2018年6月24日日曜日

耳かきで鼓膜損傷? メリットの少ない耳かき

実はコワイ!「耳かき」で病気になるってホント?

2018/6/17(日) 17:45配信



文部科学省が子どもの健康状態を把握するために行っている調査によると、中耳炎や外耳炎など耳の病気のある小中学生の割合が増えているようです。アレルギー性鼻炎の増加や、耳かきをし過ぎて傷つけていることなどが原因だと言われています。



◆耳垢って何?
「耳垢」(じこう、みみあか)は主に耳の穴から鼓膜の間(外耳)で発生し、新陳代謝で古くなった外耳の皮膚の一部や、耳に入ったホコリ・ゴミ、さらに皮膚から分泌される液体によってできています。外耳は鼓膜までの部分を言いますので、耳垢は中耳とは関係がありません。

◆耳垢の働き
耳垢には良い面と悪い面があります。

■良い面
・外耳の皮膚の潤いを保つ
・抗菌作用

■悪い面
・耳垢が多いと、外耳道を詰まり、聞こえにくくなる

◆耳垢を取るべき?
外耳道には、顎を動かすことなどで耳垢を自然に排出させるシステムがあるため、無理に取る必要はありません。特に、乾いた耳垢は自然に排出されます。むしろ耳垢を取り過ぎると、外耳は乾燥しやすくなってしまいます。さらに、カビや細菌が繁殖することで慢性的に炎症を起こし、耳垢が湿ってしまうことで、より耳垢が自然に出にくくなることもあります。これを、慢性外耳炎と呼びます。

◆耳垢を取る時に
耳の穴には迷走神経という副交感神経が走っていて、この神経には体をリラックスさせる作用があります。耳掃除が気持ちいい理由が分かりますね。とはいえ、耳垢の取り過ぎは良くありません。

◆正しい耳垢の取り方
耳垢の掃除は週に1回から月に1回程度に留めましょう。耳かき棒は耳の奥まで押し込まないようにします。綿棒を使用する時も同じです。 耳垢を鼓膜の方へ押し込んでしまうと、鼓膜自身を傷つけたりしますので、できれば耳の穴(入口)から1cmぐらいの所で耳垢を取るようにします。

また、耳垢の状態によって対応が異なります。乾いた耳垢なら、なるべく耳垢を取らなくてもいいですし、湿った耳垢なら耳かきで耳の外へと取り除きます。

耳かき棒であまり耳垢を取ろうとすると、外耳の皮膚を傷つけて、外耳炎を起こしますので、強くこすらないようにしましょう。また、全ての耳垢を取りきらないようにしましょう。

◆耳垢に関するウソ? ホント?

■耳垢を取らないと中耳炎になる?
【×】
中耳炎は、鼓膜の内側で起こる炎症です。原因の多くは、風邪などによって耳管から細菌が耳に入ることがあります。外耳にある耳垢は中耳炎に関係がありません。

■ワキガの人は耳垢が湿っている?
【○】
ワキガは腋臭症と言い、腋の下からの汗が刺激のある独特なにおいを発することを言います。この汗を出すのがアポクリン汗腺です。耳垢が湿るのは、外耳のアポクリン汗腺によることが多いです。このアポクリン汗腺が多いことが、ワキガの原因になっています。

■耳垢を放置すると聞こえなくなる
【基本は×、まれに○】
耳垢塞栓を起こすほど放置すると、外耳道が詰まっている状態ですから聞こえなくなります。ただし多くの場合、耳垢は自然に出ていきますので、乾いている場合は無理に取る必要はありません。湿っている場合でも炎症などを起こさない限り、問題ないことが多いです。

■耳掃除は気持ちいい?
【○】
耳の穴にはリラックスさせる迷走神経があるので、耳かきで迷走神経を刺激すると気持ちよくなります。

■耳掃除で咳が出る?
【○】
迷走神経は内臓に関わる神経で、一部外耳にあります。この迷走神経が刺激されることによって、咳が出ることがあります。

■花粉症があると耳垢が多い?
【×】
花粉症などのアレルギー性鼻炎の合併症として、中耳炎を起こしますが、鼓膜より外側の外耳には影響しません。

■耳垢は汚い?
【×】
耳垢は、古い皮膚などが集まったものですが、抗菌作用、カビや細菌が繁殖しないように耳の状態を保持していますので、汚いものではありません。皮膚の垢ということで、悪いイメージになっているかもしれません。

参照元 : All About


耳・鼻・喉の病気/その他の耳の病気 平手打ち、耳かき……鼓膜が破れる原因と治療法

鼓膜の話、中学の理科で習った曖昧な記憶はあるけど、それ以上は習った事がない人が多いはず。鼓膜のために一番大事なのは耳かきをしないことです。

鼓膜とは

鼓膜については、音を伝えるという生理機能があることを知っていれば十分ですが、鼓膜の病気を考え場合、少しだけ解剖の知識が必要となります。

鼓膜について理解するために最低限必要なのは、鼓膜は一枚の膜ではないという知識です。鼓膜は、耳の外側(外耳側)と中耳側の2枚が合わさってできています。一般的に耳の穴と呼ばれる外耳道の長さは約3cm、鼓膜の直径は約1cmくらいです。



糸電話の底の部分が鼓膜です

鼓膜損傷、鼓膜の病気の主な原因
鼓膜の病気の原因は、耳(外耳)側と、中耳側(耳管)の両方が考えられます。鼓膜の病気の原因としてよくあるのは、衝撃、音、気圧などの物理的なものと、微生物や昆虫などの生物学的なものに分けられます。病態としては修復過程、炎症が起きています。

以下で詳しく解説しますが、鼓膜は

・顔への平手打ちなどの空気圧
・航空性中耳炎
・鼻かみ
・昆虫
・耳かき

などによってダメージを受けることがあります。

通常、鼓膜に腫瘍はないと考えて良いです。真珠腫という病気がありますが、これも腫瘍ではなく、修復過程に相当します。

鼓膜損傷の主な自覚症状は、音の感じ方の変化と痛みです。物理的病因で起きる音響外傷や、生物学的病因の微生物(主に細菌)による中耳炎、耳管開放症については、今回は取り上げません。

鼓膜が破れた!? 鼓膜損傷が疑われる場合はすぐ耳鼻科へ 他の器官や身体の部位と異なり、直接力が加わらなくても外傷がおきることも、鼓膜に起きる外傷の特徴といえるでしょう。空気圧の変化により鼓膜が破れることもあります。

鼓膜損傷の原因としては顔(耳の部分)への平手打ちがあります。人間関係を円滑にするに、あえて平手打ちを受けた方が良いシーンがあるのかもしれませんが、耳への平手打ちは速度が遅かったり、力が弱かったりする場合でも、鼓膜損傷を引き起こす場合があります。

状況はともかく、平手打ちを受けた後に音の聞こえ方が変わった場合は、鼓膜損傷の可能性があります。放置しても鼓膜には再生力がありますが、損傷の程度を確認するために一度耳鼻科を受診することをお薦めします。

耳抜きで治ることが多い航空性中耳炎
いわゆる航空性中耳炎では、気圧の変化により鼓膜の変化が起きることがあります。中耳側の圧力は耳管を通じて調節されていますが、鼓膜側の圧力の変化に追いつかない場合、一時的に鼓膜の張り方が変化し、航空性中耳炎の状態になることがあります。この場合、音の聞こえ方が変わります。

エレベーターが高速で動くと、動く方向の空気を圧縮して逆方向の空気が膨張されるために、エレベーター内の気圧は変化します。高層ビルにあるエレベーターで経験したことがある人が多いと思いますが、これも航空性中耳炎の一種です。

但し、中耳炎といっても本当の炎症ではありません。経験則で知っている方が多いと思いますが、鼻をつまんで唾液を飲み込むと治ります。ダイビングの耳抜き法ではトインビー法と呼ばれている方法ですので、通常耳鼻科などに行く必要はありません。

花粉症の人が注意すべき、鼻かみ時の鼓膜損傷
花粉症の人では、鼻に関しては鼻水と鼻づまりが起きます。耳管も同時に詰まりやすいので耳閉感も起こりがち。片方の鼻の穴を押さえてティッシュペーパーで鼻をかむのは、誰でもやる動作です。ダイビングの耳抜き法のバルサルバ法に近い形です。

しかし、耳管が急に開くと鼓膜に強い圧力がかかる事があります。この時に鼓膜損傷がおきてしまう可能性があります。花粉症の受診で耳鼻科に行った時には、念のために鼓膜も診てもらうのがよいでしょう。

昆虫も生物学的病因?
鼓膜の病気と考えるべきか疑問点もありますが、外耳道への昆虫の侵入も病因となります。難しい言い方ですが、外耳道異物の分類では昆虫は有生異物といいます。

昆虫は糖質の一種でできた外骨格で覆われており、鼓膜よりも固いので、外耳道内で暴れられると鼓膜損傷の原因となります。昆虫が出ても鼓膜が損傷している可能性があるので、民間療法もあるようですが、耳に昆虫が入った場合は耳鼻科を受診することを強く勧めます。

耳かきで鼓膜損傷? メリットの少ない耳かき
鼓膜及び外耳道の病因で予防可能なのは、耳かきによる外傷です。道具を使う生物は人を含めて非常に少数。陸上で生活する哺乳類の耳の構造は基本的には同じですが、道具を使って耳かきが可能なのは人を含む類人猿だけです。

なぜ耳かきをするか考えたことはありますか? 耳垢=悪いもの、汚れ、という先入観があるために、きれいにするのが良いことだと考えている人が多いのかもしれません。

医学的には何を耳垢と定義するかは意見が別れるところですが、耳垢にはちゃんと役割があります。外耳道の病因で一番多いのは外傷。外傷に続いて、感染が起きると外耳炎となります。耳垢の役割は駅の掃除に使う「おが屑」と同じで、外耳道を掃除することです。耳垢の成分には細菌感染を予防する成分が含まれています。耳垢は悪者ではないというのが最近の考え方です。反論としては、耳垢栓塞(じこうそくせん)といって耳垢が固まって外耳道を塞ぐ病気があるという方がいると思います。鼓膜に耳垢が付着して異音が聞こえる事もあります。実は耳かき(耳掃除)の時の耳垢を押しこむのが耳垢塞栓と、鼓膜への耳垢の付着の病因となります。耳かきを使って外耳道を擦るような耳掃除は医学的には不要と断言しておきます。

余談ですが、手がない上に、解剖学的にも外耳道が非常に狭く、絶対に耳かきができない生物として、クジラが挙げられます。耳かきができないからといって、クジラが耳にトラブルを抱えがちであるという話はありません。クジラの耳には耳垢栓が溜まっていますが、木の年輪のように耳垢栓から年齢を推定することが可能なクジラがいるくらいです。

破れた鼓膜の穴はどう塞ぐ? 「鼓膜穿孔閉鎖術」
中耳は中耳内の圧力を調節するために耳管で外気とつながっていますが、通常は耳管は閉じています。鼻炎からの炎症が中耳に及ぶと中耳炎になることがあります。中耳炎などの場合、医学的理由(膿を出す目的)で鼓膜切開を行うこともあります。

基本的に、鼓膜には再生力があり、自然治癒します。

しかし原因は問わずに鼓膜穿孔を繰り返すと、鼓膜に穴があいた状態のままになることがあります。鼓膜に開いた穴から空気を伝わって、中耳で微生物による炎症が起きることはまずありませんが、外耳道に水が入った場合、水の中の微生物(細菌)や外耳道からの細菌が中耳にはいって、中耳炎を引き起こします。鼓膜に穴が開いた状態では、入浴時には耳に水が入らないように注意することは可能ですが、プールや海水浴やダイビングは禁止ということになります。

治療法として挙げられるのは、「鼓膜穿孔閉鎖術」といって短時間で穿孔した部位を塞ぐ手術法です。外耳道側と中耳側を貼りあわせている生体成分は主にコラーゲンなので、大まかに言うとコラーゲンの糊を使って穴を塞ぐ治療法だと説明できます。全例に対して適応がある訳ではありませんが、侵襲が少なく全身麻酔を必要とせず外来手術で実施できる方法です。

参照元 : allabout


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