2018年1月19日金曜日

アンチエイジング治療の研究において前進!老化した人間の細胞を若返らせる事に成功

老化する人間の細胞を「若返らせる」ことに成功:研究結果

2018.01.17 WED 11:00

「老化した人間の細胞を若返らせる」ことに、英大学の研究者らが成功したと発表した。古い細胞の機能を回復させることができれば、将来的に人間は老化による影響を受けずに年をとれる可能性があるのだという。その驚きの研究結果とは。



わたしたちのほとんどは、85歳までに何らかの慢性疾患を経験する。そればかりか、年をとるにつれて、脳卒中、心臓病、がんなどの病気を発症しやすくなる傾向にある。これらの原因のひとつに「細胞の老化」が挙げられるが、もし細胞自体を若く保てる技術があったとすれば、人類が病気を経験せず健康に年をとれる未来が拓けるだろうか?

学術誌「BMC Cell Biology」で発表された研究は、そんなSFのような人類の夢をかなえてくれる鍵となるかもしれない。英エクスター大学とブライトン大学の研究グループが、通常なら細胞分裂のたびに短くなる染色体の末端部であるテロメアを、若い細胞のように長くする方法を発見。文字通り、「老化した人間の細胞を若返らせる」ことに成功したのだ。

加齢とともに老化する細胞
われわれの身体を構成している細胞の一つひとつは、あらかじめ決められた回数しか分裂できないといわれている。おそらく多くの人々が、染色体の末端部に存在し、DNAのほつれを防ぐ“キャップ”のような役割をするテロメアという構造を聞いたことがあるだろう。

われわれの細胞のなかにあるDNAは分裂のたびに複製されるが、テロメアに限ってはすべてが複製されず、分裂のたびに少しずつ短くなっていく。最終的にテロメアが限界まで短くなると、それ以上の細胞分裂は不可能となる。つまり、短いテロメアをもつ細胞は、“年老いた”細胞なのだ。

エクスター大学で教鞭をとる分子遺伝学が専門のローナ・ハリーズ教授をはじめとした研究グループは、これらの年老いた細胞において「スプライシング因子」と呼ばれる一連の遺伝子が、徐々に不活性化していくことに注目。スプライシング因子は、細胞分裂の際にDNAから転写されたRNAがきちんと機能するまで“編集”したり、遺伝子が全範囲の機能を果たしたりする際に極めて重要な因子である。これらはまた、人々が加齢する過程であまり効率的に働かないか、まったく機能しなくなる傾向にあり、細胞が環境のストレスに対応する能力を大きく制限する。

大半の高齢者の臓器にみられる老化細胞も、より少数のスプライシング因子を備えている。これが哺乳類の老化、または加齢に関連する病気の側面でもあるとして、注目されていた。

「レスベラトロール類似体」で細胞が若返る
老化した細胞のスプライシング因子を再び活性化させる鍵となったのは、赤ブドウ、赤ワイン、ダークチョコレートなどにも含有される「レスベラトロール類似体」と呼ばれる化学物質だ。これを適用された培養細胞を観察すると、数時間のうちにスプライシング因子が活性化し、老化細胞は若い細胞のようにふるまい、分裂を始めたという。

「スプライシング因子のレヴェルを回復させる分子で老化細胞を処理すると、若い細胞の特徴をいくつか取り戻せることを示唆しています。それらは成長でき、テロメアまでも若い細胞のように長くするのです」と、ハリーズ教授は言う。

共同研究者であるエクスター大学のエヴァ・ラトーレ博士も、細胞の変化とその度合いに驚きを隠さない。「培養皿のいくつかの細胞が若返っているのを見ても、それを信じることができませんでした。古びた細胞が、若い細胞のように見えたのです。まるで魔法のようでした。この実験を幾度も繰り返しましたが、いずれの場合も細胞が若返りました。その意味と研究の可能性に非常に興奮しています」

この研究結果は、古い細胞の機能を回復させることで人々が老化による影響を受けずに、健康的に寿命をまっとうできる可能性を示している。研究者らは、レスベラトロールのようにシンプルな化学物質が高齢者の健康を向上させられるポテンシャルを秘めていることに驚くかたわら、この技術の応用のためにさらなる研究が必要だとしている。

参照元 : wired


「老化を防ぐクスリ」が実現する可能性が見えてきた:研究結果

2017.05.16 TUE 08:00

アンチエイジング治療の研究において、2つの大きな前進が見られた。ひとつは、老化によるDNAの損傷を修復する治療法の発見。もうひとつは、年老いた細胞を自死へと導くメカニズムの発見だ。これらの研究が進めば、「老化を防ぐクスリ」が実現する可能性が見えてくる。



アンチエイジング治療において、一度に2つの重要な前進があった。

1つ目は、デイヴィッド・シンクレア率いるオーストラリアのニューサウスウェールズ大学の研究チームの成果だ。彼らは、『サイエンス』誌で語っているように、老化などによって引き起こされるDNAの損傷を細胞が修復する分子プロセスを特定した。

2つ目は、オランダのエラスムス大学医療センターの科学者グループの研究だ。こちらは老化した細胞を自死(アポトーシス)へと導く治療法を開発し、マウスでの実験で成功を収めたもので、学術誌『セル』で発表された。

修復のメカニズム
『サイエンス』で発表された研究からみてみよう。研究の著者たちは、マウスを使った実験で、細胞が老化や放射線によって損傷を受けたDNAを修復する分子プロセスの、決定的な変化を特定した。

体細胞は生来、DNAを修復する能力をもっている。たとえば、わたしたちが太陽に晒されるたびに修復は行われている。このような機能は加齢とともに衰える。だがシンクレアのチームは、代謝物質「Nad+」が全修復プロセスにおいて重要な役割を担っていることを発見した。

Nad+の前駆体を用いた治療を行ったマウスは、放射線被曝や老化によって引き起こされるDNA損傷を修復する際、ほかのマウスと比べて高い修復能力をもつことを示した。

シンクレアは言う。「年老いたマウスの細胞は、治療からわずか1週間で、若いマウスの細胞とほとんど区別がつかなくなりました。わたしたちは、効果的で、安全なアンチエイジング薬の実現に近づいていると思います。もし今後の実験がうまくいけば、この薬は5年以内に市場に出る可能性もあります」

NASAもこの研究に関心を示している。宇宙の有害な放射線から宇宙飛行士たちを守ることが必要となる、将来の火星有人ミッションを視野に入れてのことだ。

さらば、老化細胞
これに対して、『セル』で発表された研究では、身体が年老いた細胞、つまり増殖を止めた細胞を取り除くメカニズムを研究した。こうした細胞は老化とともに蓄積するが、傷の治癒や腫瘍の抑制で重要な役割を果たしており、組織の炎症を引き起こす化学物質を放出する。ピーター・デ・カイゼル率いる研究者たちは、このような細胞を選択的に自死へと導く薬(ペプチド)を開発した。細胞内部に存在する物質のバランスに作用するものだ。

この治療法は、実験室のさまざまなグループのマウスでテストされた。年老いたマウスで構成される第1グループ(人間の90歳に匹敵する)、急速に老化するように遺伝的に改変されたマウスで構成される第2グループ、化学療法の影響により早く老化したマウスで構成される第3グループだ。

結果は勇気づけられるものだった。さまざまなグループのマウスにおいて、老化とともに衰える傾向がある肝機能の回復と、ローラー上を走る距離の増加が観察された。

しかし、カイゼルは効果がそれほど大きくないことも認めている。この治療法には、まだ改善しなければならない点があるということだ。だがこの治療法には、副作用は見られなかった。「もっとも、マウスが話せないことには留意しなければいけませんが」

参照元 : wired





0 件のコメント:

コメントを投稿