2017年12月20日水曜日

食物繊維の取りすぎに注意!食事や生活習慣に気を付けていても改善しない便秘もある

「メカブがぎっしり、腸に詰まって…」 食物繊維の取りすぎに注意

2015/12/15(金) 12:13配信



私が所属する「むらた日帰り外科手術WOCクリニック」には、便秘に悩む患者さんが多く来院します。

当院はその名の通り「日帰り」で手術を行っておりますが、「痔」の手術が全体の6割を占めています。消化器外科医の村田幸生院長は、「便秘と痔の痛い関係は切っても切れない」と話します。

私も出産後、痔になったことがありますが、おしりの痛みは生活の質を低下させ、トイレへ行くことに恐怖を感じるほどでした。そうすると、便意があってもトイレへ行くのを我慢してしまい、さらに状況を悪化させます。

「便秘には食物繊維を…」でいいの?
2017年10月、日本で初めての「慢性便秘症診療ガイドライン2017」(1)が発表されました。

ガイドラインでは「便秘」を次のように定義しています。

「本来体外に排出すべき 糞便(ふんべん)を十分量かつ快適に排出できない状態」

排便の回数が減少したり、硬い便で排出が困難になっていたり、なんらかの排出障害があり、残便感があったりする症状が挙げられます。一言で「便秘」といっても、原因は患者によって様々です。

管理栄養士が、患者さんから「便秘がひどいのですが、どんな食事を取ればいいですか」と相談を受けると、まず確認するのが「食事全体の摂取量と水分量」です。もちろん「食物繊維の摂取量」も重要ですが、まずはしっかりと3度の食事が取れているかです。

ガイドラインでは、慢性便秘症の分類として<1>器質性(大腸がんや直腸瘤(りゅう)などで便が通過できない状態)と<2>機能性(大腸の機能が低下している状態)の大きく二つに分けられます。

<2>の機能性便秘のうち、便の通過は正常なのに排便回数が少ない場合は、まず食事量と食物繊維の量を増やし、それでも改善しない場合は下剤を考慮するという流れです。ダイエットなどで十分な食事を取らずに便秘になっている場合は、「食物繊維」だけでなく「3度の食事」をしっかり取ることが大切なのです。

しかし、食事や生活習慣に気を付けていても改善しない便秘があります。

「器質性の便秘」は、食物繊維の取りすぎが腸閉塞(腸が詰まること)を引き起こす恐れもあり、服薬だけでなく外科的な治療(手術)が必要になることもあります。

また、腸の動きや消化吸収能力が低下している高齢の方には、むやみに多量の食物繊維を取ることはお勧めできません。多くの食物繊維が含まれている海藻類やきのこ類、根菜類は毎日摂取することが望ましいのですが、どんな食品も「食べすぎ」はよくありません。

体にいいとされる食品でも…「ばかり食べ」は避けて
宮城県の沿岸部では、春になると「ワカメ」や「メカブ」がたくさん採れますが、その地域で働く看護師の友人がこんなことを話していました。

「毎年、春になるとメカブが腸に詰まってしまった高齢の患者さんが消化器内科に来るのよ。内視鏡で見てみると、腸の中にメカブがぎっしり。やっぱり、なんでも食べすぎてはだめね」

確かに、採れたてのメカブはおいしいです。 茹(ゆ)でたメカブをまな板で 叩(たた)くと、粘りがでてトロッとします。おろし生姜(しょうが)とポン酢を加えて混ぜ、炊き立てごはんの上にたっぷりとかけたり、温泉卵やとろろ芋(いも) 、なめたけも一緒にのせて「ねばねば丼」にすると絶品です。問題は、ほとんど噛(か)まずに喉へ流し込んでしまいがちになること。どんなにおいしくても腸に詰まってしまっては困りものです。まずはしっかりと噛んで食べる習慣をつけること、そして体にいいとされる食品でも「ばかり食べ」は避け、適量を楽しむようにしましょう。

塩野崎淳子(しおのざき・じゅんこ)
「訪問栄養サポートセンター仙台(むらた日帰り外科手術WOCクリニック内)」在宅訪問管理栄養士

1978年、大阪府生まれ。2001年、女子栄養大学栄養学部卒。栄養士・管理栄養士・介護支援専門員。長期療養型病院勤務を経て、2010年、訪問看護ステーションの介護支援専門員(ケアマネジャー)として在宅療養者の支援を行う。現在は在宅訪問管理栄養士として活動。

参照元 : ヨミドクター


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