検査の数値に基づいて行われますが、精神科は見た目がすべて。iPS細胞による治療がスーパーカーなら、精神医療は人力車。人力車だからダメ、ではないんです。患者の話を聞いて癒やせればいい。例えば「眠れてますか」に始まって、「そんなに仕事が大変なら会社と交渉しましょうか」というのが本来の精神科です。ところが、ろくすっぽ話も聞かずに「眠れない?  じゃあ薬飲んで」となっちゃう。ここに大きな問題がある。

■患者が半減してもやっていける

──話を聞かないのは診療報酬制度にも問題があるようですね。

お金に困ってない精神科の重鎮が開業して、1時間かけて患者の話を聞くと、大して薬を使わなくても1~2カ月でうつ病が著しく改善したりします。じっくり患者に向き合っても報酬は変わらないので、ある種ボランティア。ここに矛盾があるのは確かですが、1人当たりの診察時間を5分から10分にして患者が半減してもやっていける報酬はもらっているはずです。逆に、稼ごうと思ったら数をこなして投薬になる。

──治さずに薬漬けにしたほうが儲かる構造ですね。

ほとんどの精神科医は治したいと思っている。ただ、検査や手術という方法がなく、あるのは薬だけ。また、医療の質を問う場合、どれだけ治したかという評価基準が必要ですが、精神疾患は何をもって治ったとするかが難しい。うつ病だと社会復帰でしょうが、会社に行ったらまた症状が出たという例は身近にあると思います。

──製薬会社による「うつは心の風邪」といううつ病の啓発活動が安易な受診を助長すると批判されたことがありました。

あのフレーズは、今思うとある意味正しかったという気がします。風邪の発熱などが体を休ませるための指令なら、脳の活動の低下も同じように疲弊した体を休ませるための指令かもしれない。

問題は、心の風邪や、それ以前のちょっと疲れていて眠れば回復するような人まで病気と診断して投薬してしまうことです。本当に必要な休息を取らないで薬だけ飲んでも治りません。その結果、「よくなりませんね、重症ですね」と薬が増え、副作用で患者が本来できることもできなくなってしまう。副作用に鈍感な医者はとことん鈍感で、症状の悪化と投薬の関係を疑ったりしません。

──医師の処方内容をチェックすべき薬剤師は機能していない?

もっと医者に「この処方はおかしい」と言わなきゃいけないけれど、門前薬局なんかは医者に干されるおそれがあって言えないというのはまだあります。また、睡眠薬などは長期間服用すると適正量でも薬物依存になりますが、処方が適正量だと言いにくいと思います。

──短時間診療に過剰投薬。患者を人として扱っていませんね。

精神医療関係者が患者をバカにしているというのは感じます。本書に書いた、夫のDVから逃れようと110番通報した女性が、精神錯乱者とされて、措置入院(編集部注:知事などの権限による強制入院)させられたのは好例です。警察官、保健所員、精神科医の誰もまともに女性の話を聞かず、レッテル貼りをして病院に入れてしまう。

■犬猫のほうが大事にされている

──精神科医のうち一人は「措置というほどではありませんね」と言いながら「要措置」としました。

石郷岡病院において、暴行がもとで患者が死亡したと看護師が起訴された裁判員裁判では、意味不明な理由により罰金30万円で終わり。医療現場のひずみを社会が正さないのです。精神疾患患者への社会の薄情さが医療現場に反映されている。犬猫のほうが大事にされていると思います。

──状況を変えるには?

患者やその家族が声を上げるしかないでしょう。部外者の私がいくら声を上げても「極端な例だ」と言われてしまう。無力感があるのかもしれないが、社会にいちばん響くのは彼ら彼女らの声です。医療にめちゃくちゃにされた患者はそれどころじゃないでしょう。それでも声を上げる必要がある。

精神科の診断基準は、その症状によって本人の社会生活に著しい影響があるかを必ず問題にしています。要は本人が困っていなければ病気ではないのです。発達障害で顕著ですが、変わった人がいて困っているのは周囲の人ではないのか。社会の受け入れ方次第で患者自体が減ると思います。

参照元 : 東洋経済オンライン






鉄道自殺「うつ病」と並んで多い原因は何か 仕事の問題と悩みが勤め人を自殺に追い込む

2018/02/23 6:00



後を絶たない鉄道自殺。その原因の多くはうつ病のほか「勤務問題」だ

一都三県(東京、神奈川、千葉、埼玉)で鉄道自殺した被雇用者は2009年から2016年までの8年間に584人にのぼり、このうち「勤務問題」を原因に含む人が91人いたことが、厚生労働省が筆者の求めに応じて提供したデータの集計からわかった。

「勤務問題」は鉄道自殺原因のうち2番目に多く、最多は172人が該当した「健康問題」だった。詳細な内訳では、うつ病、職場の人間関係、仕事疲れなどが上位となり、ブラック企業問題で指摘される原因が特に目立つ結果となった。

また、「勤務問題」が関係する鉄道自殺がもっとも多かったのは、月曜日の午前8時台から10時台だったことも判明した。

健康問題と勤務問題が上位に
厚労省から提供されたのは、警察が作成する「自殺統計原票」のデータから、厚労省自殺対策推進室が筆者の求めに応じて作成した、全国の鉄道自殺者4825人の職業や原因など9項目。発見場所が「駅構内」または「鉄道線路」で、手段が「飛び込み」だった自殺を対象とした。

584人のうち、原因「不詳」(276人)を除いた308人には、警察によって最大3つまで原因が付けられており、前述の通り「健康問題」を含む人が172人で最多、91人が該当した「勤務問題」は2位だった。3位以下は「家庭問題」と「経済・生活問題」が各34人、「男女問題」が22人などだった。



「健康問題」で自殺した人の年齢層を見ると、39歳以下が76人、40歳以上59歳以下が72人、60歳以上が24人で、全体では59歳以下が86%(計148人)を占める。働き盛りと言える年齢層の被雇用者が、どのような問題を理由に鉄道自殺したのだろうか。

「自殺統計原票」にある前記の7種類(健康問題、勤務問題、家庭問題、経済・生活問題、男女問題、学校問題、その他)の原因は、さらに計52種類(不詳を除く)の詳細な原因に分かれている。

たとえば健康問題には、身体の病気、うつ病、統合失調症、アルコール依存症、薬物乱用、その他の精神疾患、身体障害の悩み、その他という8つの内訳があり、勤務問題には仕事の失敗、職場の人間関係、職場環境の変化、仕事疲れ、その他という5つの内訳がある。

警察は自殺者一人につき、これらの詳細な内訳の中から最大3つの原因を付ける。

主要な原因は精神疾患
この詳細な原因を集計し、10人以上が該当した原因を多い順に並べると、最も多かったのが健康問題の「うつ病」で96人、2位も同じく健康問題の「うつ病と統合失調症以外の精神疾患」で35人と、上位を健康問題が占めた。このほか、健康問題では「統合失調症」が21人で5位となっており、精神疾患が被雇用者の主要な自殺原因となっていることがわかる。

健康問題と合わせて注目したいのが、勤務問題の「職場の人間関係」と「仕事疲れ」がそれぞれ該当者数29人と28人で、3位・4位となったことだ。これにより、原因の1位~5位を精神疾患と労働に関する問題が占めることが明らかになった。

この表は、一人一人それぞれの人生を送り、一都三県で鉄道自殺した被雇用者の苦悩の内訳だ。



一方、うつ病を原因に含む96人のうち、約7割にあたる67人はうつ病のみが理由だったが、残りの3割にあたる29人には別の原因との組み合わせが見られた。

うつ病との組み合わせで最多だったのは勤務問題で計23人。うつ病という健康問題と、勤務問題の両方を原因として抱える人がこれだけいたことになる。この内訳として最も多かったのは「仕事疲れ」との組み合わせで8人、次いで「職場の人間関係」が6人、「職場環境の変化」が5人となった。

これらは、52種類ある全原因の組み合わせ(単独原因を除いた2652通り)のうち、特に多い組み合わせだった。



同様に、「職場の人間関係」「仕事疲れ」を軸として原因の組み合わせを見てみると、どちらもうつ病との組み合わせが最多となった。



勤務問題での自殺は月曜朝が最多
鉄道の運行との関わりでは、一都三県で勤務問題を原因とした被雇用者の鉄道自殺は、曜日別では月曜日が13人、時間帯別では午前8時台から午前10時台(2時間刻み)が21人でもっとも多く、曜日と時間帯を組み合わせた84通り(7日×12時間帯)中、月曜日のこの時間帯が6人で最多だった。



比較のため、鉄道自殺に限らない被雇用者の自殺原因(全国、2016年)を見ておくと、1位はうつ病(1149人)、2位は仕事疲れ(514人)で、職場の人間関係(407人)は4位。夫婦関係の不和(422人)が3位、多重債務(301人)が6位に入るなど一都三県の状況と異なる点もあるが、勤務問題が上位という傾向は一都三県の鉄道自殺と同じだ。



勤務問題が自殺原因の上位を占める状況からは、労働環境の劣悪さなどの問題があることがうかがえる。

過酷な労働環境は「虐待」では
「仕事疲れ」や「職場の人間関係」という分類がどのような実態を指すのかわからないが、これほど多数の被雇用者を自殺に追い込むほどこれらが過酷なものであるなら、「労働問題」や「勤務問題」という言い方は不適切であり、被雇用者に対する「虐待行為」と言うべきだろう。

虐待防止に関する身近な法律には、児童虐待防止法、高齢者虐待防止法、障害者虐待防止法、動物愛護管理法がある。この4つの法律はいずれも、目的を定めた第1条で明確に「虐待」の言葉を使用する。

「児童虐待の防止等に関する施策を促進し」
「高齢者の尊厳の保持にとって(…)虐待を防止することが極めて重要」
「障害者に対する虐待を防止することが極めて重要」
「動物の虐待及び遺棄の防止」

しかし、被雇用者への虐待を定義し、防止する法律は存在していない。過労自殺やパワハラ自殺に代表される過酷で暴力的な労働実態を被雇用者に対する虐待として捉え、これを防止するための労働者虐待防止法が制定されれば、鉄道自殺を含め、勤務問題と原因とする自殺を大幅に減らすことができるのではないだろうか。

(追記)※この記事で使用した「被雇用者」とは、政府の自殺統計で「被雇用者・勤め人」とされる職業分類を指す。表現を簡素にするため記事中では「被雇用者」と表記した。

参照元 : 東洋経済







自殺の原因は様々な理由があると思いますが、精神薬の副作用から脳がおかしくなり、自殺に走るケースが多いということを、精神疾患の患者は把握してほしい。

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