日本人がよく使うロキソニンや湿布 海外であまり処方されず
2017.04.26 11:00
こと医療において海外の事情など知る機会はないし、その必要性も感じることはない。だが、いつも服用している薬が、海外では「処方されていない」、あるいは「マイナー」な薬だと聞けばどうだろう。その背景を紐解けば、日本のガラパゴス的な薬事情が見えてくる。
頭痛や歯痛、リウマチなど様々な症状に処方される鎮痛剤ロキソニン(非ステロイド性抗炎症薬)。年間約500億円を売り上げる人気の痛み止めで、日本での知名度は抜群だが、実は海外旅行中に痛みを覚えて病院や薬局に駆け込んでも手に入らない。
ロキソニンが承認・販売されているのは日本以外では中国やタイなどアジアの一部の国のみで、欧米では処方されていないのだ。医療ジャーナリストの田辺功氏がその理由をこう話す。
「鎮痛効果に疑いの余地はありませんし、実際に多くの患者を痛みから救っている薬であることは事実です。その一方で、ロキソニンには“胃を荒らす”という副作用があり、重症化すると腸閉塞に至るケースも報告されています。腹痛の患者にロキソニンを出して症状が逆に悪化したという笑えない事例も存在します。欧米では、ロキソニンより即効性は低いものの、消化器へのダメージなどが報告されていないセレコックスという鎮痛剤の処方が一般的です」
欧米では、普段から鎮痛剤を服用する人が多く、より副作用に敏感になっているためだという。ロキソニンの製造・販売元の第一三共によれば、現在は添付資料に、前述のような「副作用」を明記し、注意喚起を行なっているという。
海外で使われていない鎮痛剤という点では、湿布薬も同じだ。日本の医療機関などで処方される湿布薬モーラステープの国内売上高は526億円。一方、海外での売上高はわずか1億2600万円に過ぎない(ともに2016年度)。
「欧米では湿布を貼って患部を治すという考え方が浸透しておらず、鎮痛・消炎目的でも経口薬を服用して治すのが一般的です」(前出・田辺氏)
飲み薬と違って副作用が少ないイメージがあるが、モーラステープにはケトプロフェンという鎮痛成分が含まれ、光線過敏症(皮膚炎)の副作用がある。湿布薬を貼った箇所が紫外線を浴びると発疹や腫れ、水ぶくれが生じるケースがあり、パッケージの裏面にもそう明記されている。
■取材協力/室井一辰(医療経済ジャーナリスト)
※週刊ポスト2017年5月5・12日号
参照元 : NEWSポストセブン
“国民薬”ロキソニンに重大な副作用〜空腹で飲んではいけない理由はここに!
2016.03.24
ロキソニン(ロキソプロフェン)といえば、医師の間でも愛用している人が多い人気の鎮痛・解熱剤だ。病院で処方されるほか、2011年からは「ロキソニンS」として店頭でも販売されている。
頭痛や生理痛時にはお世話になるという人、旅行には必ず持参する人も多いのではないだろうか。
当サイトでもその愛用ぶりを紹介した。「医師が常用する薬で多いのは降圧薬と脂質異常症治療薬、ロキソニンも人気!」
ところが、この人気薬には腸閉塞などの重大な副作用のリスクがあるとして、厚生労働省が注意を呼び掛けている。
ロキソニンで腸閉塞のリスク!?
厚生労働省は3月22日、解熱鎮痛消炎剤の「ロキソプロフェンナトリウム水和物(経口剤)」(商品名・ロキソニン錠60mg、同細粒10%、ロキソプロフェンナトリウム内服液60mgなど)について、医薬品添付文書の「重大な副作用」の項目に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」を追記するよう指示を出した。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)の報告書によると、過去3年度における国内副作用症例のうち、小腸・大腸の狭窄・閉塞関連症例が6例報告されており、そのうち因果関係が否定できないものが5例であった(死亡例はなし)。今回の改訂は、この結果を受けたものである。
店頭販売薬(ロキソニンS[第一三共ヘルスケア]他)についての小腸・大腸の狭窄・閉塞関連症例は報告されていないが、医療用医薬品添付文書と合せて改訂される。
あなどれない胃腸の副作用
ただし、これは、ロキソニンに全く新しい副作用が見つかったということとは少々異なる。ロキソニンが消化器系の副作用を伴うことは、これまでにも知られてきた。
この副作用はロキソニンが効くメカニズムに関係する。ロキソニンに代表されるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、炎症を引き起こす「プロスタグランジン」という物質の生合成を抑制することによって痛みや発熱を抑える。
その一方で、プロスタグランジンは、実は胃腸の粘膜を保護する働きもしている。つまり、プロスタグランジンの生成を抑えてしまうと胃腸のバリア機能も弱くなり、粘膜が荒れやすくなるのである。
病院でロキソニンを処方される際には、空腹で飲まないように指示され、「ムコスタ(一般名:レバミピド)」などの胃薬を一緒に処方されることが多いのはそのためだ。
今回新たに加わった「狭窄・閉塞」は、胃の粘膜が荒れ、潰瘍ができ、さらに進行した症状である。潰瘍が進行して腸管が狭くなった状態を狭窄、さらに進行して腸管が詰まった状態を閉塞という。閉塞すれば、大変な痛みを引き起こし、死亡に至るケースもある。
薬とどうつき合う? 作用と副作用は表裏一体
今回の発表は、薬の副作用について改めて考えさせられるものでもある。どのような薬も副作用が伴う。作用と副作用は裏表であるし、症状の現れ方は人それぞれであるから、必要以上に怯えることはない。うまく薬とつき合っていくことが大切だ。
まずは、副作用の可能性を頭に入れておくこと。処方薬にしても店頭販売薬にしても、添付文書をよく読めば、ロキソニンに限らず多くの薬が、かなり重篤な症状も想定されていることがわかる。こうした情報を頭に入れておき、服用後に少しでも「おかしいな」と感じることがあれば、すぐに医師や薬剤師に相談しよう。
そして当然ながら、服薬の指示は守ること。特に店頭販売薬の場合には、安易な使用を避け、必要最低限の服用に留めれば、それだけリスクを減らすことができる。当サイトでも呼びかけてきた。「過去5年間に副作用で24名が死亡! 安易に「市販薬」を服用してはいけない」
「薬が命取り」となることがないよう、消費者側の自衛も求められている。
(文=編集部)
参照元 : healthpress
ロキソニンやリリカは危険!? 女性が飲み続けると危ない薬~生理、出産、更年期…大事な時期を副作用が襲う
2016年7月5日
神経痛のリリカも危険
「女性がよく使う薬」の代名詞といえば、生理痛や頭痛を抑えるロキソニン。今年3月、この薬に重大な副作用があることが明らかになり、業界が震撼した。厚生労働省が「重大な副作用」の項目に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」を追加するように改訂指示を出したのである。
そしてその服用者が女性である場合、さらなる副作用がある。著書に『薬剤師は薬を飲まない』などがある、薬剤師の宇多川久美子氏が言う。
「ロキソニンやボルタレンといった鎮痛薬は、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれる薬で、血管を収縮させて痛みを抑えています。
たしかに服用して少しの間、痛みは治まりますが、血管を縮めるということは血行を悪くするということでもある。血液の流れが悪くなれば、体温が低下し、多くの女性が苦しむ『冷え症』『肩こり』の症状を悪化させることにつながります。
より深刻なのは、『子宮が冷える』こと。つまり、子宮筋腫をはじめとした婦人病が発症しやすい環境をつくりだしているということです。
一度や二度であれば、こうした薬を使うことも許容できますが、『何かあるとすぐに頼る』『飲み続ける』という状態になると、長期的には体調を損ねることになる。安易に飲み続けるのは避けたほうがいいでしょう」
生理、出産、更年期。女性は日々、男性にはない独特の体調の変化にさらされている。女性が飲む薬の量は男性に比べて確実に増えていく。
しかし、こうした「女性が飲む薬」に様々な副作用があることはあまり知られていない。飲み続けると、その副作用で深刻な症状に陥ってしまい、場合によっては乳がんや血栓症といった重篤な症状が引き起こされることもあるのだ。
女性にとって深刻な問題なのが更年期だ。閉経前後の女性が、女性ホルモンの減退によってホルモンバランスを崩し、体に様々な異常をきたすようになる。
このとき、体内のホルモンのバランスを取るために使われるのが、プレマリン、ジュリナといった「ホルモン剤」である。こうした薬にも、深刻な症状を引き起こしかねない副作用がある。
「更年期の症状を抑えるため、こうした薬を長期間使用すると、乳がんの発症リスクが高まるのです。
ホルモン剤には、女性ホルモンと同じ物質が含まれていますが、一方で女性が乳がんにかかる原因もやはりホルモンです。組み合わせや使用の仕方によって、ホルモンバランスが崩れて、発症するリスクが高まります」(前出・宇多川氏)
イギリスの大規模な疫学調査研究「ミリオン・ウィメン・スタディ」によれば、プレマリンは、プロゲステロン(黄体ホルモン)を含む薬を併用している場合、使用期間が長くなると、乳がんの発症率が高まるといわれている。使用期間が1~4年だと、乳がんの発症率は未使用者の1・74倍、5~9年でなんと2・17倍にもなる。
宇多川氏が続ける。
「更年期のつらい時期を乗り切るのにこうした薬に頼る気持ちはわかります。ですが、日々の生活に運動を取り入れたり、食生活を変えたりすることで、更年期の症状は緩和することもある。そうしたことを試した上で薬を使用すべきでしょう」
なかには美容のためにホルモン剤を摂取するという女性もいるようだが、美しくなるどころか、思わぬ落とし穴に落ちることもあるわけだ。
女性が毎月痛みと闘わなければならない生理。その痛みをやわらげ、症状を抑えるために使われるのが、トリキュラー(低用量ピル)、ルナベル、ヤーズ(ともに超低用量ピル)といった薬である。
'60年代にアメリカで開発され、日本では'90年の申請から9年間の審査を経て、'99年に解禁。今ではすっかり普及してきたが、この薬にも副作用がある。
医薬品業界の関係者が言う。
「低用量ピルは、女性ホルモンの『エストロゲン』『プロゲステロン』の合剤。低用量ピルは排卵を抑える避妊薬で、同時に、月経過多、生理不順、月経前症候群など女性の生理にまつわるトラブルを改善します」
実はこの物質には、血栓症のリスクが報告されている。
血栓症は最悪の場合、死に至る病だ。血管のなかで血が固まって肺や脳の血管に至り、そこが詰まる。つまり脳梗塞や心筋梗塞といった重篤な疾患の原因にもなるということだ。
実際、日本産科婦人科学会が行った'14年の調査では、それ以前の5年の間に、国内で低用量ピルを服用していた13人もの人が血栓を血管に詰まらせて死亡。とくにタバコを吸っていたり、肥満だったりすると、血栓症のリスクは高まる。
イギリスでの研究でも、低用量ピル服用中の患者が血栓症を発症するリスクは、39歳以降で明らかに高まったという。
スプレキュアにも要注意
年齢を重ねてから低用量ピルを使う際には細心の注意が必要となる。前出の関係者が言う。
「本来、低用量ピルを使うのは若い間だけが望ましい。更年期が始まり、閉経を迎える頃からは、別のタイプの薬に変えることをお勧めしたい。それ以降も服用し続けると、血栓症や乳がんを発症するなどの副作用のリスクが高まります。
しかし、更年期を迎えても医師がずっと処方し続けたり、患者も『不調になったら嫌だ』と、惰性でずっと使用を希望したりというケースは少なくない」
低用量ピル以外にも、生理痛や月経過多などの症状を抑えるために使われるポピュラーな薬がある。子宮内膜症の治療やGnRHアゴニスト(偽閉経)療法にも使われるナサニールやスプレキュアなどだ。
「私はあまりに生理痛がひどくてナサニールを使い始めましたが、使い始めてから、すっかり性欲がなくなってしまったんです。使用をやめてからも性欲は戻らない。しかもなんだかずっとイライラしているし、旦那との関係も悪くなっていきました。これじゃ、生理痛で苦しんでいたほうがまだマシです」
こうした薬は女性ホルモンの分泌を抑える効果がある。そのせいでホルモンのバランスが崩れ、性欲や精神状態にも影響を与えたと見られる。
副作用はこれだけではない。ナサニールやスプレキュアは「骨を弱くする」という深刻な症状を引き起こすのである。
「女性ホルモンは骨の形成を進め、古い骨の破壊を抑えるのに寄与しています。その分泌量が減らされると、骨に含まれるカルシウムの量が減少し、『骨量』が低下します。結果、『骨密度』が低くなり、骨折しやすくなる。
ただでさえ年をとると骨が弱くなり、骨粗鬆症などになりやすい。使い続けるのは、よくよく考えたほうがいいと思います」(前出・宇多川氏)
女性の社会進出が進み、高齢出産が増えるなか、「妊活」を行うケースも増えてきた。その際に使われるクロミッドは、排卵を誘発する薬である。服用した神奈川県在住の30代の女性が言う。
「飲み始めて2日くらいで、卵巣のあたりに張るような痛みと、お腹全体に膨満感を覚えました。
調べてみると、普段は25mmくらいの大きさの卵巣が、30㎜ほどにまで膨らんでいた。
深刻なものではないと説明されたけど、卵巣の張りは不気味でしたし、それを抑えるために、また別の薬を飲むことになった。薬の副作用を抑えるために、さらに薬を飲むというのには抵抗があるのですが……」
クロミッドが引き起こすこうした副作用は、「卵巣過剰刺激症候群」と呼ばれる。排卵量が増えすぎて卵巣が膨張。下腹部の激しい痛みを引き起こすこともある。
処方される薬や市販の薬を安易に信じ、その副作用を知らずに服用し続けていると、いきなり重い症状に見舞われる危険がある。きちんと知識を蓄え、より一層薬の情報に注意を払う必要があるだろう。
「週刊現代」2016年7月2日号より
参照元 : 週刊現代
イブプロもアスピリンも胃を荒らす。ボルタレンはもっと荒らす。むしろ、ロキソニンは、プロドラッグだから、それらより胃にまだ良いほう。常用的に鎮痛剤を飲むことは危険。
▼厚生労働省が”ロキソニンに重大な副作用”追記
2017.04.26 11:00
こと医療において海外の事情など知る機会はないし、その必要性も感じることはない。だが、いつも服用している薬が、海外では「処方されていない」、あるいは「マイナー」な薬だと聞けばどうだろう。その背景を紐解けば、日本のガラパゴス的な薬事情が見えてくる。
頭痛や歯痛、リウマチなど様々な症状に処方される鎮痛剤ロキソニン(非ステロイド性抗炎症薬)。年間約500億円を売り上げる人気の痛み止めで、日本での知名度は抜群だが、実は海外旅行中に痛みを覚えて病院や薬局に駆け込んでも手に入らない。
ロキソニンが承認・販売されているのは日本以外では中国やタイなどアジアの一部の国のみで、欧米では処方されていないのだ。医療ジャーナリストの田辺功氏がその理由をこう話す。
「鎮痛効果に疑いの余地はありませんし、実際に多くの患者を痛みから救っている薬であることは事実です。その一方で、ロキソニンには“胃を荒らす”という副作用があり、重症化すると腸閉塞に至るケースも報告されています。腹痛の患者にロキソニンを出して症状が逆に悪化したという笑えない事例も存在します。欧米では、ロキソニンより即効性は低いものの、消化器へのダメージなどが報告されていないセレコックスという鎮痛剤の処方が一般的です」
欧米では、普段から鎮痛剤を服用する人が多く、より副作用に敏感になっているためだという。ロキソニンの製造・販売元の第一三共によれば、現在は添付資料に、前述のような「副作用」を明記し、注意喚起を行なっているという。
海外で使われていない鎮痛剤という点では、湿布薬も同じだ。日本の医療機関などで処方される湿布薬モーラステープの国内売上高は526億円。一方、海外での売上高はわずか1億2600万円に過ぎない(ともに2016年度)。
「欧米では湿布を貼って患部を治すという考え方が浸透しておらず、鎮痛・消炎目的でも経口薬を服用して治すのが一般的です」(前出・田辺氏)
飲み薬と違って副作用が少ないイメージがあるが、モーラステープにはケトプロフェンという鎮痛成分が含まれ、光線過敏症(皮膚炎)の副作用がある。湿布薬を貼った箇所が紫外線を浴びると発疹や腫れ、水ぶくれが生じるケースがあり、パッケージの裏面にもそう明記されている。
■取材協力/室井一辰(医療経済ジャーナリスト)
※週刊ポスト2017年5月5・12日号
参照元 : NEWSポストセブン
“国民薬”ロキソニンに重大な副作用〜空腹で飲んではいけない理由はここに!
2016.03.24
ロキソニン(ロキソプロフェン)といえば、医師の間でも愛用している人が多い人気の鎮痛・解熱剤だ。病院で処方されるほか、2011年からは「ロキソニンS」として店頭でも販売されている。
頭痛や生理痛時にはお世話になるという人、旅行には必ず持参する人も多いのではないだろうか。
当サイトでもその愛用ぶりを紹介した。「医師が常用する薬で多いのは降圧薬と脂質異常症治療薬、ロキソニンも人気!」
ところが、この人気薬には腸閉塞などの重大な副作用のリスクがあるとして、厚生労働省が注意を呼び掛けている。
ロキソニンで腸閉塞のリスク!?
厚生労働省は3月22日、解熱鎮痛消炎剤の「ロキソプロフェンナトリウム水和物(経口剤)」(商品名・ロキソニン錠60mg、同細粒10%、ロキソプロフェンナトリウム内服液60mgなど)について、医薬品添付文書の「重大な副作用」の項目に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」を追記するよう指示を出した。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)の報告書によると、過去3年度における国内副作用症例のうち、小腸・大腸の狭窄・閉塞関連症例が6例報告されており、そのうち因果関係が否定できないものが5例であった(死亡例はなし)。今回の改訂は、この結果を受けたものである。
店頭販売薬(ロキソニンS[第一三共ヘルスケア]他)についての小腸・大腸の狭窄・閉塞関連症例は報告されていないが、医療用医薬品添付文書と合せて改訂される。
あなどれない胃腸の副作用
ただし、これは、ロキソニンに全く新しい副作用が見つかったということとは少々異なる。ロキソニンが消化器系の副作用を伴うことは、これまでにも知られてきた。
この副作用はロキソニンが効くメカニズムに関係する。ロキソニンに代表されるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、炎症を引き起こす「プロスタグランジン」という物質の生合成を抑制することによって痛みや発熱を抑える。
その一方で、プロスタグランジンは、実は胃腸の粘膜を保護する働きもしている。つまり、プロスタグランジンの生成を抑えてしまうと胃腸のバリア機能も弱くなり、粘膜が荒れやすくなるのである。
病院でロキソニンを処方される際には、空腹で飲まないように指示され、「ムコスタ(一般名:レバミピド)」などの胃薬を一緒に処方されることが多いのはそのためだ。
今回新たに加わった「狭窄・閉塞」は、胃の粘膜が荒れ、潰瘍ができ、さらに進行した症状である。潰瘍が進行して腸管が狭くなった状態を狭窄、さらに進行して腸管が詰まった状態を閉塞という。閉塞すれば、大変な痛みを引き起こし、死亡に至るケースもある。
薬とどうつき合う? 作用と副作用は表裏一体
今回の発表は、薬の副作用について改めて考えさせられるものでもある。どのような薬も副作用が伴う。作用と副作用は裏表であるし、症状の現れ方は人それぞれであるから、必要以上に怯えることはない。うまく薬とつき合っていくことが大切だ。
まずは、副作用の可能性を頭に入れておくこと。処方薬にしても店頭販売薬にしても、添付文書をよく読めば、ロキソニンに限らず多くの薬が、かなり重篤な症状も想定されていることがわかる。こうした情報を頭に入れておき、服用後に少しでも「おかしいな」と感じることがあれば、すぐに医師や薬剤師に相談しよう。
そして当然ながら、服薬の指示は守ること。特に店頭販売薬の場合には、安易な使用を避け、必要最低限の服用に留めれば、それだけリスクを減らすことができる。当サイトでも呼びかけてきた。「過去5年間に副作用で24名が死亡! 安易に「市販薬」を服用してはいけない」
「薬が命取り」となることがないよう、消費者側の自衛も求められている。
(文=編集部)
参照元 : healthpress
ロキソニンやリリカは危険!? 女性が飲み続けると危ない薬~生理、出産、更年期…大事な時期を副作用が襲う
2016年7月5日
神経痛のリリカも危険
「女性がよく使う薬」の代名詞といえば、生理痛や頭痛を抑えるロキソニン。今年3月、この薬に重大な副作用があることが明らかになり、業界が震撼した。厚生労働省が「重大な副作用」の項目に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」を追加するように改訂指示を出したのである。
そしてその服用者が女性である場合、さらなる副作用がある。著書に『薬剤師は薬を飲まない』などがある、薬剤師の宇多川久美子氏が言う。
「ロキソニンやボルタレンといった鎮痛薬は、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれる薬で、血管を収縮させて痛みを抑えています。
たしかに服用して少しの間、痛みは治まりますが、血管を縮めるということは血行を悪くするということでもある。血液の流れが悪くなれば、体温が低下し、多くの女性が苦しむ『冷え症』『肩こり』の症状を悪化させることにつながります。
より深刻なのは、『子宮が冷える』こと。つまり、子宮筋腫をはじめとした婦人病が発症しやすい環境をつくりだしているということです。
一度や二度であれば、こうした薬を使うことも許容できますが、『何かあるとすぐに頼る』『飲み続ける』という状態になると、長期的には体調を損ねることになる。安易に飲み続けるのは避けたほうがいいでしょう」
生理、出産、更年期。女性は日々、男性にはない独特の体調の変化にさらされている。女性が飲む薬の量は男性に比べて確実に増えていく。
しかし、こうした「女性が飲む薬」に様々な副作用があることはあまり知られていない。飲み続けると、その副作用で深刻な症状に陥ってしまい、場合によっては乳がんや血栓症といった重篤な症状が引き起こされることもあるのだ。
女性にとって深刻な問題なのが更年期だ。閉経前後の女性が、女性ホルモンの減退によってホルモンバランスを崩し、体に様々な異常をきたすようになる。
このとき、体内のホルモンのバランスを取るために使われるのが、プレマリン、ジュリナといった「ホルモン剤」である。こうした薬にも、深刻な症状を引き起こしかねない副作用がある。
「更年期の症状を抑えるため、こうした薬を長期間使用すると、乳がんの発症リスクが高まるのです。
ホルモン剤には、女性ホルモンと同じ物質が含まれていますが、一方で女性が乳がんにかかる原因もやはりホルモンです。組み合わせや使用の仕方によって、ホルモンバランスが崩れて、発症するリスクが高まります」(前出・宇多川氏)
イギリスの大規模な疫学調査研究「ミリオン・ウィメン・スタディ」によれば、プレマリンは、プロゲステロン(黄体ホルモン)を含む薬を併用している場合、使用期間が長くなると、乳がんの発症率が高まるといわれている。使用期間が1~4年だと、乳がんの発症率は未使用者の1・74倍、5~9年でなんと2・17倍にもなる。
宇多川氏が続ける。
「更年期のつらい時期を乗り切るのにこうした薬に頼る気持ちはわかります。ですが、日々の生活に運動を取り入れたり、食生活を変えたりすることで、更年期の症状は緩和することもある。そうしたことを試した上で薬を使用すべきでしょう」
なかには美容のためにホルモン剤を摂取するという女性もいるようだが、美しくなるどころか、思わぬ落とし穴に落ちることもあるわけだ。
女性が毎月痛みと闘わなければならない生理。その痛みをやわらげ、症状を抑えるために使われるのが、トリキュラー(低用量ピル)、ルナベル、ヤーズ(ともに超低用量ピル)といった薬である。
'60年代にアメリカで開発され、日本では'90年の申請から9年間の審査を経て、'99年に解禁。今ではすっかり普及してきたが、この薬にも副作用がある。
医薬品業界の関係者が言う。
「低用量ピルは、女性ホルモンの『エストロゲン』『プロゲステロン』の合剤。低用量ピルは排卵を抑える避妊薬で、同時に、月経過多、生理不順、月経前症候群など女性の生理にまつわるトラブルを改善します」
実はこの物質には、血栓症のリスクが報告されている。
血栓症は最悪の場合、死に至る病だ。血管のなかで血が固まって肺や脳の血管に至り、そこが詰まる。つまり脳梗塞や心筋梗塞といった重篤な疾患の原因にもなるということだ。
実際、日本産科婦人科学会が行った'14年の調査では、それ以前の5年の間に、国内で低用量ピルを服用していた13人もの人が血栓を血管に詰まらせて死亡。とくにタバコを吸っていたり、肥満だったりすると、血栓症のリスクは高まる。
イギリスでの研究でも、低用量ピル服用中の患者が血栓症を発症するリスクは、39歳以降で明らかに高まったという。
スプレキュアにも要注意
年齢を重ねてから低用量ピルを使う際には細心の注意が必要となる。前出の関係者が言う。
「本来、低用量ピルを使うのは若い間だけが望ましい。更年期が始まり、閉経を迎える頃からは、別のタイプの薬に変えることをお勧めしたい。それ以降も服用し続けると、血栓症や乳がんを発症するなどの副作用のリスクが高まります。
しかし、更年期を迎えても医師がずっと処方し続けたり、患者も『不調になったら嫌だ』と、惰性でずっと使用を希望したりというケースは少なくない」
低用量ピル以外にも、生理痛や月経過多などの症状を抑えるために使われるポピュラーな薬がある。子宮内膜症の治療やGnRHアゴニスト(偽閉経)療法にも使われるナサニールやスプレキュアなどだ。
「私はあまりに生理痛がひどくてナサニールを使い始めましたが、使い始めてから、すっかり性欲がなくなってしまったんです。使用をやめてからも性欲は戻らない。しかもなんだかずっとイライラしているし、旦那との関係も悪くなっていきました。これじゃ、生理痛で苦しんでいたほうがまだマシです」
こうした薬は女性ホルモンの分泌を抑える効果がある。そのせいでホルモンのバランスが崩れ、性欲や精神状態にも影響を与えたと見られる。
副作用はこれだけではない。ナサニールやスプレキュアは「骨を弱くする」という深刻な症状を引き起こすのである。
「女性ホルモンは骨の形成を進め、古い骨の破壊を抑えるのに寄与しています。その分泌量が減らされると、骨に含まれるカルシウムの量が減少し、『骨量』が低下します。結果、『骨密度』が低くなり、骨折しやすくなる。
ただでさえ年をとると骨が弱くなり、骨粗鬆症などになりやすい。使い続けるのは、よくよく考えたほうがいいと思います」(前出・宇多川氏)
女性の社会進出が進み、高齢出産が増えるなか、「妊活」を行うケースも増えてきた。その際に使われるクロミッドは、排卵を誘発する薬である。服用した神奈川県在住の30代の女性が言う。
「飲み始めて2日くらいで、卵巣のあたりに張るような痛みと、お腹全体に膨満感を覚えました。
調べてみると、普段は25mmくらいの大きさの卵巣が、30㎜ほどにまで膨らんでいた。
深刻なものではないと説明されたけど、卵巣の張りは不気味でしたし、それを抑えるために、また別の薬を飲むことになった。薬の副作用を抑えるために、さらに薬を飲むというのには抵抗があるのですが……」
クロミッドが引き起こすこうした副作用は、「卵巣過剰刺激症候群」と呼ばれる。排卵量が増えすぎて卵巣が膨張。下腹部の激しい痛みを引き起こすこともある。
処方される薬や市販の薬を安易に信じ、その副作用を知らずに服用し続けていると、いきなり重い症状に見舞われる危険がある。きちんと知識を蓄え、より一層薬の情報に注意を払う必要があるだろう。
「週刊現代」2016年7月2日号より
参照元 : 週刊現代
イブプロもアスピリンも胃を荒らす。ボルタレンはもっと荒らす。むしろ、ロキソニンは、プロドラッグだから、それらより胃にまだ良いほう。常用的に鎮痛剤を飲むことは危険。
▼厚生労働省が”ロキソニンに重大な副作用”追記
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