2018年12月3日月曜日

相続の時、損しない方法

相続で損しない方法 土地評価を見直せば相続税を安くなる

2018.11.29 07:00



財産が世代を超えて受け継がれる時、課される相続税はできれば抑えたい。そのためのポイントのひとつが、土地評価を見直して相続税を安くする方法だ。『相続税は過払いが8割』の著者で、税理士法人アレース代表の保手浜洋介さんが話す。

「相続の際、亡くなった人の住民票の除票や相続人の戸籍謄本、登記簿謄本など、用意する書類が多岐にわたるため、税理士に“丸投げ”する人が多い。しかし、実は多くの税理士は、税務には精通していても相続に関する財産評価は専門外です。そのため、間違った財産評価を行い、本来納めなくてよい税金を払っているケースが多発しています。相続税を納付済みのかたの相談を受けていると、そのうち、実に8割の人が相続税を『過払い』しているのです」

どうしたら過払いを防げるのか。保手浜さんが続ける。

「過払いの原因の多くは、土地の価格を“過大評価”してしまうことにあります。土地の評価額は、国が定めた『路線価』に面積を乗じて算定されます。ただ、それはあくまで基本であって、土地の特性によって評価額は大幅に下がることもある。たとえば、形がいびつだったら、きれいな四角形の土地よりも価格が下がるため、土地の評価も下げられます。『使いづらい土地』と認識されれば、最大40%も評価額が下がる可能性があります」

土地の評価が下がるケースは他にもある。

「近くにお墓があったり、線路が通っていて電車が通るたびに騒音があるような土地は、当然そうした問題がない土地と比べると、10%ほど土地の評価額は下がります。また、その土地が面している道路の幅が狭い場合、将来建て替えなどをする際に、その道路の中心線から2mの線までの部分を道路用地として提供しなければならないケースがあります。そのような部分については70%評価を落とすことができます」(保手浜さん)

※女性セブン2018年11月29日・12月6日号

参照元 : NEWSポストセブン


プロが教える相続で損しない裏ワザ4つ 生保活用→非課税枠1人500万円も

2018.6.25 07:00



相続への関心は高まっていてセミナーへの参加者も増えている=夢相続提供

みんないつかは向き合うことになる相続。まだ大丈夫と思って何も準備していないと、思わぬ失敗をすることがあります。“常識”や思い込みを覆す4つの裏ワザを公開しましょう。



全国で増えている空き家。資産価値の低い不動産は相続放棄も選択肢となる

(1)×資産は最後まで守り抜く
→生前贈与で資産を減らせ 年110万円まで非課税

<ここがポイント>
●早めにスタート。亡くなる前3年以内の贈与は課税対象
●譲ったお金は相手に管理してもらう。名義預金はダメ
●贈与した契約書をつくって客観的な証拠を残そう

「自分の資産は最後まで手放さずに守る」。こんな心構えの人は多い。

だが、財産が膨らんだ状態で亡くなると、相続の手続きは複雑になり税金の負担も増す。妻や子にスムーズに引き継いでもらうには、資産の一部を生きているうちに贈与することを検討しよう。

相続税が減っても贈与税を払うので節税にならないと思うかもしれないが、早くから地道にやれば税金を抑える方法はある。

例えば贈与税は年110万円までは非課税扱いだ。お金を毎年少しずつ妻や子、孫らに与えれば、長い目で見ると大きな資産を引き継ぐことができる。仮に妻と子、孫が1人ずつの計3人だとしても、年間330万円となり10年続ければ3300万円にもなる。

実際、経営者や医者など資産家の中には、子どもや孫が生まれたことをきっかけに、計画的に贈与を始める人が目立つ。相続税の増税によって、課税対象者は2016年に亡くなった人のうち8.1%と過去最高を更新した。庶民でも資産全体を把握しないままためていると、予想外に課税対象者になり得る。

110万円贈与の「裏ワザ」は違法なことではなく、プロも勧める方法だ。このように、みんなわかっているようでいて、誤解していたり、実行できていなかったりすることはたくさんある。

裏ワザの実行には注意点もある。相続支援サービス「夢相続」の曽根恵子代表は、「現金を贈与する場合は相手が自由に使える状態にしておく必要があります」と指摘する。

定期的な贈与には、子どもや孫の名義で銀行口座をつくり、振り込むケースが想定される。通帳や印鑑をずっと自分で保管し相手に渡さないでいると、名前だけ借りた「名義預金」だと見なされてしまうかもしれない。

「税務署が相続税の課税対象となる資産を調査する際に、亡くなった人とは口座の名義が違っても、実質的には同じだと判断されてしまうケースは結構多い。税務署は預金の動きをチェックします。贈与した相手が口座からお金を引き出すなど、実際に管理していたことがわかるようにしておきましょう」(曽根代表)

贈与したことをはっきりさせるために、契約書を残しておくと安心だ。

年110万円の贈与は、体調が悪くなってから慌てて始めても節税にはならない。亡くなる前3年以内については、相続財産に含まれるものとして課税対象とされる。早めにスタートしたほうが良さそうだ。

ほかにも“お得”な生前贈与の制度は複数ある。子や孫への教育資金として1人につき1500万円まで、結婚や子育ての資金として1千万円までの非課税枠がある。金融機関に専用口座をつくり、使い道を証明するため領収書などを出す必要がある。教育資金は受け取った人が30歳、結婚・子育て資金は50歳までに使い切らないと、残った額に贈与税がかかる。

税理士らプロたちは「生前贈与は最も手軽にできる相続対策」とアドバイスする。いろんな制度や細かな条件があるので、専門家に相談してみよう。

(2)×資産を残すなら現金が一番
→現金は不動産に替えよ 評価額は現金より3割減

<ここがポイント>
●不動産は分割しにくい資産。誰に何を残すのか検討
●焦って買うと高値づかみしてしまう。余裕をもって判断
●アパート・マンション経営は空室などのリスクがある

相続でもらってうれしいのは、やはり現金だろう。不動産や美術品、車などと違って価値がはっきりしている。維持費や処分費用もかからず、相続税の支払いにもまわせる。相続人の間で分割するのも簡単。親も資産を残すには現金が一番だと考えがちだ。

しかし、現金ばかり持っていると相続税の負担が大きくなる。資産を評価する際、現金は当たり前だが額面通りになる。預金が1億円あれば評価額は1億円だ。これに対し、不動産は、時価よりも安い路線価や固定資産税評価額で評価される。

「不動産には相続税が減る特例もいろいろとあるので、節税の余地も大きい。不動産の評価額は、時価の3割減から半分以下になるケースもあります。現金をそのまま残すより、不動産に替えたほうがお得です」(曽根代表)

例えば1億円の土地があれば、路線価で評価すると時価の約80%に下がる。アパートやマンションを建てて人に貸していれば「貸家建付地」となり、さらに約20%減となる。不動産の評価額は、現金よりも3~4割減らすことが可能なのだ。

相続対策のため、アパートやマンション経営を始める人は多い。相談を受ける佐藤和基税理士はメリットを指摘する。

「建物が立っている土地は更地に比べ固定資産税が低くなるので、相続後も有利です。親が賃貸物件を建てて生前贈与し、相続税を抑える方法もあります」

現金を不動産に替えるといいことずくめのように思えるが、焦るのは禁物だ。不動産ならではの問題点もある。

まず不動産は現金と違って分割しにくい。相続人が1人だけならいいが、複数いる場合は「共有状態」になってしまう。土地や不動産を細かく区切って配分するわけにもいかず、処分するにしても相続人全員の同意が必要になる。相続税は現金で納めるので、資産が不動産しかないと相続人が大変だ。資産状況を一度把握し、不動産と現金のバランスをどうすべきか、税理士らに聞いてみよう。

健康悪化などをきっかけに、急に不動産を買おうとすると損をすることがある。不動産は定価がないので、適正価格を見極めるのが難しい。不動産の価格は全国的に二極化が進んでいる。都市部の商業地で過去最高値を更新したところがある一方で、値下がりが止まらないところも目立つ。高値づかみした後に急落しかねないのだ。

アパートやマンション経営には空室などのリスクもある。佐藤税理士は警鐘を鳴らす。
「空室が埋まるかどうか、建物の維持管理にどれだけの費用が必要かなど、賃貸物件としての収益性をよく分析しましょう。せっかく相続税を抑えられても、資産を受け継いだ子どもが苦労することになれば元も子もありません」

ほかの裏ワザにも共通するが、相続対策には慎重さが求められる。

(3)×保険は見直してスリムにする
→生命保険を使いこなせ 非課税枠は1人500万円

<ここがポイント>
●相続させたい人にピンポイントで現金を残せる
●亡くなってからすぐに現金が入る。高齢で入れる保険も
●早期解約では戻ってくるお金が払った保険料を下回る

保険には勧誘されてなんとなく入っているという人も多い。生命保険や医療保険、積み立て保険など種類はたくさん。最近、「生活防衛」「節約」のため、複数入っている人は「見直してスリムにすべきだ」とも言われる。

だが、生保は相続対策に活用できる。佐藤税理士はこう強調する。

「相続対策として死亡保険は一番におすすめするものです。死亡保険金は法定相続人1人当たり500万円まで相続資産から控除できます。しかも受取人を指定できるので、相続人同士で遺産の分割方法が決まる前にすぐ受け取ることができます」

妻と子3人の4人が相続人だとしたら、500万円×4人=2千万円まで相続税がかからない。

死亡保険金は、相続人が最低限得られる「遺留分」を計算する対象には含まれない。そのため遺産を多く残したい人がいれば、その人を受取人とした死亡保険に入ればいい。相続させたい人にピンポイントで現金を残せるのだ。

「相続発生時、つまり死亡後に保険会社に届け出れば、比較的すぐに現金化できるメリットは大きい。銀行口座は、名義人が亡くなると凍結されてしまいます。相続人同士がもめている場合には、葬儀代など必要な現金を用意できないこともあるでしょう。出費のかさむタイミングで、まとまったお金を手に入れることができるのです」(佐藤税理士)

高齢者には、「今から入れる保険はあるのか」という不安もあるはずだ。

そんなときには、保険料を加入時に一括払いする「一時払い終身保険」を検討しよう。保険料は死亡時に受け取る保険金とほぼ同じだが、90歳まで加入できるものもあるなど加入条件は比較的緩い。

ただし、すぐに解約すると、解約返戻金が支払った保険料を下回ってしまうこともある。相続対策ばかりに目がいきすぎて、生活費に余裕がなくなっても意味がない。保険料と生活とのバランスをよく考えよう。

(4)×相続人は「家族だけ」
→養子縁組で控除額を増やせ 1人で600万円控除増

<ここがポイント>
●相続税の税率の区分が下がれば大きな節税効果
●実子がいる場合で1人、いない場合で2人の制限
●妻や実子の取り分が減るので家族の理解を得て進める

相続人は妻や子どもだけに限定されていると思いがちだ。将来を見守りたい孫や、お世話になった人に遺言によって資産を渡すことはできるが、相続税が2割加算されてしまう。税金のことを考えると、やりにくいのが実情だ。

そこで注目したいのが養子縁組の制度だ。佐藤税理士は節税対策になると説明する。

「一般的にはなかなか思いつくものではありませんが、養子縁組をすれば法定相続人を増やせます。基礎控除や生命保険の非課税枠も増えるのです」

相続税は資産から基礎控除額を差し引いた額に課税される。基礎控除額は、3千万円+(600万円×法定相続人の数)の計算式でわかる。

例えば相続人が妻と子の2人だったら、3千万円+(600万円×2人)=4200万円だ。資産総額が1億円とすると、それから4200万円を差し引いた5800万円が、相続税が課される対象となる。養子が1人増えれば、基礎控除額も600万円増え、課税の対象が5800万円から5200万円になるというわけだ。

相続税は、課税対象となる資産額が大きいほど税率は高くなる。1千万円以下なら税率は10%。1千万円超3千万円以下なら15%、3千万円超5千万円以下なら20%、5千万円超1億円以下なら30%といった具合だ。

「養子縁組によってこの税率区分を下げられる場合は、大きな節税効果が期待できます。ただし誰を養子にするかでもめるなど、心情的な面でデメリットが生じるケースもあります」(佐藤税理士)

法定相続人が増えれば、それだけもとの相続人が引き継げる資産が減ってしまう。

養子縁組は何人でもできるが、相続税法では人数制限がある。多数を養子に迎え節税しようとした事例が過去に問題となり、税制が改正された。いまは実子がいる場合で1人、いない場合で2人に制限されている。実子がいて孫が複数いる場合、孫全員と養子縁組することはできるが、節税効果は1人分しか適用されない。

体調が悪くなってから節税目的のためだけに養子縁組すると、税務署に認めてもらえないこともあり得る。メリットとデメリットをよく考え、準備した上でやる必要があるだろう。(本誌相続取材班)

※週刊朝日 2018年6月29日号より抜粋

参照元 : dot.

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