誰も教えない「お得な確定申告」最終案内
2018/2/1(木) 9:15配信
今年も確定申告の時期が近づいてきた。2018年の申告期間は、2月16日から3月15日まで。副業や仮想通貨取引、多額の医療費がかかった場合など申告が必要となる場合は欠かさずに済ませたい。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝氏が、今さら人には聞けない「確定申告の基本ノウハウ」を解説する――。
【図表】「住宅ローン 1年目」の人は忘れずに確定申告をすべき
■会社員でも確定申告が必要なケースとは
今年も確定申告の時期が近づいてきました。2018年の申告期間は、2月16日から3月15日までです。
会社員の場合、原則として確定申告は必要ありませんが、いくつか例外があります。国税庁のウェブサイトには「給与所得者で確定申告が必要な人」として、
(1)給与の年間収入金額が2000万円を超える人
(2)1カ所から給与の支払いを受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
(3)2カ所以上から給与の支払いを受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の金額の合計額が20万円を超える人
(4)同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
(5)災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
(6)源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
(7)退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
の7項目が示されています。このいずれかにあてはまる人は、会社員でも確定申告をする必要があります。また、年末調整で処理されない控除を利用できる人も、確定申告して下さい。確定申告しないと、本来控除できる金額を利用しないことになります。
本稿では、上記の(2)「給与以外の収入が20万円を超える場合」、(3)「主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得などが20万円を超える場合」、さらに「年末調整で処理されない控除」を取り上げましょう。
■副業の年間「所得」が20万円を超えると要確定申告
「給与以外の収入」「主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得」といえば、多くの場合で「副業での収入」がそれにあたるでしょう。副業の年間所得が20万円を超えると、確定申告が必要となります。
ポイントは、「収入」から「経費」を差し引いた「所得」が対象となるということ。収入が20万円を超えていても、経費を差し引いた額が20万円以下であれば、確定申告は必要ありません。
たとえば、自作の商品をネット販売している人は
原材料費/制作のための機器の購入費(減価償却として数年間に分割されることもあります)/出品にかかった費用/ウェブサイトの運営費
などが経費として認められ、税控除を受けられます。副業のためにパソコンを購入したり、オフィスを借りたりしたが、私用でも使っている。そんなときは、副業とその他でのパソコンの使用割合、オフィスの利用割合を出し、副業で使用する比率分を経費に計上できます。
経費として認められるかどうかは「支出の証拠(領収書など)」と「その経費が事業に関連したものであるかを説明できるかどうか」の2点で判断されます。領収書は必ず保管しておきましょう。
▼副業は「事業所得」か「雑所得」か確認
副業といっても、アルバイト、自作製品のネット販売、ブログや動画での広告収入など、さまざまな収入源があります。こうした収入は、所得税法によって、10種類に区分されています。(※1)
たとえば、アルバイトとして給与を受け取っているなら「給与所得」、自作の商品を販売している場合は「事業所得」、ブログや動画での広告収入は「雑所得」にあたります。
ただ、「事業所得」と「雑所得」の線引きは、判断が難しいところで、ブログや動画での広告収入といった「雑所得」にあたる収入でも、金額が大きかったり(本業よりも多い場合など)、継続的に利益が出ていたりすると、「事業所得」とみなされる可能性もあります。
「事業所得」「雑所得」どちらに該当するかは、ケースバイケース。自分の副業がどの区分にあたるのか、はっきりしないときは国税局電話相談センターの「税についての相談窓口」(※2)で相談してください。
※1 所得の区分のあらまし
※2 税についての相談窓口
■仮想通貨でボロ儲けしたらどう申告するのか?
最近、話題の仮想通貨も、経費を差し引いた所得が20万円を超えていれば、「雑所得」として確定申告が必要です。
少々難しいのが、損益の計算方法です。原則として、買った仮想通貨を何かに交換した時点で、利益が出ていれば課税されます。現在も保有していて、含み益が出ているだけであれば確定申告の対象外です。
たとえば、10万円で買った仮想通貨を40万円で売ったとします(それぞれ支払い手数料を含む)。この場合は、シンプルに30万円から経費を差し引いた金額が課税対象となります。また仮想通貨を何度か売買した場合は、1年間の損益を通算します。10万円で買った仮想通貨を40万円で売り、40万円で買った仮想通貨を30万円で売った場合。利益30万円と損失10万円で、20万円から経費を差し引いた金額が課税対象となります。
では、仮想通貨で商品を買った場合はどうなるのでしょうか。
その商品を買った時点での「商品価額」と「仮想通貨の取得価額」との差額が、課税対象となります。たとえば、10万円で買った仮想通貨1コイン分が値上がりして3倍になりました。その後、30万円の商品を1コイン分で買ったとすると、30万円-10万円=20万円が課税対象となります。
国税庁のウェブサイト(※3)に、ビットコインを例に具体的な計算方法が記載されています。上記よりも複雑な事例も考えられ、損益の通算が難しいかもしれません。その場合は、税務署で相談するか、税理士に依頼しましょう。
※3 国税庁 仮想通貨に関する所得の計算方法等について 仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)
■「年末調整で処理されない控除」がある人は意外に多い
「年末調整で処理されない控除」がある人も確定申告をするべきです。
会社員であれば、ほとんどの控除を会社が計算してくれますが、「医療費控除」「寄付金控除」「雑損控除」「住宅ローン控除(1年目に限る)」の4つは例外です。対象となる人は、自分で申告します。
「医療費控除」は、1年間の医療費の自己負担額が10万円を超えた場合、超えた金額が所得控除されるというもの。申告する本人だけでなく、生計を一にする家族や親族が支払った医療費も合算できます。対象となる医療費は、ケガや病気などで入院・通院したときの治療費のほかに、通院のための交通費なども含まれます。
また、医療費控除と併用はできませんが、指定された市販薬を年間1万2000円以上買うと、超えた分を所得控除することができる「セルフメディケーション税制」が2017年から始まっています。対象となる市販薬は「スイッチOTC医薬品」といい、風邪薬や痛み止め、花粉症などのアレルギーを抑える薬など、約1600品目。(※4)
薬局やドラッグストアで、よく頭痛薬や痛め止めを買っているかも……という人はレシートで確認をしましょう。1万2000円を超えているかもしれません。医療費控除と同様に、申告する本人と生計を一にする家族や親族の支払いも合算できます。控除の上限額は88000円です。この「セルフメディケーション税制」を利用するには、申告する年に健康診査や予防接種を受けている必要があります(会社の定期健康診断でもOK)。
※4 スイッチOTC医薬品のリストは、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。厚生労働省
▼「ふるさと納税」 5自治体までなら確定申告必要なし
次に「寄付金控除」の仕組みをご説明しましょう。
地方公共団体や公益財団法人など、国が認めている団体に寄付をしたとき、寄付をした金額の一部が所得控除されます。国が認めていない私立学校や特定の個人、任意団体への寄付は控除の対象となりません。
ふるさと納税もこの寄付金控除にあたりますが、納税先が5カ所以内の場合、確定申告をする必要はありません。自治体に申請書をおくるだけで寄付金控除を受けられる「ワンストップ特例制度」が2016年に設けられており、確定申告なしで控除を受けられます。ただし、確定申告をすると、このワンストップ特例は無効になります。その際、ふるさと納税(寄付金控除)を追記し忘れないように注意してください。
■「住宅ローン 1年目」の人は忘れずに確定申告をすべき
「住宅ローン控除」は、マイホームをローンで購入したり、省エネやバリアフリーなどの改修工事をしたりしたとき、年末のローン残高に応じて税金が一部戻ってくる制度です。
所得が3000万円以下であること、返済期間が10年以上あることなどの要件を満たせば、ローン残高の約1%にあたる税金が還付されます。一度確定申告をすれば、翌年からは年末調整で処理されますので、住宅ローンを組んで1年目の人は忘れずに。
最後に「雑損控除」です。
雑損控除とは、自然災害、盗難、横領などで損害を受けたときに、その損失の一部を所得から控除できるもの。空き巣の被害に遭った、生活に必要なものを盗まれた……という人は、確定申告をすると所得控除を受けられます。ただし、詐欺や恐喝による被害は雑損控除の対象となりませんので注意してください。
▼うっかり申告し忘れで最大20%の「無申告加算税」
このように、会社員でも確定申告が必要となることがあります。
特に注意していただきたいのは、これまで確定申告をしてこなかった人が、副業を始めている場合です。売上が多ければ、きちんと損益を計算しましょう。
もし確定申告が必要な人が、申告をしていなかったことが発覚すると、本来納める税金に最大20%の「無申告加算税」が課される可能性があります。うっかり申告し忘れたとしても確信犯的に税金逃れをしたと判断されかねません。
特に税務署が極めて悪質だと判断すると最大プラス40%の加算税となってしまうケースもあります。納税は国民の義務。あとで泣きをみないよう、しっかり申告するようにしましょう。
参照元 : プレジデントオンライン
「利益の半分は税金」ビットコインの注意点 現状では不利な「雑所得」の扱い
2017.11.25 16:09
今春から「ビットコイン」など仮想通貨の相場が急騰している。ビットコインはこの1年で9倍に値上がりした。「億単位の利益を得た」といった事例も報じられているが、そうなると考えなくてはならないのが「税金」である。ビットコインで利益を得た場合、税金はどうなるのか。今年9月、国税庁が公表した見解とは--。
国税庁の判断は税制上最も不利な「雑所得」
国税庁のホームページでは、よくある税の質問に対する一般的な回答を「タックスアンサー」として公開している。このタックスアンサーにおいて、国税庁は2017年9月、「ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」として以下の内容を掲示した。
No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
[平成29年4月1日現在法令等]
ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。(所法27、35、36)
タックスアンサーによれば、この損益が、「ビットコインを使用することにより生じる損益」であれば、「雑所得」として取り扱われる。ここでいう「使用」が何を指すのかは具体的に明らかにされていないが、円に換算したときだけでなく、ビットコインを直接使用して物品等を購入したり、新たに仮想通貨を買い直したりした場合にも、その時点で雑所得と認識されるものと考えられる。
ビットコインは仮想通貨であり、固定された価値があるものではない。このため円や外貨に換算したときの価値は日々変動している。例えば、ビットコインが1単位あたり100円だったものが、1カ月後に200円に価値が上がっていれば、その差額だけ「損益」が生じているということになる。
つまり、2017年中にビットコインを換金したり、ビットコインを用いて何かを購入したりした場合には、2017年(平成29年)分の所得税として、2018年3月15日までに確定申告を済ませ、納税しなくてはならない。
ビットコインのほかにも、仮想通貨として取引可能な商品はあるが、おそらくこの取り扱いに準じることになるだろう。
「雑所得」が不利だと考える3つの理由
ここで認識しておきたいのが、「所得の種類によって所得税の計算方法が異なる」という点だ。例えば、給料として得た金額と、個人事業で得たものは、同じ金額であっても経費として認められる範囲などが異なり、結果として税金の額が変わってくる。
今回ビットコインに関して国税庁が出した「雑所得」という結論は、おそらく投資家にとっては、もっとも厳しい判断になったと考えられる。
所得の種類には、事業所得、給与所得など、全部で10種類ある。雑所得はそのほかの9種類のいずれにも当たらない所得をいう。たとえば公的年金や、作家以外の人が受ける印税、サラリーマンがインターネットオークションで得た副業収入などが該当する。
この雑所得を私が「もっとも厳しい判断」と考える理由は、以下の3点にある。
(1)他の所得と損益通算できない
(2)損失を繰越控除できない
(3)累進税率が適用される
それぞれ説明しよう。まず(1)について。損益通算とは、ある所得で発生した損失を、他の所得から差し引くことである。例えば、個人事業主の「事業所得」は損益通算が認められているため、事業所得で赤字が出た場合、ほかに給与所得があれば、給与所得から事業所得の赤字を差し引いて、所得税を計算することができるのだ。
ところが雑所得の場合は、損益通算が認められない。いくらビットコインの取引で赤字が出たとしても、他の所得区分から差し引くことはできない。ただし年金や副業の所得など、他に雑所得となるものがあれば合算することができる。
次に(2)の繰越控除について。現在、繰越控除が認められているものとして、上場株式等を売却したときの譲渡損失がある。その年に出た譲渡損失を翌年以降3年間繰り越して、利益が出たタイミングで合算することができるのだ。
一方、繰越控除が認められないビットコイン取引では、例えば、2017年分で100万円の赤字、18年分に200万円が出た場合、100万円の損失は何ら考慮されず、200万円の利益に対して所得税が課せられることになる。
(3)で挙げた税率についても、ビットコインと株式の取引では取り扱いが全く異なる。例えば、上場株式等を譲渡した場合、雑所得ではなく、分離譲渡所得という区分になり、利益に対して一律20%(所得税15%、住民税5%)が課せられる。この税率は株取引でいくら儲かったとしても変わらない。
ところがビットコインの取引は雑所得であり、「総合課税」という方式で税率が決まる。総合課税方式になると、雑所得以外の所得もすべて合計したうえで、所得税の税率5~45%(その他に住民税もかかる)が適用される。所得が増えるにつれ税率が上昇していくことになり、住民税を合わせると、利益の半分以上が税金で取られるということになる。
総合課税の税率の下限が5%であるため、一見すると、有利な税率になると思われるかもしれないが、給料など、すべての収入を合算した合計所得金額が330万円を超えると、税率は20%となり、あとは増え続けていく。上場株式等の取引と比較すると、不利な税率になるケースが大半だろう。
ビットコインの税制は今後変わる可能性も
このように、所得税の扱いとしては不利な面が否めないビットコイン。しかし、今後扱いが変わる可能性もないわけではない。過去にも、税制改正により取り扱いが大きく変わる事例はあった。
例えば、FX取引は、2011年(平成23年)分の所得税までは、一部の商品を除いて雑所得として、総合課税方式により課税されていた。ところが平成24年分以降は、分離課税方式が適用されることとなり、一律20%の税率が適用されるようになったのだ。もともと給料がなく税率が低い専業主婦などは別として、多くの人にとっては、FX取引に伴う税率は下がったことになる。しかも、損失が発生した場合は3年間の繰越控除も認められることになり、所得税の扱いとしては、かなり有利となった。
また、時には裁判の結果を受けて税制の扱いが整理されるということもある。過去には、競馬の馬券の払戻金について、雑所得とするか一時所得とするかという訴訟が納税者と国の間で起きたことがある。
この訴訟は最高裁まで進んだ結果、「一時所得ではなく、雑所得にあたる場合がある」と判示され、その結果を受けて国税庁では課税上の取り扱いを定めた通達を改正することとなった。
ビットコインについても、ひとまず国税庁からタックスアンサーによる見解が示されたものの、取り扱いが定まったとは言い難い。今後、法律や通達により取り扱いが明らかにされると考えられ、さらに、仮想通貨を取り巻く状況や、裁判の結果などを受けて、取り扱いが変わる可能性は十分にある。
2017年も終わりが見え始め、年が明けると所得税の申告期限が近づいてくる。ビットコインの取引をしている人は、今のうちに所得税や住民税を見積もっておいたほうがいいだろう。
(フリーライター 小林 義崇)(PRESIDENT Online)
参照元 : sankeibiz
2018/2/1(木) 9:15配信
今年も確定申告の時期が近づいてきた。2018年の申告期間は、2月16日から3月15日まで。副業や仮想通貨取引、多額の医療費がかかった場合など申告が必要となる場合は欠かさずに済ませたい。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝氏が、今さら人には聞けない「確定申告の基本ノウハウ」を解説する――。
【図表】「住宅ローン 1年目」の人は忘れずに確定申告をすべき
■会社員でも確定申告が必要なケースとは
今年も確定申告の時期が近づいてきました。2018年の申告期間は、2月16日から3月15日までです。
会社員の場合、原則として確定申告は必要ありませんが、いくつか例外があります。国税庁のウェブサイトには「給与所得者で確定申告が必要な人」として、
(1)給与の年間収入金額が2000万円を超える人
(2)1カ所から給与の支払いを受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
(3)2カ所以上から給与の支払いを受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の金額の合計額が20万円を超える人
(4)同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
(5)災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
(6)源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
(7)退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
の7項目が示されています。このいずれかにあてはまる人は、会社員でも確定申告をする必要があります。また、年末調整で処理されない控除を利用できる人も、確定申告して下さい。確定申告しないと、本来控除できる金額を利用しないことになります。
本稿では、上記の(2)「給与以外の収入が20万円を超える場合」、(3)「主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得などが20万円を超える場合」、さらに「年末調整で処理されない控除」を取り上げましょう。
■副業の年間「所得」が20万円を超えると要確定申告
「給与以外の収入」「主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得」といえば、多くの場合で「副業での収入」がそれにあたるでしょう。副業の年間所得が20万円を超えると、確定申告が必要となります。
ポイントは、「収入」から「経費」を差し引いた「所得」が対象となるということ。収入が20万円を超えていても、経費を差し引いた額が20万円以下であれば、確定申告は必要ありません。
たとえば、自作の商品をネット販売している人は
原材料費/制作のための機器の購入費(減価償却として数年間に分割されることもあります)/出品にかかった費用/ウェブサイトの運営費
などが経費として認められ、税控除を受けられます。副業のためにパソコンを購入したり、オフィスを借りたりしたが、私用でも使っている。そんなときは、副業とその他でのパソコンの使用割合、オフィスの利用割合を出し、副業で使用する比率分を経費に計上できます。
経費として認められるかどうかは「支出の証拠(領収書など)」と「その経費が事業に関連したものであるかを説明できるかどうか」の2点で判断されます。領収書は必ず保管しておきましょう。
▼副業は「事業所得」か「雑所得」か確認
副業といっても、アルバイト、自作製品のネット販売、ブログや動画での広告収入など、さまざまな収入源があります。こうした収入は、所得税法によって、10種類に区分されています。(※1)
たとえば、アルバイトとして給与を受け取っているなら「給与所得」、自作の商品を販売している場合は「事業所得」、ブログや動画での広告収入は「雑所得」にあたります。
ただ、「事業所得」と「雑所得」の線引きは、判断が難しいところで、ブログや動画での広告収入といった「雑所得」にあたる収入でも、金額が大きかったり(本業よりも多い場合など)、継続的に利益が出ていたりすると、「事業所得」とみなされる可能性もあります。
「事業所得」「雑所得」どちらに該当するかは、ケースバイケース。自分の副業がどの区分にあたるのか、はっきりしないときは国税局電話相談センターの「税についての相談窓口」(※2)で相談してください。
※1 所得の区分のあらまし
※2 税についての相談窓口
■仮想通貨でボロ儲けしたらどう申告するのか?
最近、話題の仮想通貨も、経費を差し引いた所得が20万円を超えていれば、「雑所得」として確定申告が必要です。
少々難しいのが、損益の計算方法です。原則として、買った仮想通貨を何かに交換した時点で、利益が出ていれば課税されます。現在も保有していて、含み益が出ているだけであれば確定申告の対象外です。
たとえば、10万円で買った仮想通貨を40万円で売ったとします(それぞれ支払い手数料を含む)。この場合は、シンプルに30万円から経費を差し引いた金額が課税対象となります。また仮想通貨を何度か売買した場合は、1年間の損益を通算します。10万円で買った仮想通貨を40万円で売り、40万円で買った仮想通貨を30万円で売った場合。利益30万円と損失10万円で、20万円から経費を差し引いた金額が課税対象となります。
では、仮想通貨で商品を買った場合はどうなるのでしょうか。
その商品を買った時点での「商品価額」と「仮想通貨の取得価額」との差額が、課税対象となります。たとえば、10万円で買った仮想通貨1コイン分が値上がりして3倍になりました。その後、30万円の商品を1コイン分で買ったとすると、30万円-10万円=20万円が課税対象となります。
国税庁のウェブサイト(※3)に、ビットコインを例に具体的な計算方法が記載されています。上記よりも複雑な事例も考えられ、損益の通算が難しいかもしれません。その場合は、税務署で相談するか、税理士に依頼しましょう。
※3 国税庁 仮想通貨に関する所得の計算方法等について 仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)
■「年末調整で処理されない控除」がある人は意外に多い
「年末調整で処理されない控除」がある人も確定申告をするべきです。
会社員であれば、ほとんどの控除を会社が計算してくれますが、「医療費控除」「寄付金控除」「雑損控除」「住宅ローン控除(1年目に限る)」の4つは例外です。対象となる人は、自分で申告します。
「医療費控除」は、1年間の医療費の自己負担額が10万円を超えた場合、超えた金額が所得控除されるというもの。申告する本人だけでなく、生計を一にする家族や親族が支払った医療費も合算できます。対象となる医療費は、ケガや病気などで入院・通院したときの治療費のほかに、通院のための交通費なども含まれます。
また、医療費控除と併用はできませんが、指定された市販薬を年間1万2000円以上買うと、超えた分を所得控除することができる「セルフメディケーション税制」が2017年から始まっています。対象となる市販薬は「スイッチOTC医薬品」といい、風邪薬や痛み止め、花粉症などのアレルギーを抑える薬など、約1600品目。(※4)
薬局やドラッグストアで、よく頭痛薬や痛め止めを買っているかも……という人はレシートで確認をしましょう。1万2000円を超えているかもしれません。医療費控除と同様に、申告する本人と生計を一にする家族や親族の支払いも合算できます。控除の上限額は88000円です。この「セルフメディケーション税制」を利用するには、申告する年に健康診査や予防接種を受けている必要があります(会社の定期健康診断でもOK)。
※4 スイッチOTC医薬品のリストは、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。厚生労働省
▼「ふるさと納税」 5自治体までなら確定申告必要なし
次に「寄付金控除」の仕組みをご説明しましょう。
地方公共団体や公益財団法人など、国が認めている団体に寄付をしたとき、寄付をした金額の一部が所得控除されます。国が認めていない私立学校や特定の個人、任意団体への寄付は控除の対象となりません。
ふるさと納税もこの寄付金控除にあたりますが、納税先が5カ所以内の場合、確定申告をする必要はありません。自治体に申請書をおくるだけで寄付金控除を受けられる「ワンストップ特例制度」が2016年に設けられており、確定申告なしで控除を受けられます。ただし、確定申告をすると、このワンストップ特例は無効になります。その際、ふるさと納税(寄付金控除)を追記し忘れないように注意してください。
■「住宅ローン 1年目」の人は忘れずに確定申告をすべき
「住宅ローン控除」は、マイホームをローンで購入したり、省エネやバリアフリーなどの改修工事をしたりしたとき、年末のローン残高に応じて税金が一部戻ってくる制度です。
所得が3000万円以下であること、返済期間が10年以上あることなどの要件を満たせば、ローン残高の約1%にあたる税金が還付されます。一度確定申告をすれば、翌年からは年末調整で処理されますので、住宅ローンを組んで1年目の人は忘れずに。
最後に「雑損控除」です。
雑損控除とは、自然災害、盗難、横領などで損害を受けたときに、その損失の一部を所得から控除できるもの。空き巣の被害に遭った、生活に必要なものを盗まれた……という人は、確定申告をすると所得控除を受けられます。ただし、詐欺や恐喝による被害は雑損控除の対象となりませんので注意してください。
▼うっかり申告し忘れで最大20%の「無申告加算税」
このように、会社員でも確定申告が必要となることがあります。
特に注意していただきたいのは、これまで確定申告をしてこなかった人が、副業を始めている場合です。売上が多ければ、きちんと損益を計算しましょう。
もし確定申告が必要な人が、申告をしていなかったことが発覚すると、本来納める税金に最大20%の「無申告加算税」が課される可能性があります。うっかり申告し忘れたとしても確信犯的に税金逃れをしたと判断されかねません。
特に税務署が極めて悪質だと判断すると最大プラス40%の加算税となってしまうケースもあります。納税は国民の義務。あとで泣きをみないよう、しっかり申告するようにしましょう。
参照元 : プレジデントオンライン
「利益の半分は税金」ビットコインの注意点 現状では不利な「雑所得」の扱い
2017.11.25 16:09
今春から「ビットコイン」など仮想通貨の相場が急騰している。ビットコインはこの1年で9倍に値上がりした。「億単位の利益を得た」といった事例も報じられているが、そうなると考えなくてはならないのが「税金」である。ビットコインで利益を得た場合、税金はどうなるのか。今年9月、国税庁が公表した見解とは--。
国税庁の判断は税制上最も不利な「雑所得」
国税庁のホームページでは、よくある税の質問に対する一般的な回答を「タックスアンサー」として公開している。このタックスアンサーにおいて、国税庁は2017年9月、「ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」として以下の内容を掲示した。
No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
[平成29年4月1日現在法令等]
ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。(所法27、35、36)
タックスアンサーによれば、この損益が、「ビットコインを使用することにより生じる損益」であれば、「雑所得」として取り扱われる。ここでいう「使用」が何を指すのかは具体的に明らかにされていないが、円に換算したときだけでなく、ビットコインを直接使用して物品等を購入したり、新たに仮想通貨を買い直したりした場合にも、その時点で雑所得と認識されるものと考えられる。
ビットコインは仮想通貨であり、固定された価値があるものではない。このため円や外貨に換算したときの価値は日々変動している。例えば、ビットコインが1単位あたり100円だったものが、1カ月後に200円に価値が上がっていれば、その差額だけ「損益」が生じているということになる。
つまり、2017年中にビットコインを換金したり、ビットコインを用いて何かを購入したりした場合には、2017年(平成29年)分の所得税として、2018年3月15日までに確定申告を済ませ、納税しなくてはならない。
ビットコインのほかにも、仮想通貨として取引可能な商品はあるが、おそらくこの取り扱いに準じることになるだろう。
「雑所得」が不利だと考える3つの理由
ここで認識しておきたいのが、「所得の種類によって所得税の計算方法が異なる」という点だ。例えば、給料として得た金額と、個人事業で得たものは、同じ金額であっても経費として認められる範囲などが異なり、結果として税金の額が変わってくる。
今回ビットコインに関して国税庁が出した「雑所得」という結論は、おそらく投資家にとっては、もっとも厳しい判断になったと考えられる。
所得の種類には、事業所得、給与所得など、全部で10種類ある。雑所得はそのほかの9種類のいずれにも当たらない所得をいう。たとえば公的年金や、作家以外の人が受ける印税、サラリーマンがインターネットオークションで得た副業収入などが該当する。
この雑所得を私が「もっとも厳しい判断」と考える理由は、以下の3点にある。
(1)他の所得と損益通算できない
(2)損失を繰越控除できない
(3)累進税率が適用される
それぞれ説明しよう。まず(1)について。損益通算とは、ある所得で発生した損失を、他の所得から差し引くことである。例えば、個人事業主の「事業所得」は損益通算が認められているため、事業所得で赤字が出た場合、ほかに給与所得があれば、給与所得から事業所得の赤字を差し引いて、所得税を計算することができるのだ。
ところが雑所得の場合は、損益通算が認められない。いくらビットコインの取引で赤字が出たとしても、他の所得区分から差し引くことはできない。ただし年金や副業の所得など、他に雑所得となるものがあれば合算することができる。
次に(2)の繰越控除について。現在、繰越控除が認められているものとして、上場株式等を売却したときの譲渡損失がある。その年に出た譲渡損失を翌年以降3年間繰り越して、利益が出たタイミングで合算することができるのだ。
一方、繰越控除が認められないビットコイン取引では、例えば、2017年分で100万円の赤字、18年分に200万円が出た場合、100万円の損失は何ら考慮されず、200万円の利益に対して所得税が課せられることになる。
(3)で挙げた税率についても、ビットコインと株式の取引では取り扱いが全く異なる。例えば、上場株式等を譲渡した場合、雑所得ではなく、分離譲渡所得という区分になり、利益に対して一律20%(所得税15%、住民税5%)が課せられる。この税率は株取引でいくら儲かったとしても変わらない。
ところがビットコインの取引は雑所得であり、「総合課税」という方式で税率が決まる。総合課税方式になると、雑所得以外の所得もすべて合計したうえで、所得税の税率5~45%(その他に住民税もかかる)が適用される。所得が増えるにつれ税率が上昇していくことになり、住民税を合わせると、利益の半分以上が税金で取られるということになる。
総合課税の税率の下限が5%であるため、一見すると、有利な税率になると思われるかもしれないが、給料など、すべての収入を合算した合計所得金額が330万円を超えると、税率は20%となり、あとは増え続けていく。上場株式等の取引と比較すると、不利な税率になるケースが大半だろう。
ビットコインの税制は今後変わる可能性も
このように、所得税の扱いとしては不利な面が否めないビットコイン。しかし、今後扱いが変わる可能性もないわけではない。過去にも、税制改正により取り扱いが大きく変わる事例はあった。
例えば、FX取引は、2011年(平成23年)分の所得税までは、一部の商品を除いて雑所得として、総合課税方式により課税されていた。ところが平成24年分以降は、分離課税方式が適用されることとなり、一律20%の税率が適用されるようになったのだ。もともと給料がなく税率が低い専業主婦などは別として、多くの人にとっては、FX取引に伴う税率は下がったことになる。しかも、損失が発生した場合は3年間の繰越控除も認められることになり、所得税の扱いとしては、かなり有利となった。
また、時には裁判の結果を受けて税制の扱いが整理されるということもある。過去には、競馬の馬券の払戻金について、雑所得とするか一時所得とするかという訴訟が納税者と国の間で起きたことがある。
この訴訟は最高裁まで進んだ結果、「一時所得ではなく、雑所得にあたる場合がある」と判示され、その結果を受けて国税庁では課税上の取り扱いを定めた通達を改正することとなった。
ビットコインについても、ひとまず国税庁からタックスアンサーによる見解が示されたものの、取り扱いが定まったとは言い難い。今後、法律や通達により取り扱いが明らかにされると考えられ、さらに、仮想通貨を取り巻く状況や、裁判の結果などを受けて、取り扱いが変わる可能性は十分にある。
2017年も終わりが見え始め、年が明けると所得税の申告期限が近づいてくる。ビットコインの取引をしている人は、今のうちに所得税や住民税を見積もっておいたほうがいいだろう。
(フリーライター 小林 義崇)(PRESIDENT Online)
参照元 : sankeibiz
仮想通貨で急に儲かった人とかは申告忘れがでそうですね。。。— ぱんちゃん(右肩上がりの税務プロ (@panchan1014) 2018年2月1日
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