2019年5月31日金曜日

タバコを吸うと「回復力の低下・有酸素系運動能力の低下・ビタミンCの損失」健康被害と強い依存性

「タバコを吸うと体力が低下する」は本当。喫煙がスポーツに与える悪影響を解説

2019年5月30日



喫煙がスポーツ能力に悪影響であることは、もはや誰もが知るところです。しかし、煙草を吸うことで具体的にどのような影響があるかまでは、知らない人も多いのではないでしょうか。今回はその部分を解説するとともに、アスリートの喫煙者事情をご紹介します。

喫煙がカラダに与える影響
喫煙がスポーツ能力にどのような影響を与えるのか、3つのデメリットをご紹介していきます。

・有酸素系運動能力の低下

喫煙の最大のデメリットは、有酸素系の運動能力が低下してしまうこと。簡単に言えば、スタミナが低下してしまのです。喫煙とスポーツを調べた研究は数多くありますが、どれも有酸素系の運動能力の低下を報告しています。

その要因は、たばこの煙に含まれる有害物質“一酸化炭素”です。一酸化炭素は、酸素を運ぶヘモグロビンや酸素を受け取るミオグロビンとの親和性が、酸素よりもはるかに高くなっています。これが喫煙により体内に入ることで、ヘモグロビンやミオグロビンは酸素より一酸化炭素と結びついてしまうのです。

これによって低下するのが、「最大酸素摂取量(VO2max)」と呼ばれる能力です。最大酸素摂取量とは、1分間に体重1kgあたり取り込むことができる酸素の量を示す数値であり、心肺持久力の指標として使われています。

呼吸によって体内に取り入れた酸素は、糖や脂質からエネルギーを生み出します。酸素を取り込める量によってエネルギーを生み出せる能力は左右されます。喫煙によって血中の一酸化炭素が多くなることで、酸素を細胞へ運搬する能力が低下し、最大酸素摂取量が低下してしまうのです。

・回復力の低下

喫煙が与える悪影響は、パフォーマンスを左右する能力だけではありません。カラダを回復させる能力も低下させてしまうのです。

先ほどご紹介したように、喫煙によって酸素の運搬量が少なくなってしまうことで、組織の新陳代謝に時間がかかり回復が遅くなります。骨折などのケガが治るまでの時間も、喫煙をしている人としていない人では差が出るとされているのです。また、喫煙によって靭帯や腱、軟骨などを構成するコラーゲンの生成を促すビタミンCの損失が大きくなることも、回復力を落とす要因につながります。



・健康被害と強い依存性

皆さんもご存知の通り、喫煙によりさまざまな健康疾患が引き起こされます。肺がんをはじめ、虚血性心疾患、脳血管疾患などのリスクが高まることは知られているでしょう。特に心疾患や脳血管疾患などは、スポーツ中での発症リスクはさらに高まり、生命の危険を及ぼす場合もあります。それらの疾患は、喫煙したことによって急に引き起こされるわけではありません。しかし、喫煙には身体的・心理的に強い依存性があるため習慣になってしまい、これが大きな問題になるのです。

強い依存性によりスポーツ能力が低下してしまうことを理解していても、喫煙をやめられないという方がいるのも確かです。また、依存性によってタバコを吸わないとイライラしやすく、集中できないという症状が起こる場合もあります。

プロアスリートでも喫煙するの?
ここで疑問です。スポーツ能力の高さを仕事としているプロのアスリートたちは、喫煙しないのでしょうか。「プロなんだから当たり前だろう!」と思う人もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。喫煙しているプロのアスリートも大勢いるのです。パフォーマンスが低下してしまう可能性があるのを理解していても、タバコの依存性によって吸わないと集中できない。そんなアスリートも少なくないでしょう。

プロチームでは、監督の意向により喫煙の禁止を義務づけるというチームもあるでしょう。しかし実際のところ、残念ながらまだまだ少数派のようです。

周囲の保護者・指導者も気をつけるべき
プロのアスリートが禁煙できない理由のひとつに、監督やコーチも喫煙しているからということが挙げられます。プロアスリートであっても、人間付き合いは大切です。特にチームスポーツともなれば、さまざまなチームメイトや指導陣とのコミュニケーションができないと、チームとしての団結力が高まりません。また、喫煙者同士、リラックスしたタイミングでの指導やアドバイスなどは、選手にとっても貴重な機会なのかもしれません。

そのため、選手に禁煙させたいのであれば、選手の周囲にいる指導者自身も喫煙することを控える必要があります。また、大人相手ではなく中学・高校などの部活動を指導している先生や監督・コーチは、特に喫煙に対して敏感になる必要があるでしょう。なお、それは保護者も同じです。自宅であっても選手の前で喫煙することがないように気をつけることは、当然のことといえるでしょう。

選手生命を伸ばしたいなら喫煙は控えた方がいい
喫煙したからといって、すぐにカラダに影響を与える訳ではありません。そのため、特に若い選手にとっては「喫煙したって何も影響はない」と考えがちです。しかし、選手生命を長く過ごしたいのであれば喫煙は禁物。選手自身に対し、周囲の指導者が喫煙の影響を徹底して指導していく必要があるでしょう。

参照元 : スポーツナビ







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